排卵から着床までのメカニズムを知っておいて
排卵・受精のメカニズム
妊娠するためには、まずは卵子が卵巣から排卵されること、精子と出会って受精すること、受精卵が子宮の中で順調に育つこと、が必要になってきます。そのどれが欠けても妊娠することはできません。
卵巣から排卵、男性の体から射精がなされて、卵管で卵子と精子が出会い、受精卵が誕生。それが子宮の内側に着床して初めて妊娠が成功します。
この一連の流れが起こっての「妊娠」は、まさに生命の神秘以外の何物でもありません。
卵巣にある卵子は、月に1回、1個だけ、卵巣の壁を破って外に飛び出します。それを卵管の先にある卵管采がキャッチして、卵管に卵子が入ります。
卵子の寿命は約24時間ぐらいといわれています。
1回の射精で出る精子の数は約1億個。精子が卵子と出会える卵管膨大部にたどり着くには数十分から1~2時間かかり、この間に精子の数は100~1000個に減ります。精子は約3日程度、生きていることができます。
卵管に数百個の精子がたどり着くと、卵子を取り囲み、卵子の殻である「透明帯」を溶かす酵素を出します。やがて、どれか1つの精子が卵子の中に入り込むと、ほかの精子が入り込めなくなり、新しい命の細胞分裂が始まります。
受精卵は細胞分裂をしながら、7~10日かけて子宮へと移動します。子宮に届くころには、受精卵を覆う膜を破って孵化します。無事、孵化した受精卵が子宮の内膜に埋もれて着床できると、妊娠が成立します。
月経周期が28日型の人は、最終月経開始日を妊娠0週0日と数えます。約2週間後に排卵日を迎え、受精後7~10日で受精卵は子宮内膜に着床、妊娠が成立します。この時点で妊娠週数は3週と数えます。
【監修】医療法人浅田レディースクリニック理事長 浅田レディースクリニック名古屋駅前クリニック院長 浅田レディース勝川クリニック院長
浅田義正先生
名古屋大学医学部卒。医学博士。米国で顕微授精の研究に携わり、1995年、名古屋大学医学部付属病院分院にて、精巣精子を用いたICSI(卵細胞質内精子注入法)による日本初の妊娠例を報告。日本生殖医学学会認定生殖医療専門医。
【監修】出産ジャーナリスト
河合蘭さん
1986年より出産に関する執筆活動を開始。東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院等の非常勤講師も務める。著書『未妊—「産む」と決められない』(生活人新書)、『卵子老化の真実』(文春新書)など多数。2016年『出生前診断─出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(朝日新書)で科学ジャーナリスト賞受賞。