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蚊だけじゃない!夏は虫刺されによる感染症に注意!

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夏はさけては通れない虫刺され。かゆいのはもちろんですが、場合によっては虫刺されが原因の感染症にかかることも。国内での虫刺されによる感染症は少ないものの、海外からの感染者により流行する可能性や、赤ちゃん・妊婦さんに影響があることも。蚊が活発になる前に知っておきたいお話を、元国立感染症研究所昆虫医科学部第一室室長で、現在レック株式会社バルサン事業本部技術顧問を務める津田良夫先生に聞きました。

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蚊が病気を媒介!海外では死に至る感染症も

病気の原因になる病原体の中には、蚊やマダニなどの体内で増え、それらがヒトを吸血するときに唾液(だえき)とともにヒトに注入され伝搬していく、特殊な病原体がいます。この特殊な病原体をもつ虫の数は多くはありませんが、刺されると病気に感染します。

日本国内では、蚊に刺されて感染する病気は日本脳炎だけですが、世界的に見れば、マラリア、デング熱、チクングニヤ熱、黄熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、ジカウイルス感染症などをはじめ、蚊に刺されて感染する病気はたくさんあり、毎年非常に多くの人が死亡しています。2018年11月に公表された統計*¹によると、マラリアにより1年間に約2億2000万人が感染し、推計43万5,000人が死亡しています。(*¹出典 World malaria report 2018)

とくに東南アジアやアフリカ、中南米など熱帯・亜熱帯地域では蚊に刺されることが原因で感染する病気が流行しています。そのため、これらの地域に仕事や旅行で出かけ、現地で蚊に刺されて病気に感染し、帰国後に発症する人が年々増えています。

日本で気をつけたい日本脳炎。予防接種が重要に

日本脳炎は、予防接種を受けていれば感染することはありません。ただしワクチンを接種していないと非常に深刻な問題(日本脳炎患者の死亡率は20~40%と高く、生存者の45~70%には後遺症が残ります)になる可能性が高くなります。

小児ではとくに重度の障害(パーキンソン病様症状やけいれん、まひ、精神発達遅滞、精神障害など)を残すことが多いため、予防接種を受けられる月齢になったら、早めに受けるようにしましょう。

まだ予防接種を受けていないという方は、虫よけを徹底するよう意識しましょう。また、日本で日本脳炎をうつす蚊はコガタアカイエカだけと考えられており、この蚊は農村地域に多く、夜に刺しに来ることが多いため、農村地域に暮らす方はより注意が必要です。

日本で感染する可能性は低いが、妊婦が感染すると胎児に影響が?ジカウイルス感染症をさけるポイント

ジカウイルス感染症は、感染すると微熱、皮疹、結膜充血、頭痛、関節痛などの症状が現れますが、感染しても症状が現れない人の割合が80%以上と高く、多くの患者は重症化することなく数日のうちに回復します。

媒体となるもっとも危険な蚊(ネッタイシマカという種類)は日本には分布しておらず、ジカウイルス感染症も、現在の日本にはない病気です。

ただ、近年になって妊婦が感染すると胎児に影響があると指摘されるようになりました。妊婦さんは、ジカウイルスが流行している地域には滞在しない、どうしても滞在しなければならない場合は、蚊に刺されないよう細心の注意を払ってください。

また、ジカウイルスは性交渉によっても感染することが知られています。前述した症状が現れた場合は、すぐに受診することが重要です。


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重症化すると死の危険も。海外から国内へ持ち込まれるがあるデング熱・デング出血熱は「茂みに注意」

2014年に代々木公園(東京都渋谷区)の周辺で流行したデング熱。感染しても症状が軽く自然に回復する人が多いのですが、38.5℃以上の高熱・頭痛・関節痛などの症状が出ることも。また、突然出血性となり重症化(デング出血熱)するケースもあり、油断できません。

デング熱は、もともと日本には存在していない病気ですが、海外で感染して帰国後に発症する人が増えていること、日本産のヒトスジシマカが媒介能力をもつことから、国内での流行が危惧(きぐ)されています。

さらに、幼児は刺されやすい傾向にあること、ヒトスジシマカの活動時間・場所が幼児の活動範囲と重なる部分が多い(主に早朝から夕方まで活動し、庭や公園、墓地などの木の茂みに潜んでヒトや動物が近づくのを待ち伏せています)ことから、子育て家庭ではとくに注意したい病気です。茂みには近づかない、お散歩するときはなるべく肌を露出しないなど対策しましょう。

蚊だけじゃない!感染症予防のために注意したい「ダニの仲間」

蚊のほかに、感染症を媒介する虫として、国内で注意したいのがマダニやツツガムシというダニの仲間です。刺されると、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑(こうはん)熱、つつが虫病、ライム病などに感染します。これらの患者が発生するとテレビや新聞などで報道されることが多いので、注意しておくとよいでしょう。

ダニに刺されないようにするには、長袖長ズボンを着用し、露出部には虫よけを塗布する。野外活動後は、入浴して体に付着したダニを洗い流す方法もあります。既にマダニが吸着している場合は、すぐに皮膚科を受診して取り除いてもらうようにしてください。

蚊の発生を抑える、肌の露出をさける、虫よけ・蚊取り線香。定番だけど大切な虫刺され対策

デング熱を媒介するヒトスジシマカは茂みに潜むため、公園などに出かけるときは長袖・長ズボンなどを着用して肌が露出する部分を最小限にする、肌が出る部分には虫よけをつける、携帯できるタイプの蚊取り線香を併用するなど、日常的に気をつけましょう。

屋内では虫が部屋に入らないよう予防しましょう。また、植木の剪定(せんてい)や除草を行って木陰を減らして風通しをよくすることで蚊が潜む場所を減らす、植木鉢の水受け皿やジョウロなどに水がたまるとボウフラが発生するので週1回はたまった水を捨てる、などの対策も有効です。

お話を伺った先生
津田良夫先生

元国立感染症研究所 昆虫医科学部 室長で、現在レック株式会社バルサン事業本部技術顧問を務める。人や動物の病気を媒介する蚊の生態を研究している。


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