はいはい、一人歩きで、こんな症状が見られたら…小児科医に相談しよう!
赤ちゃんの成長は、ママ・パパにとって大きな関心事。何か心配なことがあったとき、きちんと小児科医に相談したり、ささいな気がかりでも母子健康手帳に記録したりしていますか?今回、紹介する「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」のような病気を見逃さないためにも、普段から小児科医と連携することが大切です。
監修/服部文子先生
(名古屋市立大学大学院 医学研究科 新生児・小児医学分野 講師)
平成11年東京女子医科大学医学部卒業。平成18年には名古屋市立大学大学院医学研究科博士課程を修了し、現在は同大学の新生児・小児医学分野講師。日本小児科学会はじめ複数の指導医・専門医の資格を持ち、臨床医として活躍中。
成長に関する気がかりや不安はため込まずに相談を
赤ちゃんの成長について多くのママ・パパが、気がかりを感じたことがあるかもしれません。もちろん、多くは「個人差」の範囲内におさまり、心配は無用です。ただ一方で、「成長には個人差がある」と事前に聞いているからこそ、「違和感があるけど、こんなことを医師に聞いたら迷惑になってしまうかも?」と、本当は質問したいのにできない状況もあるのではないでしょうか?
自分で答えを見つけだそうとネットやSNSで検索し、それによって余計に不安が強くなった経験もあるかもしれませんね。そんなママ・パパは、ぜひ、もっと気軽に小児科医に赤ちゃんの成長のことを相談してみてください。
ごくまれですが、病気が隠れている可能性が
赤ちゃんの成長が心配なときに考えられる病気の一つに、「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」という筋疾患があります。成長するにつれ、さまざまな発達の違和感が見られるようになる、難病の一つです。以前は治療法がほぼなかったのですが、最近は、医療的ケアの充実によって早期発見と早期治療を行うと、寿命は延長し、患者さん自身の生活の質の向上も望めるようになりました。もちろん、この病気はごく少数ですし、過度な心配は必要ありません。ただ、赤ちゃんや子どもは、自分からSOSを出せないのも事実。少しでも気になることがあれば、小児科医に積極的に相談しましょう。心配ごとは母子健康手帳に記録しておくと、相談の際に役立つでしょう。
「デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」とは?
Q.どんな病気なの?
「筋ジストロフィー」とは、筋肉に必要なタンパク質の設計図となる遺伝子が変異して、筋肉の中のタンパク質が正常につくられなくなり、筋肉が壊れやすくなる病気です。「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」では筋肉の細胞膜を支えるジストロフィンというタンパク質がつくられなくなります。だんだんと筋力が低下し、運動がうまくできなくなるほか、肺や心臓などさまざまな臓器の働きが正常に行われなくなります。筋ジストロフィーのタイプは主に5つに分かれますが、最も多いのが「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」です。10万人のうち、4.8人に見られます。
※イラストは日本新薬ウェブサイトより引用
Q.症状はいつ現れるの?
0~2才の時期の発達は個人差によるところが大きいので、この時期に病気が診断されることはほぼありません。多くの症状は、3~5才の幼児期から出現。基本的に男の子に見られます。具体的な症状は、下記の「こんな症状が見られたら…」を参考にしてください。
Q.どこに相談すればいいの?
早期発見・早期治療がとても大切な病気です。まず、病気の可能性を疑ったら、小児科医に相談しましょう。小児科医が、検査が必要と判断した場合、専門の病院を紹介してくれるはずです。病気の有無にかかわらず、発育に関することは、ちょっとした気がかりでも相談して大丈夫。ぜひ、積極的に質問してみてください。
こんな症状が見られたら…小児科医に相談を!
ほとんどは特別に心配する必要はありません。ただし、赤ちゃんが成長するにつれ、下記のような状況が続くなら、小児科医に相談しましょう。
9~10カ月ごろ
□ずりばいはできるけど、はいはいがうまくできないことがある
1才6カ月ごろ
□つかまり立ちや伝い歩きはできるが、一人歩きができない
3~5才ごろ
□ふくらはぎがやや大きくてかたく、アヒルのように腰を振って歩く(下記イラスト)
□つまずきや転倒が多く、階段は手すりを使って上りがち
□ジャンプは床からほとんど足が浮かない
□言葉が遅れている
イラスト/ヨモギ田リョオコ
協力/日本新薬株式会社