今どき不妊治療クリニックはここまで変化していた!「採卵件数の多さと豊富なメニュー」で取り組むクリニックとは?
2022年4月、不妊治療の保険適用がスタートして1年半が経ちました。費用が均一化したことにより、日本全国どこでも治療内容が同じになった、という声も聞かれる一方で、クリニックそれぞれで個性的な取り組みが広がっているようです。どんな変化が起こっているのか? 3つのクリニックを訪れ、取材しました。
今回は、多彩な組み合わせで治療法は11万通り。採卵件数の多さと豊富なメニューで取り組むはらメディカルクリニック院長の宮﨑 薫先生にご回答いただきました。
今どき不妊治療クリニックはここまで変化していた!「『妊活たまごクラブ』編集長の突撃ルポ」 #3
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2023-2024」
☆Keyword
●採卵実績年間1300〜1800件
●保険診療と自由診療のオーダーメイド
●着床不全外来など専門外来も実施
【Q】保険診療と自由診療のどちらも選択できるハイブリッド体制について教えてください。
【A】患者さまの数だけ治療法があるので、最適な治療で最短の妊娠を目指します
■宮﨑 薫先生(以下、宮﨑先生)「当院では「(1)保険診療の範囲内での治療、(2)保険診療+先進医療(自由診療)、(3)着床不全や不育症など、自分の状態に合わせた治療を希望する場合は、保険診療では選択できない自由診療による治療」を行うといった3つの選択肢を用意。その中から医師やスタッフと相談しながら、自分に合った治療法が選べるオーダーメイド治療を提供しています。」
【Q】それぞれの不妊の原因に合わせて豊富な治療メニューを用意されていると聞きました。
【A】妊娠にたどりつく方法は11万通り以上、豊富な治療方法から選択できます
■宮﨑先生「当院では治療方法を限定することなく、タイミング療法、人工授精、体外受精、さらにそれらを補う先進医療など、それぞれにおいて豊富な治療経験を持っています。その中から何を選択し、優先的に進めるかについては、不妊の原因を見極め、2人の要望を尊重しながら、一緒に進めていくようにしています。これも、オーダーメイドだからできる治療方法です。」
診察室
院長をはじめ、経験豊富な男女の医師スタッフが対応する診察室は全部で3室。
どの部屋も心和むベージュ系カラーで統一。
【Q】年間1300〜1800件もの採卵実績があるそうですね。
【A】豊富な臨床経験で培われた技術で難しい症例にも対応が可能です
■宮﨑先生「国内の不妊治療施設の90%以上が年間の採卵数300件以下といわれているなかで、当院では年間1300〜1800件と臨床数が多いのが特徴です。臨床数が多いと安定した培養体制をつくることができるほか、胚培養士の技術力向上にもつながっており、難しい症例にも対応が可能となっています。」
手術室
体外受精の採卵や、受精卵を子宮に戻す際に使用。リラックスして臨めるようにと、インテリアやカラーが異なる2室を用意。
安静室
オペ室に隣接した安静室は全9室用意。軽食が用意されており、防音設備も万全なので、ゆったりと体を休めることができる。
【Q】「着床不全」など専門の外来にも積極的に取り組んでいるそうですね。
【A】原因解明は容易ではありませんが、まずは検査を受けることが大切です
■宮﨑先生「着床前やごく初期に流産をするケースは、着床不全があると推測されますが、その原因解明は簡単なことではありません。次の体外受精の失敗を防ぐためにも、しっかりとした検査を行うことが大切です。すでに他院で行った検査でも、当院で必要と判断した場合は再度検査を行うなどして、結果に基づいた治療を提案します。」
採精室
マスターベーションに必要な雑誌やビデオを取り揃えた採精室。採取した精子は、小さな扉を開けて提出するだけ。防音はもちろん、プライバシーにも配慮。
【Q】いつでも「看護師10分相談」を受けられるなど、サポート体制にも力を入れていますね
【A】「看護師10分相談」だけでなく、あらゆる疑問や不安にお応えします
■宮﨑先生「通院中は看護師や胚培養士に気軽に相談できる「ふり返り相談」と、10分相談を受け付けています。それだけでなく、初診登録をする前に聞きたいことから、通院中の疑問点やカウンセリング、治療の費用やスケジュールなど、ありとあらゆることについて、専門スタッフに相談できる体制を整えています。」
培養室
採取した卵子を観察したり、受精して培養させる胚培養士が働く培養室。関係者以外は入ることができない徹底管理された部屋です。
【編集長check!】2人の人生や考え方に合わせ、豊富な選択肢から選べるクリニック
患者さんの人生や考え方に合わせてさまざまな選択肢を用意し、相談しながら治療を進められるのがいいですね。
また、生殖医療の整備に国の議論が進むなか、非配偶者間の精子提供による体外受精や顕微授精(IVF-D)も実施するなど、先進的な取り組みを行っている点にも注目です。
●撮影/合田和弘、鈴木江実子
●イラスト/丹下京子
●構成・文/飯田由美(BEAM)
※記事掲載の内容は2023年8月25日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。