年代によって妊娠力には差がありました
20代 女性の生涯で、いちばん妊娠に適した年代
妊娠力
生理が始まった10代のころは、周期も不安定で妊娠もしにくい場合もありますが、20代は、卵子の数も質も十分な状態。子宮内膜も厚くホルモンの分泌も活発なので、最も妊娠・出産に適した時期です。
トラブルなど
体のトラブルは少ない世代ですが、過信すると20代後半でさまざまな不調が現れます。睡眠不足や偏った食生活にならないように気をつけて。仕事のストレスなども生理不順や婦人科系の病気の原因になるので要注意。
メリット
●お産が軽い
●産後も体力がある
●若いうちに子育てがで
デメリット
●経済力が弱い
●親自身が精神的に未熟
●周囲にママ友が少ない
30代前半 妊娠しやすい時期とはいえ不妊も徐々に増加
妊娠力
30代前半は、卵子や子宮内の状態でいえば、20代とそれほど変わらない妊娠力です。女性ホルモンの分泌量もあまり変わりません。ただし、自然妊娠に任せていると、あっという間に数年たってしまうので、気をつけて。
トラブルなど
20代と比べると、体力が全体的に落ちてきます。子宮の筋力も衰えてきます。生理のトラブルや子宮筋腫、子宮内膜症といった婦人科系の病気も増え、体外受精の妊娠力もやや下がってきます。
メリット
●20代と変わらない妊娠力
●精神的にも安定
●同世代のママが多い
デメリット
●妊娠しにくい
●お産が重くなる可能性が増す
●仕事との両立で悩む
30代後半 卵子の老化が次第に進み、妊娠力も低下
妊娠力
30代後半になると急激に卵子の老化が進みます。37~38才を過ぎると卵子の数も激減し、質も低下。ホルモンの分泌量も同様です。老化が原因でだんだんと妊娠しにくくなり2人目不妊なども増えてきます。
トラブルなど
35才を過ぎると人工授精も妊娠率が下がってきます。まさに時間との闘いです。最近、30代の子宮頸がんも増えてきています。また子宮体がんは、早期発見すれば子宮温存治療で赤ちゃんを産める可能性もあるので、定期検査を欠かさずに。
メリット
●経済的に安定
●精神的にも成熟
デメリット
●卵子の老化が加速
●人工授精も妊娠率低下
●仕事・キャリアで悩みがち
40代 成功率は低いが、まだチャンスはあり
妊娠力
30代から卵子が衰え、40代になるとさらに卵子の老化が進みます。一般的に体外受精で妊娠できるのは43才ぐらいまで。妊娠しても流産の可能性が高くなります。40代後半になると閉経を迎える人も出てきます。
トラブルなど
子宮筋腫や子宮内膜症のほか、子宮がん、乳がんといった病気を発症する人が増えてきます。40代にはホルモンバランスが崩れ、気分が落ち込んだり、疲れやすくなったりと、更年期障害で悩まされる人も。
メリット
●経済的に安定
●精神的なゆとり
デメリット
●妊娠しにくい
●不妊・流産
●産後の体力不足
女性の結婚年齢別に見た非妊娠率
結婚年齢が上がるにつれ、子どもを授からない確率が上昇し、40代前半では半数以上に。
体外受精を行っても30代に入ると少しずつ出産率は下がっていく
体外受精などの生殖補助医療、つまり不妊治療1回あたりの出産率と流産率を表しています。年齢が上がると不妊治療でも妊娠しにくくなることがわかります。
【監修】医療法人浅田レディースクリニック理事長 浅田レディースクリニック名古屋駅前クリニック院長 浅田レディース勝川クリニック院長
浅田義正先生
名古屋大学医学部卒。医学博士。米国で顕微授精の研究に携わり、1995年、名古屋大学医学部付属病院分院にて、精巣精子を用いたICSI(卵細胞質内精子注入法)による日本初の妊娠例を報告。日本生殖医学学会認定生殖医療専門医。
【監修】出産ジャーナリスト
河合蘭さん
1986年より出産に関する執筆活動を開始。東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院等の非常勤講師も務める。著書『未妊—「産む」と決められない』(生活人新書)、『卵子老化の真実』(文春新書)など多数。2016年『出生前診断─出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(朝日新書)で科学ジャーナリスト賞受賞。