SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 妊娠・出産
  3. 妊婦健診・検査でおなかの赤ちゃんに「異常所見」が見つかったら? 

妊婦健診・検査でおなかの赤ちゃんに「異常所見」が見つかったら? 

更新

おなかの赤ちゃんの成長とママ(母体)の健康状態を確認するために妊婦健診があり、その他にも任意で受けられる出生前診断*のように、赤ちゃんの染色体異常や先天性疾患を調べる検査のオプションがいくつかあります。まれに、妊婦健診や出生前診断から赤ちゃんの成長に問題がみられたり、先天性疾患かも知れないという所見が見つかることも。そんなときは、どうすれば良いのでしょうか。今回は、専門医と認定遺伝カウンセラー®にお聞きしました。
*出生前診断:保険診療外で受ける任意の検査であり、実施可能な施設・クリニックは限られています。染色体異常に対する羊水検査・絨毛検査・NIPT(新型出生前診断)、赤ちゃんの全身を詳しく調べる超音波スクリーニング検査 などがあります。

心配しすぎることはありません。まずは夫婦でよく話し合い、専門施設に相談を

今回は、赤ちゃんの健康状態に心配が生じた際に精密検査とその後の管理を担当されている高次医療施設の産科ドクターである室月淳(むろつき・じゅん)先生と、赤ちゃんの成長や健康に心配を抱えたママ・パパのフォローのために活躍されている認定遺伝カウンセラー®の小川真紀(おがわ・まき)さんにお話を伺いました。

Q.妊婦健診のエコー検査からどんなことが分かりますか?
A.具体的には赤ちゃんの骨の長さや推定体重などもわかります

室月先生: 赤ちゃんと子宮内の状態について色々なことが分かるのが超音波検査(エコー検査)であり、産科医療においてとても重要なツールです。おなかの赤ちゃんが順調に育っているか、羊水の量は適切であるかなどを診ています。他にも、子宮内で胎盤が作られている位置や赤ちゃんの向き(頭が下に向いているか)などがエコー検査から分かります。

エコー画像からは、赤ちゃんの頭や胴体の大きさ、大腿骨の長さが何センチであるかを測定すると、そこから推定体重を計算することができます。また、大腿骨はヒトの体のなかで最も大きな骨であり、その長さの変化から骨格の成長を見守ることができます。数回の検査のなかでこれらの数値が、赤ちゃんの週齡に応じた平均値に比べてあまり成長していない場合には、産科医はより慎重に赤ちゃんを見守ることになります。ママ(母体)の栄養状態に問題があるのか、あるいは、赤ちゃん自身に何らかの原因があるのかを意識しつつ、経過を追います。

妊婦健診におけるエコー検査は、先天性疾患などを発見することが目的ではなく、あくまでも赤ちゃんや子宮内の状況を見守ることが目的です。しかし、エコーで赤ちゃんを診ていると、成長が十分でないかもしれないなど、ちょっとした心配ごとが生じる場合があります。

Q.もしエコー検査で何かみつかったらどうしたらよいのですか?
A.偶然に見つかった所見は心配無いこともありますが、必要なときは精密検査を実施します

室月先生: エコー検査では、赤ちゃんの成長の問題以外にも、心拍の異常や体の一部のむくみなどが、偶発的に見られる場合があります。これらの所見は、一過性であったり、心配のないものであったりすることもあります。しかし、やはりこれは心配だということになると、赤ちゃんに先天性疾患があるかも知れませんので、健診を受けている病院に精密検査やその後の管理ができる設備や体制がなければ、それらができる病院に紹介・転院が必要となります。このようにして、精密検査やその後の管理ができる病院では、近隣の産科クリニックから紹介されてくる妊婦さんへの精密検査と疾患の診断をおこない、その後もママ・パパへのカウンセリング、分娩、出生後の治療(新生児科、小児内科・外科などでの治療)を担当します。

Q:安心のために出生前診断も受けるべきでしょうか?
A.出生前診断は、赤ちゃんに異常がある可能性(疑い)を早い時期に見つけることができますが、万能ではありません。

室月先生: 普段の妊婦健診で偶然に異常な所見がみられた場合には医師の判断により精密検査が必要になることがありますが、これとは別に、何も異常な所見がない場合であっても実施可能な施設において任意で受けることができる出生前診断と呼ばれる検査オプションがいくつかあります。具体的には、21トリソミー(ダウン症候群)などの染色体異常を調べるものとして 、羊水検査や絨毛検査、NIPT(新型出生前診断)があります。また、赤ちゃんの心臓をはじめとする全身の臓器の異常を詳しく調べる超音波スクリーニング検査と呼ばれるものもあります。最近の技術の進歩によって、赤ちゃんに異常がある可能性を早く見つけることができるようになったと言えますが、出生前診断は必ずしも万能ではないことに気をつける必要があります。
例えば、NIPTはママの血液を用いて比較的安全に検査できますが、陽性と判定された場合、その結果を確定するためには追加で羊水検査や絨毛検査を実施する必要があります。羊水検査や絨毛検査では針などの器具を用いて羊水・絨毛を採取するため、確率は低いものの流産をはじめとする合併症のリスクがあります。また、超音波スクリーニング検査は、赤ちゃんの全身をじっくりと時間をかけてエコーで観察しますが、必ず異常が見つけられるわけではなく、検査では異常が無かったのに出生後に異常が見つかったり、検査で異常が疑われても出生後何も異常がないケースもあります。

Q出生前診断を受ける際の注意点はありますか?
A. 出生前診断の検査前に病院・クリニックとよく相談し、夫婦で話し合いましょう

室月先生:
 最近の技術の進歩によって、おなかの赤ちゃんの様々な異常を発見できるようになったと言えますが、これらの検査は必ずしも万能ではないことに気をつける必要があります。また、出生前診断を受けるママ・パパの気持ちは「安心したい」というものだと思います。多くの場合は検査を受けても異常が見つかることもなく、安心して出産に向かうことができるでしょう。しかし、数パーセントの方は陽性の所見が見つかることになります。その予想しない結果に慌ててしまうことになるかも知れません。ですから、これらの検査を受ける際には、事前に、何らかの異常が見つかった場合にどうするのかについて考え、ママ・パパの間でよく話し合っておく必要があるでしょう。その際、実施する病院・クリニックで検査のメリット・デメリットについてよく説明を受けておくことが大切です。できれば、妊婦健診後の精密検査と同様に、出生前診断に関しても「検査前カウンセリング」を受けて頂きたいと思います。

検査前カウンセリングでは、出生前診断を「受けない」選択もあることをお伝えしています

室月先生のお話にもでてきた検査前カウンセリングとはどのようなものでしょうか? 認定遺伝カウンセラー®の小川真紀さんにも具体的な内容をお聞きしました。

小川さん: 私たち遺伝カウンセラーは、出生前診断を受けた方だけでなく、出生前診断を受けるかどうかを迷われている方の相談にも応じています。私のもとに寄せられた周産期に関する相談件数は、最近4年の間に3.5倍に増えています。それだけ、出生前診断に対する関心が高まっており、また、検査を受けるか否かで迷われている方も増えているのだと思います。
「○○検査というものがある」と知ってしまったがゆえに、その検査を受ける必要があるのではないか、受けないと後悔するのではないか、と迷われる方も少なくありません。
私たちは、様々な情報をお話したうえで、「検査を受けないという選択もありますよ」とお伝えすると、一旦持ち帰ってから後日「やはり私は受けません」とお気持ちが固まる方もおられます。ですから、迷われている方は事前に是非相談して頂きたいと思います。

Q:赤ちゃんの成長に問題がある場合、治療法はあるのでしょうか?

A.検査方法だけでなく、新しい治療薬が開発されたり生後の治療も進歩しています

室月先生:
 赤ちゃんの遺伝子や染色体に異常がある場合、現在の技術では、それ自体を正常化することはできません。しかし、近年様々な治療法が研究開発されています。
一例として軟骨無形成症が挙げられます。軟骨無形成症は骨の形成に異常がみられる疾患で、妊娠期間中に手足の成長が不十分であったり、生後は低身長のほか、呼吸や耳の聞こえの問題、背骨や下肢の変形など全身に様々な症状が現れます。出生頻度は2万分娩に1例ぐらいと言われています。出生前であれば赤ちゃん用のCTを使った精密検査、出生後はレントゲン検査で確定することができます。治療法は成長ホルモンを投与したり外科的手術が行われていますが、最近では新しい治療薬が開発され、生後の低身長が改善されると期待されています。なお、この疾患はとてもまれであり、たとえ出生前に発見・診断できなかった場合であっても、生後に診断して適切な治療を開始することで症状の改善が期待できます。
その他にも、多くの先天性疾患があり症状や治療法は様々です。なかには、出生前や出生後の症状が軽く発見されにくい疾患もあります。赤ちゃんの成長面で気になる点がありましたら専門医に相談しましょう。

室月先生、小川さんから、ママ・パパへのメッセージ

小川さん: 精密検査を受けに来たママやパパは心に大きな心配を抱えています。遺伝カウンセラーとしては、そのようなママ・パパが来院した際、初診時から診察室に同席させて頂いて、一緒に先生のお話を伺います。遺伝カウンセラーは遺伝に関する専門的な情報をママ・パパに伝えるだけでなく、診察や検査時にもなるべく同席しながら、妊娠期間を通じて伴走する役割を担っています。おなかの赤ちゃんの健康状態や検査について迷われることがありましたら、遺伝カウンセラーに相談してください。

異常な所見が見つかり不安な場合には専門施設に相談を
室月先生:
 これから健診や検査を受ける場合、赤ちゃんに先天性疾患がみつかることは決して多くはありませんので、大きく心配する必要はありません。しかし、まれに、妊婦健診から偶然に異常が見つかったり、オプションである出生前診断を受けて異常が見つかることがあります。その場合には、先天性疾患に対応できる病院を受診することになります。出生前診断の実施施設によっては紹介まで行ってくれないケースもありますので、そのような時は遠慮なく専門施設に相談して頂きたいと思います。

図書カードネットギフトが当たるアンケート実施中!

アンケートに回答された方の中から抽選で20名様に図書カードネットギフト500円分をプレゼント! ぜひ、あなたの声をお聞かせください。

アンケートはこちら

協力/BioMarin Pharmaceutical Japan 株式会社
APAC-ACH-00043.June 2023

新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。