[妊活] 神戸蘭子さん インタビュー <後編> 二度の多嚢胞性卵巣症候群を乗り越えて
2014年に結婚し、すぐに「子どもが欲しい」。
そんな神戸蘭子さんの前に立ちはだかったのは「多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)」という卵巣の病気でした。
それから始まった神戸さんの妊活。いざ妊活を始めてみたら、思いがけない病気が見つかることもある。そんな体験をした先輩の「本音」を読んでみてください。
今回は、神戸蘭子さんインタビュー<後編>をお届けします。
神戸蘭子(かんべらんこ)さんプロフィール
1982年生まれ、宮崎県出身。文化女子大学服装学部卒業後、アパレルブランドに就職。
同時にファッション誌『JJ』でモデルデビュー。数々のファッションショーやテレビ番組で活躍する。
2014年に結婚。2016年に長男を出産、現在第2子を妊娠中。特技の裁縫を生かし、ハンドメイドブランド「CIEL BONBON」を設立。作家としての活動もスタート。
詳しくは、『神戸蘭子オフィシャルブログ』
妊娠という目標に向かって最短でベストな方法を選びたい。だから人工授精にトライしました
妊娠に至るまでには「つらい」「苦しい」と思うこともあったそう。
「1人目の妊活のとき、私は30代前半。まわりの友だちが結婚して『子どもができました』という報告が多い時期でもありました。トントン拍子でうまくいく友だちの姿に『また置いていかれた』と悲しくなることも。『この間結婚したのに、もう妊娠したんだ』ってジェラシーを感じる自分がイヤでしたね。ただ、私は結構忘れやすい性格。パーッとお酒を飲んだら『もういいや!』って思えちゃう(笑)。だからそんなに長く引きずらずにすみました」
また、夫の存在も大きな支えに。
「『今回も駄目だった』と打ち明ける相手は夫しかいません。そのたびに夫は『また頑張ろうね』と、優しいひと言をかけてくれました。ただ、私は甘えるのが下手なんです。すごく甘えたとして、こちらの期待どおりの反応が返ってこなかったら悲しいから(笑)。だから、あまり甘えたり深刻になったりせず、サラッと話していました。私たち夫婦にはそのくらいがちょうどよかったと思います」
そして2016年、待望の第1子を出産。慣れない育児に奮闘すること約1年、神戸さんは再び妊活を決意します。
不妊専門クリニックで2人目妊活を決意
「私の中で、なんとなく『2歳違いのきょうだいがいいな』というイメージがありました。だから上の子が1歳になったとき、『体質は変わらないはずだから、今回も妊娠しにくいだろう』と、ちょっとフライング気味に病院に行ったんです。そうしたら『相変わらずですね』と。その後、何回かタイミング法にトライしましたが、やっぱり妊娠できなかったので、今回はすっぱりと不妊治療専門クリニックに転院しました。転院先の先生は最初から『人工授精しましょう』。その言葉に、私も覚悟を決めました。それなのに、また生理が止まってしまって…。結局、再度『多嚢胞性卵巣症候群』と診断されてしまいました。また排卵を誘発することから始めて、人工授精にチャレンジすることにしました」
時間を無駄にしたくない…人工授精にステップアップ
新しい病院で、新しい治療に挑戦する―自分で決断したとはいえ、大変なことも多かったといいます。
「まず上の子の預け先を探すのが大変でした。平日なら保育園に預けられるけれど、通院が土・日・祝日に当たることが多くて、『どこに預ければいいの?』って。結局、クリニックの近くで土・日・祝日もやっている託児所を見つけて、そこに預けて通院しました。朝早く行けば午前中に終わるだろうと思っていたのに、午後までずーっと座って待っていなければいけないことも、ちょっとしんどかったです。私の場合は時間を調整しやすい仕事だからまだいいけれど、会社勤めの方だったら本当に大変だろうなと思いました。治療ももちろんタイミング法とは違うわけで…。まずは生理を起こして、新たに卵巣の年齢を調べたり子宮卵管造影検査を受けたりしてから人工授精。少し時間がかかってしまったので、気持ちばかりがあせりました。『時間を無駄にしたくない』という気持ちが強かったんです。それでも『2人目が欲しい!』という思いで治療を続け、3回目の人工授精で授かることができました」
婦人科の病院から不妊治療専門クリニックへの転院、そしてタイミング法から人工授精へのステップアップ。不安や迷いはなかったのでしょうか?
「不妊治療専門クリニックって、足を運ぶのに勇気がいりますよね。私も最初は緊張しました。でも、先生たちにとってはたくさんいる患者さんの中の1人だし、私のことばかり気にかけてくれるわけじゃない。『構えなくてもいいんだ』と思ったら、気がラクになりました。それに、『同じように妊活をしている人がこんなにたくさんいるんだ』と思うと、みんなが味方のような気分になって勇気がわきました。
治療に関しては、1人目の妊活でタイミング法のことはわかっていましたが、人工授精については勉強不足で不安もありました。でも、専門クリニックの先生が『人工授精しましょう』と言うんだから、それに乗っかろうと(笑)。今振り返ると、タイミング法で粘らずに人工授精にステップアップしてよかったと思うし、もし人工授精で授からなかったら体外受精に挑戦していたと思います。妊娠という目標に向かって、最短でベストな方法を選択したいから。ただ、私の場合は2人目妊活だったから迷わず決断できたのかも。1人目だったらもっと悩んでいたかもしれません」
「一緒に頑張ろう」妊活で夫婦の絆がより深く
二度の多嚢胞性卵巣症候群を乗り越えての妊娠。その根底には、いつも笑顔で前向きな神戸さんらしい考え方がありました。
「妊活においては病気が妨げになりましたが、だからといって子どもをあきらめる気持ちにはなりませんでした。私の場合、もともと生理不順で『子どもができにくい』と言い渡されていたので、その心構えもありました。いきなり『不妊ですよ』ではないから、『あ、やっぱりね』って。自分が病気であることを知った上で、妊娠する方法を考えていく…それが私の妊活でした」
まずは病院で検査を受けて。自分の体の状態を知ることが妊活の第一歩です
そんなご自身の経験から、周囲にはこんなアドバイスも。
「まだ結婚していないけれど、子どもが早く欲しいという友だちには『病院に行っておいたほうがいいよ』とすすめています。定期的に体のチェックをして自分の状態を知っておけば、いざ『子どもが欲しい』となったときもタイムロスが少ないから。読者の皆さんにも、妊活を始める前に検査を受けておくことをおすすめします。自分を知る大切な時間になると思いますよ」
神戸蘭子さん「妊活は自分を知って夫婦仲を深める時間」
最後に「神戸さんにとって妊活はどんな時間でしたか?」と質問すると、「夫婦仲を深める時間」との答えが返ってきました。
「妊活中は夫婦で一緒にいる時間が増えるし、子どものことも含めて将来の話をたくさんするから関係が密になります。うちの夫は基本的に私がやりたいようにやればいいというタイプで、私の話にも『わかった』『いいんじゃない』と理解を示してくれたので、私もストレスなく妊活ができました。『一緒に頑張ろうね』と同じ目標に向かって進むことができたから、夫婦の絆がより深くなったと思います」
神戸蘭子さんの妊活中の「やってよかった!」
【1】 食生活の改善
以前は朝ごはんを食べることもなかったし、お酒も飲むし、不摂生な生活をしていましたが、妊活を始めてからは「体の中から整えたほうがいいかな」と考えるように。
朝はスムージーを飲むなど、食生活を見直しました。
【2】 体を温める
私はシャワーだけでもOKなタイプなのですが、「体を温めるといい」という話を聞いて、おふろにゆっくり入るようにしました。
「おしゃれは寒くても我慢する」というのも改めて、冷えやすい足先を温めるようにしていました。
【3】 人間関係のデトックス
なかなか授からないのは「ストレスも一因かも」と思ったので、ストレスをすべてなくすために人間関係を整理しました。
人づき合いを変えることで環境も変わり、心身ともにリラックスできる状態になりました。
【4】 たまにはお酒でストレス解消
妊活を始めてからはお酒を飲むことも減りました。
ただ、タイミング法で「駄目だった」とわかったときだけは友だちと飲みに行って深酒(笑)。期待している分落ち込んでしまうので、お酒でストレス解消していました。
●撮影/関 信行
●スタイリング/藤井エヴィ(FJ-PLUS)
●ヘア/NAVE
●メイク/中村真菜
●取材・文/本木頼子
ワンピース16,000円/And Couture(And Coutureルミネ新宿店)