不妊治療クリニック選びは「通いやすさ」が大切!選び方、重要3カ条って?
不妊治療を始めようと思ったときに、最初にしなくてはならないのはクリニック選び。どうやって情報収集する?クリニックを選ぶポイントは?治療を続けるときに大事なことは?
今回は「賢く情報収集!クリニックの選び方」編。
これからスタートする2人のために、妊活コーチの松本亜樹子さんに聞きました。
不妊治療クリニックの選び方 カップルでスタートする心の準備 #2
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2024-2025」
情報収集はインターネットだけでなく“実際に”行ってみることが大事!
★キーワード検索ではわからない、リアル情報に勝るものなし!
治療を始める決意をクリニックに行くかの情報収集を始めましょう。通えるエリアに複数のクリニックがある場合、まずはインターネットと思います。ただしキーワード検索しても、自分ががダイレクトにわかるとは限りません。候補のクリニックには、とにかく一度行ってみましょう。いきなり受診しなくても、説明会に参加してみたり、とりあえずクリニックの前まで行って雰囲気を感じてみたりしてください。受診し始めてからも、ドクターやクリニックのスタッフとの相性が合うかどうかはとても大事です。もし、あまりにストレスになるようなら、転院しても大丈夫ということも覚えておきましょう。
【DATA】不妊・不育治療を始める際に、治療の情報はどのように探しましたか?
いちばん多いのは、やはり病院のウェブサイト。SNSや一般的な情報サイトも合わせると、ほとんどの人がまずはウェブから情報を得ています。だからこそ、実際にクリニックの雰囲気を感じることが貴重な情報源となるでしょう。
【クリニック選び】情報取集のポイント
★カウンセラーの配備や妊娠後の連携
不妊治療中の心身を健康な状態にするために、漢方や鍼灸などの東洋医学や理学療法、専門の心理カウンセリングなどが受けられる施設もあります。また、妊娠後に出産できる医療機関と連携ができているクリニックも安心。こうした周辺情報も大切です。
★信頼できる人の口コミを頼る
SNSでの情報収集もよいですが、情報源が確かか必ずチェックして。「雰囲気がよい」という口コミも、自分に合うかどうかまではわかりません。やはり自分たちで実際にクリニックに行ってみる、わかりづらい部分は信頼できる人の口コミに頼る、と考えて。
★説明会に参加する
クリニックが主催する説明会では、治療に関する基礎的な内容や治療全体の流れについての情報収集ができます。パンフレットを読んだだけではわかりづらい治療内容について、説明を受けることで理解が深まり、診察時間を有意義に使うことにもつながります。
クリニックの「通いやすさ」の項目別チェックポイント
★何度も通うことになる場所だから「通いやすさ」が大事
不妊治療1回だけでは終わりません。女性の場合は、検査だけでも月経周期のタイミングごとに通院が必要な場合がありますし、排卵のタイミングを見るためにも何回も通うことになります。2~3度の通院なら、多少通いにくくても気合で通えるかもしれませんが、長く通うとなると物理的にも精神的にも「通いやすさ」はとても大切です。
【チェックポイント①】クリニックの立地
★自宅や職場から通いやすい場所にある
物理的な「通いやすさ」を重視しましょう。自宅に近いというだけでなく、通勤経路の途中にある、看板を見かけるなど、地理的・心理的に近いと感じることが、通いやすい場所の条件です。職場に近いところなら、ちょっと仕事を抜け出して受診することも可能かも。
【チェックポイント②】不妊治療と仕事との両立
★夜間や週末など診療時間の融通がきく
不妊治療の通院は不定期で、直前になって急に受診日が決まることもあります。そのため、仕事のスケジュールとの折り合いをつけるのが難しいときも。クリニックによって、朝や夜間、週末に受診できるところもあるので、自分の生活サイクルと診療時間が合うところを探してみましょう。
【チェックポイント③】クリニックの治療実績
★治療費や治療内容が横並びなら治療実績で選んでも。ただし条件もチェック
病院選びの際には治療実績を知りたいところですが、公表しているところは多くはありません。公表している場合は、どういう条件下の妊娠率なのかをよく見てみましょう。患者全体の年齢が若ければ必然的に妊娠率は高いでしょうし、「妊娠」をどの段階に定義するかによっても違います。
【DATA①】仕事をしながらの不妊治療は難しかった?
今回の調査では、「仕事と治療の両立をとくに難しく感じなかった」「職場に理解があった」という人が、「両立を難しく感じた」人より多かった、という結果に。ただ、約4割の人が大変さを訴えていました。
【DATA②】仕事をしながら治療を続ける上で難しかったことは?
その他の回答
●職場の理解がなかった
●職場の人に申し訳ない、気まずいと感じていた
●治療していることを言い出しづらかった
●その他(いいこともつらいこともあったなど)
【治療を始めてからの心の準備】治療を始めてから、つらくならないために覚えておいてほしいこと
★カップルの間でたくさんの話し合いが大事
そもそも「なぜ子どもが欲しいのか」と考ろることは必須です。結婚=子どもを持つとは限らなくなっている世の中で、子どもを欲しいと思ったのはなぜなのか。愛するパートナーと一緒に子育てしたい、家族をもう一人増やしたいと思ったからではありませんか?そうしたモチベーションの基礎となる想いがないと、不妊治療は続きません。赤ちゃんを産み育てたいという思いを、そのつど2人で確認しながら治療を進めてください。
覚えておいてほしいこと 3カ条
★その①:職場にある制度をうまく活用して
「くるみんプラス(※)」をはじめ、不妊治療のサポート制度の整備は進んでいます。NPO法人 Fineの調査では、「職場に不妊や不育症治療をサポートする制度がある」とした回答は前回、2017年調査で6%でしたが、昨年は20%と増えています。でも、その制度を「使った(使おうと思う)」人は、前回59%、今回60%とほぼ変わらず。制度があるのに活用しないのはもったいないことです。理解が得られないかもとあきらめないで、まずは仕事先の総務などに相談してみましょう。
★その②:疲れたら立ち止まって考えてOK
保険適用によって、不妊治療のスタート時はそんなに多額のお金がかかることはありません。とりあえずは検査だけ受けてみよう、でもいいのです。不妊治療が始まってからでも、少し立ち止まって考えることもできるし、休むこともできます。1人で抱え込まないためにも、必要なのはやはり2人の対話です。また、気軽に転院をすすめるわけではありませんが、心身ともに無理をして成果の出ない病院に通い続けなくてもいい、ということも覚えておいてほしいと思います。
★その③:2人の気持ちのバランスをうまくとろう
治療がスタートしてからも、時間やお金のことを含めて、治療をどこまで続けるかということを、よく話し合いましょう。男性不妊についての情報もずいぶん浸透してきたので、女性ばかりが悩む問題ではなくなりつつあるかもしれません。それでも、女性か男性のどちらかが赤ちゃんを欲しいと強く思い、どちらかの気持ちが追いつかないこともあります。2人の関係が良好で、気持ちのバランスがとれていることが不妊治療には必要です。
※くるみんプラス…不妊治療のための休暇制度や、時差出勤制度、テレワークの選択制度があるなど一定の認定基準を満たした企業が認定される。助成金申請や、イメージアップなど企業側のメリットも。
■監修
●イラスト/別府麻衣
●構成・文/関川香織
※本誌掲載の内容は2024年8月19日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。