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不妊治療の現場から。体に負担をかけず自然に近い妊娠をめざす「低刺激周期」って?医師が回答

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「そろそろ不妊治療を…」と考え始めたものの、クリニック選びに困っている方が多いのでは?そこで『妊活たまごクラブ』編集長が、それぞれ特長が異なるクリニックを訪問し、取材しました。ぜひ、参考にしてみて!

今回は、体に負担をかけず、自然に近い妊娠をめざし、自然・低刺激周期の体外受精ができる「Shinjuku ART Clinic」院長の阿部崇先生にご回答いただきました。

クリニックごとに、方針も設備も異なります「『不妊治療クリニック』へ突撃取材!」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2024-2025」


☆Keyword

●卵巣を過剰に刺激しない自然・低刺激周期の体外受精
●ほぼ年中無休で妊娠する力をサポート
●採卵時の痛みを軽減する独自の採卵針を使用

【Q】低刺激周期ってどういうものですか?

【待合室】スタイリッシュな空間では、思い思いに過ごせるよう、多彩な待合スペースを用意。カラフルなソファやクッションなど、居心地のいい工夫があちこちに
【待合室】スタイリッシュな空間では、思い思いに過ごせるよう、多彩な待合スペースを用意。カラフルなソファやクッションなど、居心地のいい工夫があちこちに


【A】薬剤の使用を極力控え、体に負担をかけずに妊娠する力をサポートする方法です

■阿部崇 先生(以下、阿部先生)
「できるだけ体への負担が少ない排卵誘発剤『フェマーラ(別名レトロゾール)』を使用して治療しています。この薬剤は、穏やかに排卵を促すことで卵胞の反応をよくする働きが報告されています。過剰に刺激しないので、必要以上に卵胞が育つ心配もありません。また、妊娠に至らなかった場合も、連続周期での治療が可能です」

【Q】初めての治療ではどんな検査が必要ですか?

【受付】総合受付で受付番号を発券。待合室にあるモニターに、自分の番号が表示されたら診察室へ
【受付】総合受付で受付番号を発券。待合室にあるモニターに、自分の番号が表示されたら診察室へ


【採精室】マスターベーションに必要なビデオや雑誌がそろえられた採精室。プライバシーにも配慮したつくりになっている
【採精室】マスターベーションに必要なビデオや雑誌がそろえられた採精室。プライバシーにも配慮したつくりになっている


【A】タイミング法が有効か、人工授精などが必要かを確認するヒューナーテストを行います

■阿部先生
「排卵日が近づいた検査当日の朝までに、性交渉があったうえで受診していただき、子宮頸管(しきゅうけいかん)粘膜や子宮内溶液を採取。きちんと運動している精子が子宮内に入っていれば、タイミング法が有効と判断します。精子が子宮内に入っていない、または数が不十分であれば、人工授精などを提案。いずれにしても、相談しながら進めます」

【Q】通院の頻度はどれくらい?治療のスケジュールを教えて!

※上記の数字は治療回数の目安です


【A】月経周期に合わせた治療になるので、個人の状況で異なりますが、ほぼ年中無休体制でサポートします

■阿部先生「排卵誘発剤『フェマーラ』を使用する場合、月経3日目に来院し、服用開始。そのあと3〜5日間程度服用していただき、月経開始から12日目に2回目の来院。順調であれば14日目に採卵と、採卵までに最低3回通院する必要があります。月経周期に合わせた治療なので、個人の状況によって来院回数が増えることもあります」

【Q】採卵時の痛みが少ないそうですが、なにか秘密があるのですか?

【オペ室】採卵や胚移植を行うオペ室。採取した卵子や移植する胚をモニターで確認できる
【オペ室】採卵や胚移植を行うオペ室。採取した卵子や移植する胚をモニターで確認できる


【リラックスルーム】採卵や胚移植後、安静に過ごすためのスペースは11床。細い採卵針の採用で、安静時間が短くなり、早期帰宅が可能になったそう
【リラックスルーム】採卵や胚移植後、安静に過ごすためのスペースは11床。細い採卵針の採用で、安静時間が短くなり、早期帰宅が可能になったそう


【A】細い採卵針の使用で痛みを軽減。そのため、全身麻酔の必要はありません

■阿部先生「太い注射針は短時間に多くの卵子を含む卵胞液を吸引できますが、太さに伴って痛みも増幅します。その痛みを極力抑えるため、従来の2分の1サイズの細い採卵針を使用。針の先端部分に特殊加工を施しているので、痛みや出血も軽減します。これにより全身麻酔の必要もなく、採卵終了後、約15分間安静にしたら、帰宅が可能です」

【Q】培養室ではどのようなことをしているの?

【培養室】採卵した卵子と、採精した精子を体外受精、顕微授精するための培養室。光や温度、湿度などが厳しく管理されている
【培養室】採卵した卵子と、採精した精子を体外受精、顕微授精するための培養室。光や温度、湿度などが厳しく管理されている


【A】「受精」「培養」「凍結保存」など、技術を磨いた胚培養士たちが責任をもって働く場です

■阿部先生「卵子と精子を一緒にして、自然に近い方法で受精させる『体外受精』。精子を直接卵子に注入する『顕微授精』。そして、得られた受精卵を子宮に戻すまで大切に培養し、移植に備えて凍結保存するまでの一連の作業を行うのが培養室の仕事。胚培養士は、まさに裏方のスペシャリストです」

【Q】着床率を上げるための工夫について教えてください

子宮内の環境も重要なのね!

【A】受精卵である「胚」を最適な環境で移植し、着床率の向上をめざしています

■阿部先生「精子と卵子が受精した受精卵を『胚』といい、体外で一定期間、培養。そのあと、子宮に戻す胚移植を行いますが、このとき胚の状態と子宮内の環境が着床に適した状態となる相互のバランスが重要です。ホルモンバランスや胚の形態、発育スピードなど、胚と子宮内環境の評価を厳密に行うことにより、最適な条件で胚を移植。妊娠をサポートします」

【編集長check!】患者サイドの気持ちに寄り添う取り組みがすごい

患者さん同士が共感できるノート
患者さん同士が共感できるノート


飲食ができるラウンジも用意
飲食ができるラウンジも用意


リラックスルームに置かれたノートには、不安や期待など患者さんの書き込みがいっぱい!
それに対してスタッフがメッセージを書き添えていて、アットホームな雰囲気が伝わってきました。
「ここで治療してよかったと思える場所に」という院長の言葉どおりのクリニックでした。

阿部崇 先生

●撮影/合田和弘
●イラスト/丹下京子
●構成・文/飯田由美(BEAM)

※本誌掲載の内容は2024年8月19日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。

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