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【ドクター&ジャーナリスト対談】みんなが気になる不妊治療保険適用化のことを聞いた!

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保険適用化によって、これからの不妊治療はどうなるのか? 新たに見えてきた課題とは?
約40年にわたり高度生殖医療に携ってきた医師の京野廣一先生と、不妊治療の現状を追い続けてきた出産ジャーナリストの河合蘭さんが語り合いました。

不妊治療の保険適用「専門医&出産ジャーナリスト対談」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023」


子どもが欲しい人の声が国に届いた

■河合さん:
いよいよ不妊治療の保険適用がスタートしましたね。京野先生のクリニックでは保険診療が始まる前からオンラインセミナーを何度も開かれ、最新情報を伝えてくださっていたので、患者さんたちはとても助かったと思います。実は私もセミナーに参加して、しっかり勉強させていただきました。

■京野先生:
セミナーがお役に立てたならうれしいです。実は、保険診療の細かな規則は、国もギリギリまで決められず、私たちも手探りで準備をしました。必死で新しい料金表をつくり、患者さんへどう説明すべきか、一生懸命考えました。

■河合さん:
保険適用は、まるで革命のように大変なことだったと思います。でも、治療費が安くなった患者さんたちは、支払窓口で本当に喜んでいるのではないでしょうか。最近、患者さんに取材したら、「窓口で金額を聞いて、感動した」という声を聞きました。自分が必死に頑張っていることを国がサポートしてくれたら、とてもうれしいですよね。お財布だけではなく、心も慰められます。

■京野先生:
その点は本当によかったと私たちも思っています。患者さんたちは本当に努力していらっしゃいますから、子どもが欲しい人の声が国に届いたのはよかったですよ。

■河合さん:
治療に入る前に、カップルが2人一緒に来院して「治療計画書」を作成することが保険適用のマストとなりました。このシステムも、とても好評ですね。これまでは、京野先生も、ご主人の顔を一度も見ることなく治療することが多かったのではないですか?

■京野先生:
はい、それが現実でした。だから、これは国がとてもいいルールをつくってくださったと思います。ご主人のなかには治療に消極的なかたもいますが、奥様が「あなたが来たら安くなるのよ」と言えば、それでも来ないかたは、まず、いません(笑)。ご主人が仕事の都合でなかなか来られない場合はオンライン面談をして、後日、奥様が診察に来られたときに、ご主人が署名した書類を持ってきていただきます。

増えている若い患者さんたち

■河合さん:
保険診療が始まってから、患者さんの人数は増えていますか?

■京野先生:
私のクリニックは仙台、盛岡、東京の3ヶ所にありますが、仙台と盛岡は患者さんが目に見えて増えています。それも年齢の若い、初めて治療する患者さんが増えました。

■河合さん:
やっぱり、そうですか。

■京野先生:
東京にはクリニックがたくさんあるので患者さんの人数は増えていませんが、やはり年齢層は若くなりました。今までは35歳未満のかたは少なかったのですが、保険適用になった途端に、30代前半やもっと若いかたが増えてきました。初めて治療をするかたも多いし、妊娠しやすい日を推測する「タイミング法」、調整した精液を子宮に注入する「人工授精」などを繰り返していたかたたちが、「体外受精」へとステップアップするケースも目立ちます。

■河合さん:
すごい変化ですね。タイミング法、人工授精と体外受精では大変さが違いますから、ステップアップを悩むかたが多いのですが、保険適用が背中を押しているんですね。

■京野先生:
そうなんですよ。だから私は、この保険適用によって、日本の体外受精による妊娠率が全体的に上がるのではないかと思っています。不妊治療で妊娠率を左右する最も大きいものは、年齢です。日本産科婦人科学会のデータを見ても、30代前半なら1回の体外受精で妊娠できる率は40%を超えます。でも40歳を過ぎると10%くらいしかありません(※1)。

■河合さん:
私は、菅 義偉(すが よしひで)前首相(※2)が「体外受精を保険で受けられるようにする」と宣言したとき、真っ先に「あっ、これで若い人が早く治療するようになるといいな」と思いました。その現象が全国でしっかり起きるかどうかが、保険適用が政策として成功かどうかの分かれ目になるからです。でも当時、ツイッターなどには「体外受精を増やしても妊娠する人は増えない」など、保険適用に反対する人の声がたくさんありました。体外受精は年齢が高い人が受ける、なかなか妊娠できない医療だと決めつければ、そういう意見になるわけです。

※1 日本産科婦人科学会「2020年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」(妊娠率/総胚移植)
※2 第99代内閣総理大臣(2020年9月-2021年10月)

京野先生「患者さんの年齢層が目に見えて若くなりました。日本の体外受精は、これから妊娠率が上がるでしょう」

■京野先生:
日本の体外受精の妊娠率は確かに今まで低かったのですが、それは体外受精の技術が低いからではないんですよね。世界的に見ても、日本の患者さんの年齢が高いから、しかたがなかったんです。日本の患者さんの年齢別に人数を見ると、今のピークは40歳(※3)。39〜41歳くらいのかたがいちばん多いんです。これは海外と比較すると、なんと5~6歳くらい開きがあります。海外には若くて元気のいい国も多くて、例えばフィリピンは国民の平均年齢が20代ですよ。そうしたことでも不妊治療を受けている人の平均年齢は変化するのですが、日本同様に高齢化が進んだ先進国でも、40代の体外受精は日本ほど多くありません。

■河合さん:
他の先進国で治療を受ける人の年齢が若いのは、例えば欧州では国の助成制度に厳しい年齢制限を設けて意識づけをしてきたのがひとつの理由だと思います。日本が不妊治療の経済的負担を援助してきた歴史を振り返ると、まず自治体の助成金制度ができましたが、当初は年齢制限がなくて、途中からできました。
今回の保険適用も、年齢が制限されるかどうかは注目されていましたね。結果的に30代のかたは胚を子宮に6回戻すまでは保険で治療できるけれど、40~42歳は3回まで、43歳以上は保険がまったく使えず、すべて自費診療となりました。

■京野先生:
実は最近、40代の患者さんが少なくなってきたんです。

■河合さん:
そうなんですか。40代でパートナーとめぐり合うかたもいらっしゃいますので、そのお話は、少しつらい気持ちになります……。

■京野先生:
統計的に見ると、30代のかたの6回という回数制限は少なくありません。妊娠率が高いですから、6回も胚を戻せば多くのかたが妊娠できるでしょう。でも40代のかたの回数は、それとはまったく違います。ただでさえ妊娠率が低いうえに3回しかできないのですから、制限回数内で妊娠できる率は若いかたよりぐっと少なくなります。そういう現実もあるため、40代のかたたちは今、ご自分で考えて、治療を離れていくかたが多いという印象があります。

■河合さん:
つらいことであっても、年齢と妊娠のしやすさの関係を理解して、きちんと向き合うことは、やはり大切ですね。

■京野先生:
現代の不妊治療は、なんといっても女性の加齢がいちばん大きな課題ですからね。

※3 日本産科婦人科学会「2020年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」(ART治療周期数2020)

【京野先生が考える】不妊治療をスタートする前のCheck Point

まずは規則正しい食生活や睡眠、適度な運動、禁煙などによって健康な体づくりを心がけることが大事だと思います。そのうえで、男女それぞれが不妊検査を受けること。女性は主に採血での検査(ホルモン検査や感染症検査など)や超音波検査など、男性は精液検査などを行い、不妊の原因を調べます。

また、治療を始める前にパートナーと「いつまでに、何人子どもが欲しいのか」といった家族計画や、「どこまでの治療を、いつまでやるのか」といった治療計画を立てることも重要です。後悔のない選択ができるよう、しっかり話し合いながら治療に臨みましょう。


京野廣一 先生
河合蘭 さん


●撮影/土田 凌
●構成・文/河合 蘭
●構成/本木頼子

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

●妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023
●妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023

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