男女の体の構造を知っていますか?
女性の体のしくみ
子宮は赤ちゃんが育つためのベッド!
受精卵が胎児にまで成長する場所が子宮です。月に一度、卵巣から卵子が排卵されると卵管采がそれを受け、卵子は卵管に入ります。一方、子宮は内膜を厚くし、受精卵が胎児に育つためのベッドを作ります。
このとき、卵管に精子が届いていれば受精する可能性があります。受精すると受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管を移動し、子宮に着床します。
受精が行われなかった場合は、ベッドであった子宮内膜は剥がれ、月経(生理)として体外に出ていきます。
子宮や卵巣の構造
子宮は妊娠していないときは鶏の卵ぐらいの大きさです。その左右両側に卵管が伸び、卵巣があります。卵管の長さは、平均10cm、太さは場所によって5~15mmです。卵巣は長円形で、厚さ0.6~1.5cm、長径は2.5~5cmの平べったい形をしています。子宮と卵巣は、これらを固定する靭帯や栄養やホルモンを届ける血管と一緒に骨盤内に収まっています。
子宮は膀胱と腸の間に、前傾状態で位置しています。妊娠後、子宮は前に大きくなります。
卵巣のすぐ近くに卵管采が。右の卵巣が排卵した卵子を左の卵管采がキャッチすることも。
女性が妊娠・出産できる期間は限られている
初潮を迎えるのが10~12才。最初は排卵が毎月あるわけではありませんが、2~3年たって安定します。
20代がいちばん妊娠しやすく、30代半ばになると出産に至る確率が低くなっていきます。50才前後で閉経になりますが、40代ですでに出産に結びつく卵子は少なく、妊娠できる期間は限られています。
男性の体のしくみ
生涯、男性の体では精子がつくられている
男性は思春期を迎えると、男性ホルモンの働きによって、毎日精子が精巣でつくられます。細胞から一人前の精子になるまで約80日かかります。
性的興奮が起きて、射精が行われると1億個ほどの精子が体外に出ます。射精されなかった精子は体内で吸収され消えてしまいます。
女性と同様、男性の性器も日常生活などのストレスを受けやすく、デリケート。無精子症や勃起障害など、男性が原因となる不妊は、全体の約半数を占めています。
男性性器の構造
精子は2つの精巣(睾丸)で、毎日1億個ほどつくられています。性的に興奮すると陰茎(ペニス)が勃起し、射精の準備をします。精子は、精嚢や前立腺から精液のもととなる液体と一緒になって、尿道を通って射精されます。
【監修】医療法人浅田レディースクリニック理事長 浅田レディースクリニック名古屋駅前クリニック院長 浅田レディース勝川クリニック院長
浅田義正先生
名古屋大学医学部卒。医学博士。米国で顕微授精の研究に携わり、1995年、名古屋大学医学部付属病院分院にて、精巣精子を用いたICSI(卵細胞質内精子注入法)による日本初の妊娠例を報告。日本生殖医学学会認定生殖医療専門医。
【監修】出産ジャーナリスト
河合蘭さん
1986年より出産に関する執筆活動を開始。東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院等の非常勤講師も務める。著書『未妊—「産む」と決められない』(生活人新書)、『卵子老化の真実』(文春新書)など多数。2016年『出生前診断─出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(朝日新書)で科学ジャーナリスト賞受賞。