妊娠中は良質な睡眠を 忙しい妊婦のための「おやすみ」のポイントを専門家に聞く
おなかの赤ちゃんのためにも、妊婦さん自身のためにも、質のいい睡眠はしっかりとりたいもの。まだまだ暑くて寝苦しいのに、妊娠中は眠りづらく、眠ったとしても何度も目が覚めてしまうことも…。そんな睡眠に悩む妊婦さんのために、ぐっすり眠れるおやすみルールを紹介します。
妊婦のおやすみルール1「朝はルーティンをしっかりこなす」
夜、質のいい睡眠をとるためのポイントは、日中に活発に動くこと、そして朝起きたら日光を浴びることです。朝、日光を浴びると体内時計がリセットされ、睡眠に不可欠なメラトニンというホルモンが適切な時間に分泌されるように。朝食をとる時間も一定にし、1日のスタートを同じリズムで過ごすようにしましょう。
起きる時間を一定にして朝日を浴び、 脳を目覚めさせる
寝る時間ではなく、「毎日の起床時間を同じにすること」がポイント。また朝日を浴びると体も目覚め、夜、睡眠を促すホルモンが分泌されるように。早く起きると早く眠くなるので、しだいに眠る時間も整うようになってきます。
朝ごはんを食べて 体内時計にスイッチを入れる
朝食もなるべく毎日同じ時間に食べるように心がけましょう。朝食を食べることで体内時計がリセットされます。朝食を多めに、昼・夕食を少なめにすると睡眠の質がアップするという報告も。少なくとも「朝食抜き」は避けて。
朝家事で 代謝アップモードに切り替える
主な家事は、朝から遅くとも午前中には終わらせましょう。こうすることで日中、活発に体を動かすことにつながります。また妊娠中から「朝家事」を習慣にしておくと、産後もパパを巻き込みながら同じペースでできるように。
妊婦のおやすみルール2「眠くなるまで ベッドに入らない」
寝室に入るまではできるだけゆったり過ごしましょう。「何時までにはベッドに入る」と決めずに、眠けが起こるまではべッドに入らないようにするのがポイント。入浴で体をゆるめ、リラックスしたら、入眠しやすくなるストレッチをして心地よい疲れを感じて寝室へ。その代わり、起きる時間だけを一定にします。
おふろは寝室に入る 30分以上前に済ます
就寝する30分以上前、6時間以内に40℃程度のお湯にゆったり入ると、深い睡眠を得る効果アリ。ただ難しく考えず、これまで続けてきた最もリラックスする入浴方法でOK。熱すぎるお湯は睡眠を妨げる可能性があるので避けて。
妊婦のおやすみルール3「寝室をやわらかい光と心地よい環境で整える」
寝室の環境は眠りに大きく影響します。エアコンの温度設定については、一般的な適温はありますが、住んでいる地域や個人の体感温度によって違うでしょう。夏の睡眠において室温と同様に重要なのが湿度。同じ室温でも、湿度が高いと睡眠の質が悪くなるという報告があります。質のいい睡眠をとるための湿度は、40〜60%です。
照明は暖色系or 間接照明がベター
寝室の照明は暖色系か間接照明がおすすめ。ただし、暖色系であっても豆電球などは目に光が直接当たることで覚醒につながるため、おすすめしません。蛍光灯の明かりはリラックスしにいくので避けましょう。また、明かりをつけず、真っ暗なほうが眠りやすい人はそれでもOKです。
冷房は我慢せず、熱のこもりにくい 寝具も使ってひと工夫
暑い夜は、我慢しないで冷房を上手に使いましょう。エアコンの風が直接体に当たらないようにした上で、快適な温度設定にします。暑くて寝苦しい夜は、朝までつけっぱなしでもOK。タイマーが切れるたびに暑くて何度も起きるのは、睡眠の妨げになります。また、最近は通気性や放熱性のいい寝具や、冷感のある寝具もたくさん出ているので、夏用の寝具に切り替えるといいでしょう。
睡眠不足は体調を崩す原因に。日中は適度に動いて、夕方以降はリラックスモードに切り替えて、メリハリをつけることが大切。質のいい睡眠で、暑い夏を乗りきりましょう!(文・樋口由夏、たまごクラブ編集部)
出典 たまごクラブ2019年8月号
監修 昭和大学病院 呼吸器アレルギー内科 睡眠医療センター
伊田 瞳先生