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苦しくて辛い…「どの選択でも人生を満足いくものに」と不妊治療の心の専門家

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不妊治療中には、体だけではなく、心の面でも傷ついたり、ストレスを感じたりすることがあります。
そんなときはどうしたらいいのか? 不妊治療の心の専門家の平山先生にお話を聞きました。

※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2020-2021年版」

不妊治療を始めるときに…

★治療を始めると、どんな「心のストレス」が起こりうるのか、知っておくことも大事です。

不妊治療は、病気やケガを治す治療とは違うものです。治療を始めても、不妊の原因がわからないまま治療のステップが進んでいくこともあるし、酷なようですが、治療を受けていても必ず妊娠する可能性はどこにもないのです。
ドクターはもちろん、患者さんの希望をかなえるために最大限の努力をしてくれます。しかし不妊治療を受ける人に対して、理解のない人もいまだに存在します。心無い言葉をかけられて傷ついたりするなど、治療そのもののストレス以外にも、さまざまな負担がかかる可能性があることを知っておきましょう。

●2人で不妊治療を振り返るポイントを考えておきましょう。とりあえずかけられる予算や時間を決めておき、そこに到達したら、ぜひ計画の見直しを。

●子どものいる人生を送るための方法は不妊治療だけではありません。子どもを「育てる」なら、養子縁組や里親も素敵な選択。最初から選択肢を狭めないで。

●生殖医療は万能ではありません。希望をもつことは大切ですが、過度な期待は後々自分を苦しめてしまいます。客観的・現実的な視点も忘れずに。

●勉強や仕事は、努力をしたら、ある程度の結果が出るものですが、頑張っても結果が出ないこともある、というのが不妊治療だということを心にとめておいて。

不妊治療中に・・・

★時には傷つくことも。その場合はその対象から距離を置いてもいいのです。無理は禁物です。

本来、不妊は2人の問題です。でも家族や周囲の人との関係も無視できないのが現実です。
ネットでの情報を含めた、自分たちの周りの声に振り回されてしまいがちですが、自分たちのことは、自分たちが決めていいのだという基本に常に立ち返るようにしましょう。

夫婦間で

●女性側の負担が大きいことが多く、男性が同じ経験をすることはできません。そのために気持ちや思いにずれが生じがち。ただわかり合うことは可能なので”私は〇〇と感じている”と自分の気持ちを理解してもらえるよう伝えてみて。

●治療方針を話すときに、女性が感情的になってしまうと男性は話をする気をなくしてしまいます。治療は科学的なものですから、医療者やカウンセラーを入れ論理的に説明してもらうことで男性の理解が進むことも知っておいて。

●治療中の心のずれが夫婦間の亀裂に発展していくことも。そうならないよう、できるだけ話し合いを。お互い疲れているときは、いつなら話ができるという約束から始めてもいいのです。危機を乗り越えられれば絆はより強固に。

親など家族に対して

●よくあるのが、夫婦やカップルの男性が、実家と妻の間を取り持とうとして、どっちつかずな態度をとってしまうこと。結婚した以上、夫は妻の味方であるという明確な態度をとることが、夫婦円満の秘訣ということを心得ておいて。

●関係が近いからこそ、悪気なく踏み込んでくる家族の言動に傷つくこともよくあります。そういうときは、「いざというときに頼りにしているから、今は見守っていてね」と、適切な距離を取ることを相手にお願いすることも大事です。

友人・知人に対して

●そもそも不妊治療をしていると、肉体的にも精神的にも疲れてきます。会いたくない、と思う人とは、どんな場合でも無理をしてつき合う必要はないのです。

●同級生や同僚など、女性同士のグループ内では、時にマウンティングが行われることも。自分が嫌な気持ちになったら、一時的でもいいのでその場から離れましょう。

●治療中だからわかりあえる関係というのも。例えば不妊治療の当事者の会などに参加してみても。その際はできるだけ専門家が関わっている会へ。

今後について迷ったとき

★なかなか結果が出ないとき、悩むのは、この先どうすべきかということ。そんなときは?

不妊治療は「妊娠すること」がゴールのため、妊娠できなかったらどうする?、という先の方針を立てて不妊治療を始める人はほとんどいません。しかし、なかなか妊娠できない場合、身体的、経済的に、「治療をやめる?」という悩みが出てくるのは当たり前のこと。
そんなときは治療をすっぱりやめてしまうのではなく、「休む」という選択肢をおすすめします。とくに、自分が「治療に振り回されている」と感じたときは、いったん治療を休んでみるといいでしょう。時には通っているクリニックを見直すことも必要です。

●ドクターにお願いして正確な状況を教えてもらうというのも、今後のためには大切。ただ、あきらめるために医師から「妊娠できません」と言ってもらうことは期待しないで。

●「治療をやめる」とはなかなか決断できないもの。「1年たったら1回考えよう」「体外受精を3回受けたら考えよう」など、「考える」タイミングを決めておくといいでしょう。

治療中にストレスや怒りを感じたら

治療そのものに対するつらさはもちろん、不妊治療中だからこそ感じるストレスや怒りがあります。対処法をご紹介します。

【ストレスの対処法】
不妊治療中のつらさの一つに未来への不安があります。不安を感じたときは、それを消そうとせず「今、不安に感じている自分がいる」と優しく認めてしまいましょう。そしてその不安のことを考えないよう手作業をしたり、目の前のことに意識を向けてみて。不安へのとらわれを少しずつ減らすことが大切です。

【怒りの対処法】
怒りは本来、自分を成長させるためには必要な健康的な感情です。でも、怒りに支配されてしまうことで、心身に悪影響を及ぼすことが。治療中に、だれかに何かを言われて頭に来たときなどは、すぐに反応せず、まず「今、自分は怒りを感じている」と自分を客観的に観察するクセをつけるようにしましょう。

平山先生からのメッセージ

不妊治療を経験すると、子どもを産み育てる人生が当たり前ではないことに気づきます。それは、これからの人生を見つめ直す機会でもあります。夫婦や家族の問題が表面化することも多く、「子どもさえできれば」と思いがちです。
ですが、子どもを持つ、持たない、持てない、どの選択でも、あなたの人生を幸せで満足いくものにすることは可能です。
不妊治療は、あなたが幸せになるための一つの方法ですから、自分らしい不妊治療との付き合い方を見つけていってください。

監修:平山史朗先生

■公認心理師・臨床心理士 生殖心理カウンセラー 平山史朗先生
広島大学教育学部心理学科卒業。アメリカで不妊体験者のためのカウンセリングについて学んだ後、現在は東京HARTクリニックで生殖心理カウンセラーとして活動。著書に『妊活に疲れたら、開く本』(主婦の友社)など。

■イラスト/柳原パト
■取材・文/長谷川華

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2020-2021』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

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