不妊治療の現場から。一人ひとりに合った「オーダーメイドの不妊治療」って?医師が回答
「そろそろ不妊治療を…」と考え始めたものの、クリニック選びに困っている方が多いのでは?そこで『妊活たまごクラブ』編集長が、それぞれ特長が異なるクリニックを訪問し、取材しました。ぜひ、参考にしてみて!
今回は、「仕事と不妊治療の両立」も支援している「杉山産婦人科 丸の内」院長の黒田恵司先生にご回答いただきました。
クリニックごとに、方針も設備も異なります「『不妊治療クリニック』へ突撃取材!」 #2
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2024-2025」
☆Keyword
●東京駅直結・完全予約制で働きながら通院しやすい
●日々進化する不妊治療を最新の設備でサポート
●着床不全や不育症の特殊検査も実施
【Q】東京都内に3つのクリニックがありますが、ここ丸の内院の特徴は?
【A】世田谷本院で培った経験を活かし不妊治療や内視鏡手術、体外受精に特化した新しい形です
■黒田恵司 先生(以下、黒田先生)「1万人以上の治療経験を持つ東京・世田谷の杉山産婦人科が、生殖医療に特化して開院したのが新宿と丸の内です。中でも2011年にオープンした丸の内は、国内初の日帰り不妊内視鏡手術や腹腔鏡下手術を実施。また、東京駅からのアクセスもよく、仕事と不妊治療が両立できるよう、診察時間などに配慮しています」
【Q】「一人ひとりに合ったオーダーメイドの不妊治療」を謳っていますが…
【A】不妊の原因は人それぞれ。コミュニケーションを大切に、その方に最適な治療法を提案します
■黒田先生「通常の性生活を送っているのに1年以上妊娠しない、そんな場合はなんらかの原因があるはずです。しかも、その原因はカップルによって女性の場合もあれば、男性の場合もある。そのため、それぞれに必要な検査を通して原因を探り、妊娠の可能性を見いだしていきます。その結果、一人一人の状況に合ったオーダーメイドの治療ができるよう対話も大切にしています」
【Q】仕事と不妊治療を両立しやすいよう工夫していることを教えて!
【A】診察時間や胚移植時間を延長し、仕事を休まずに体外受精ができる体制を整えています
■黒田先生「通院回数が多かったり、長時間かかると、仕事との両立が困難に。そこで毎朝8時から受付けを開始。仕事に支障がないよう、月・水・金は19時まで、火・木は18時30分まで診療を受け付けています。また、土日・祝日も体外受精や人工授精の体制を整えるなど、仕事をしながら治療が続けられる工夫をしています」
【Q】着床不全や不育症の外来があると聞きましたが・・・
【A】子宮内のさまざまな検査を通して、着床・妊娠への道を探る外来です
■黒田先生「長年、着床不全を専門に、あらゆる角度から研究し続けてきました。おもな原因は子宮内環境の悪化が考えられますが、これまで難治性着床不全や不育症の方を妊娠・出産に導く治療実績や手順があります。ほかのクリニックで「妊娠するのは難しい」と言われ、あきらめかけていた方の最後のとりでとなるべく、新しい治療のアプローチも積極的に行っています」
子宮鏡検査
子宮内環境を確認するもっとも重要な検査。着床を阻害する子宮内膜ポリープや子宮内の炎症による内膜の組織の癒着などがないかを確認する。
子宮内膜CD138染色検査
慢性子宮内膜炎を診断する検査。子宮内膜組織を採取し、顕微鏡でCD138陽性細胞を確認する。
子宮内膜培養検査
子宮内の細菌培養検査。子宮内感染の原因を見つけることを目的に行う。
【Q】受精卵を最適な環境で培養する最新機器を導入されているそうですね
【A】最新の培養機器の導入はもちろん、医療スタッフ全員、最新の知識や技術向上のために日々努力しています
■黒田先生「受精卵=胚を常に観察することで、状態を正確に判断できる培養機器「タイムラプス」をはじめ、最適な培養環境が提供できるよう、できるかぎり最新機器を導入。また、不妊治療は常に進化しています。さらなる妊娠の可能性を探るためにも、海外の研究結果や学会発表にも注目しています」
【編集長check!】ホテルライクな雰囲気の中で仕事と不妊治療の両立が可能
オフィス街の中、大人の隠れ家のようなシックな内装で、病院らしくない雰囲気に仕事と治療の気持ちを切り替えるための配慮を感じました。
仕事と両立できる治療体制が整っているのもすごい。
院長の「治療を始める方は迷う前に、一度クリニックに来てみて」という言葉が印象的でした。
●撮影/合田和弘
●イラスト/丹下京子
●構成・文/飯田由美(BEAM)
※本誌掲載の内容は2024年8月19日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。