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柔道家・角田夏実、卵子凍結を決断。「将来の結婚・妊娠・出産を考えるうえで余裕と安心が生まれた」

更新

オリンピック後は、テレビ出演や雑誌モデルなど柔道普及のためにさまざまな活動にチャレンジしています

31歳のときにパリオリンピックで見事、金メダルを獲得した柔道家の角田夏実さん。大きな夢をかなえた今、次の目標に向けてある決断をしました。それは「卵子凍結」です。とはいえ、アスリートである角田さん。卵子を採取するまでさまざまな思いもあったそう。角田さんの経験をじっくり聞きました。全2回インタビューの後編です。

まずは卵子凍結について「知ること」から始めた

シンガポールで小籠包をいただく角田さん

――パリオリンピックで金メダル獲得という大きな夢をかなえました。その後、充電期間をもち、今後のことを考えるようになったと聞いています。

角田夏実さん(以下敬称略) パリオリンピック前、女性コーチとこの先の女性としての生き方について話す機会がありました。そのときに「卵子凍結」というワードが出てきたので、結婚や妊娠、出産について考えるようになりました。でも、オリンピック前だったのでその時点では具体的に考えていませんでした。

――オリンピックが終わってから具体的に考えるようになったのでしょうか。

角田 無事にオリンピックが終わり、薬の副作用等を気にしなくてもいい期間に入ったので、以前聞いた卵子凍結について真剣に考えるようになりました。卵子凍結のメリット、デメリット、どんな検査をするかなど、何もわからない状態だったので、婦人科に行き、卵子凍結についてカウンセリングを受けることを決めました。

――婦人科に行く前はどんな気持ちでしたか?

角田 相談に行くと決めたものの、実際はどんな検査をするのかわかりません。検査は痛いのか、費用はどれくらいかかるんだろう・・・期間は? など、考えると「まだいいかな」という気持ちにもなりました。でも、「まずは知ることから始めよう」という気持ちで婦人科の門をたたいてみることにしました。

人生設計を考える上で卵子凍結は必要な選択だった

卵子採取が終わり、数日がたって少し落ち着いてきたくらいのころ。ドジャースタジアムにて

――実際に病院に行ってみてどうでしたか?

角田 まずはカウンセリングを受け、卵子凍結について詳しく聞きました。そこで卵子凍結は将来妊娠することを必ず保障するものではないということも知りました。そして、卵子凍結は自由診療だということ、治療するステップも多いので費用が高額になることなどを教えてもらいました。血液検査だけで卵子の状態がわかると聞いたので後日、まずは血液検査を受けることにしました。

――結果はどうでしたか?

角田 私の場合、同世代と比べると推定される卵子の数が少ないという結果でした。少し悩んだものの、次のステップに進むことを決意しました。

――血液検査だけで卵子の状態がわかるんですね。

角田 血液検査だけでもわかるので、もし迷っている人がいたらまずは自分の卵子の状態を調べてもいいと思います。そこから実際に次のステップに進むのか、やめておくかを決めてもいいんじゃないかと思います。私のまわりにも卵子凍結について興味はあるものの実際どんなことをするのかわからないのでちゅうちょしている人もいます。

――角田さんの場合、カウンセリングを受けてから血液検査、卵子凍結を決意するまで早い決断でしたね。

角田 今は結婚が具体的に決まっている状態ではないので、妊娠するまでにまだ時間がかかると考えました。できるだけ若いときの卵子を保存しておいたほうがきっと将来、大きなメリットになると思い決断をしました。

ドーピング問題や副作用…角田さんの場合は?

卵子採取に向けて、毎日の自己注射。初めは緊張と怖さがあったようですが、思ったより痛みはなく、すぐに慣れたそうです

――どんなスケジュールですすんだのでしょうか?

角田 パリオリンピックが終わったのが2024年8月、そして今年の4月までは試合に出ていました。6月に初めて婦人科を受診し、7月に血液検査を。8月に入ってから卵胞(らんぽう)発育を促すための自己注射と排卵をコントロールするための投薬を始めました。人によって卵胞の成長度が違うと聞いていたのでその都度受診し、卵胞の数を確認してもらっていました。

――アスリートの場合、ドーピング問題もあるのでスケジュールを慎重に立てる必要があるのでしょうか?

角田 アスリートの場合は、使用可能な薬剤や使用する期間を医師に確認する必要があります。私は試合がない間に決断したのでドーピングの件は問題ありませんでしたが、海外へ行く予定がありました。毎日注射を自分で打つので注射器も持って行くのですが、注射器の持ち込みの件で搭乗する航空会社へ確認が必要になり、その対応が意外と大変でした。

――副作用はありましたか?

角田 気持ち悪さなどの副作用はありませんでしたが、投薬中は体が少しぽっちゃりしたような気がします。運動は今までどおり続けてよかったので体は動かしていましたが、普段なら筋肉痛になって腹筋が割れてくるところなのに、なかなか成果につながらない感じで、体の中で何か変化が起きているんだなと実感がわきました。

――スケジュールは順調にすすみましたか?

角田 私の場合、4日に1度くらい病院に検査に行っていました。卵胞が成熟しきってしまうと採取ができないのでギリギリの見極めが大切だそうです。いよいよ「3日後に採卵しましょう」となったとき、ちょうど仕事が入っていましたがスケジュールをなんとか調整して臨みました。フルタイムで働きながら行う方だと、こういう調整は大変だと思います。

卵子凍結を終えた今、思うこと

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――婦人科に何度も通うことに精神的な負担はありませんでしたか?

角田 最初にカウンセリングを受けて悩んで、血液検査を受けてまた悩んでと、その都度悩みました。でも、将来のことを考えるとここで決断しないと・・・という状態だったので私の場合はトントンと進みました。決断してからは流れにのって卵子採取まで進んだので考えすぎることもなくて。でも、終わったあと、とてもほっとしたことを覚えています。知らないうちに少し負担を感じていたのかもしれません。

――卵子を採取(採卵)する際に痛みはありましたか?

角田 私の場合ですが、麻酔をしていたのであっと言う間に感じました。その後、2、3日は生理痛がひどいときのような痛みがあり、おなかも腫れていました。4日目からはおなかの腫れもひいて、痛みもなくなりました。

――卵子の採取が終わり、今はどんな心境ですか?

角田 凍結保存した卵子の数が多いほど妊娠の確率は上がると聞いています。私の場合は11個とれて、10個凍結することができました。でも、凍結している卵子を融解する過程で卵子が破損することがあるということも理解しています。実際に私が妊娠を希望したとき、どれくらいの確率で妊娠するかはわかりません。それでもそのときの卵子よりも若い卵子を保存していることは心の安心につながります。この先の自分の人生を考えたとき、「焦り」をぬぐえたのでやってよかったなと思っています。

――今後の角田さんの夢や活動を聞かせてください。

角田 自分の人生も考えつつも、柔道の普及を積極的に行なっていきたいです。そして柔道を通して子どもたちに体を動かす楽しさや、自分の体を守る大切さを教えていきたいですね。

お話・写真提供/角田夏実さん、取材・文/安田ナナ、たまひよONLINE編集部

卵子凍結を決断し、実際に採卵したことで角田さんは先の人生について考える余裕と安心感を得られたといいます。「迷っているならばカウンセリングや血液検査を受けて自分の卵子の状態を知ることから始めてみては?」とアドバイスをくれました。

角田 夏実(つのだ なつみ)

1992年生まれ。千葉県出身。父のすすめで小学2年から柔道を始める。高校2年ではインターハイ女子52㎏級で3位入賞。一時、柔道を辞めることも考えたが、顧問のすすめで大学進学を決意する。その後、寝技の強化に努め、大学3年のときに学生体重別選手権で優勝をはたす。2016年のグランドスラム東京では女子52㎏級に出場し、IJGワールド柔道ツアーで初優勝。世界柔道選手権48kg級3連覇(2021年~2023年)をはたし、柔道グランドスラムで金メダルを通算6個獲得した。2024年パリオリンピック48kg級で金メダルを獲得した。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年12月の情報で、現在と異なる場合があります。

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