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お昼寝をしない、給食を食べない、言葉が出ない…保育園からの指摘、「障害を認めてしまうのが怖かった」【自閉症育児体験談】

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みっちゃんママインタビュー 自閉症育児体験談

みっちゃんママは、重度知的障害と自閉症の息子のみっちゃん(中3)、娘のこっちゃん(小6)、パパの4人家族。みっちゃんは2022年に受けた発達検査で“2歳半程度”の精神発達年齢と診断されています。児童発達支援施設で6年間働いた経験を持つみっちゃんママに、赤ちゃんのみっちゃんに対して感じた違和感や、病院に行くまでの経緯、障害に対する考え方の変化についてお話を聞きました。全2回のインタビューの1回目です。

救急車を呼んだこともあるぐらい、とにかく泣いている赤ちゃんだった

みっちゃんママインタビュー 自閉症育児体験談
生後6カ月頃のニコニコと笑うみっちゃん

――赤ちゃんのみっちゃんに対して最初に感じた違和感を教えてください。

みっちゃんママ:当時は、「ちょっと手がかかるかなぁ」とは思っていましたが、目が合うし、あやすと笑うのでそれほど気になっていませんでした。けれども今振り返ってみると、とにかく泣いていたなぁと思います。おなかが空いているとか、おむつを替えて欲しいでもなく、なんで泣いているのかがわかりませんでした。あまりに泣くので「どこか痛いんじゃないか」と思って、ひどいときには救急車を呼んで、レントゲンを撮ったり、全身を検査してもらったこともあったのですが、特に異常はありませんでした。

また、みっちゃんは首が座るのも、つかまり立ちも早かったんですが、はいはいはほとんどありませんでした。はいはいは一般的に大人が声かけをして促すことが多いと思いますが、当時みっちゃんは声かけなどに一切反応を見せることがなかったので、もしかしたらそういった理由もあったのかもしれません……。

1歳頃になると徐々に違和感を感じてきました。飲み物を飲むとき、哺乳びん→スパウト→ストローの順に移行しますが、スパウトからストローに一向に移行できず、結局3歳近くまで穴が開くほどスパウトを吸っていました。もちろんコップでは飲めないし、ストローも口にもしてくれない、1番最初に感じたみっちゃんのこだわりでした。

3歳で病院へ。わが子の「障害を認めるのが怖かった」

みっちゃんママインタビュー 自閉症育児体験談
3歳頃のみっちゃん

――3歳で病院に行こうと決めたきっかけと、その時の葛藤について教えてください。

みっちゃんママ:1歳半のとき保育園通っていたのですが、保育園の先生からみっちゃんに対してたくさんの指摘がありました。発表会は立っているだけで何もできない、お昼寝をしない、給食を一切食べない、言葉が出ない……と毎日のように。
私も気になって自閉症について調べていたのですが、みっちゃんはよく目があうしニコニコ笑っていたので大丈夫だと思っていました。今思えばみっちゃんの障害について認めてしまうのが怖かったんだと思います。

下の子を妊娠して保育園を辞めたときに、家でみっちゃんと過ごす時間が増えて、みっちゃんの異様な行動を目の当たりにすることが増えました。そしてようやく「息子の発達がほかの子とは違う」とみっちゃんの障害を認めざるをえない状態になりました。そこから病院の予約をして、3歳になった頃にやっと病院を受診することができました。

――初めて医師から診断を聞いたときの気持ちを教えてください。

みっちゃんママ:医師から「残念ながら自閉症です。一生喋れないかもしれないです」と言われて、「残念ながら〜」という言葉が「ああ、残念なことなのか…」と心にグサっと刺さりました。「障害を治さなきゃいけないんだ」「ありのままでいてはいけないんだ」と。

診断を受ける前、周囲からは「きっと大丈夫だよ」と言ってもらったり、私も「きっと自閉症でも重くはないだろう」と思っていたのですが、医師からの「一生喋れないかもしれない」という言葉で今まで取り繕っていた前向きな考えが一気に押しつぶされて、どん底に突き落とされるような気持ちでした。今思えば、“障害についてなにもわからないことに対する恐怖”に押しつぶされていたのだと思います。

――療育に通い始めたのはいつごろですか?

みっちゃんママ:病院で診断を受けたその日のうちに「療育に行きましょう」ということになり、市内のデイサービスに手当たり次第電話をかけ、こっちゃんを抱っこ、みっちゃんの手を引いて、たくさんのデイサービスの見学に行きました。見学中、みっちゃんは慣れない場所で緊張していたのか、頭がはちきれそうな大きな声を出しパニックになることも度々ありました。それでも、神にもすがる思いで「とにかく何かをしなきゃ」と必死でした。そして7件目でようやく、きょうだい児が通える保育園を併設していて、親同士のコミュニケーションができる療育施設に巡り会うことができました。

自我を出すのが苦手だった。パニックで自傷も…馬乗りになって止める日々

みっちゃんママインタビュー 自閉症育児体験談
6年生のみっちゃんとママ

――今まで1番つらかったパニックを教えてください。

みっちゃんママ:小4〜6年生の間は、デイサービス通園する前と、帰ってきた後の1日2回は毎日パニックになっていました。長いときは2〜3時間泣き止まないことも。

それまでみっちゃんにはイヤイヤ期や思春期がなく、自我を出したり負の感情を表に出すのが苦手でした。家の外で頑張っていても「やだ」という感情を出すことができなかったので、当時はその感情をパニックで表現するしかなかったのだと思います。

顔を真っ赤にして、心臓をバックンバックンさせながら、大きな声で怒り泣きするみっちゃん。そのうちに自分の頭を叩いたり自傷をすることもあったので、馬乗りになって止めながら耳もとで小さい声で何度も「大丈夫だよ」「イヤだったんだね」と安心する言葉をなげかけていました。食事中にパニックになることもあるのでごはんやお皿が飛び散るときもありました。

その頃の私は、常に臨戦態勢でいつもヨレヨレのTシャツを着て、パニックが中心の生活を送っていました。毎日、朝起きたら「今日1日、パニックをどう乗り切ろう」と考え、帰ってくる時間になると「今日はどれぐらいのパニックだろう」とビクビクしながら過ごしていました。特に後半は体が大きくなってきた自分の息子に恐怖すら感じたり、一緒にいるのも苦痛と感じることもありましたが、デイサービスの先生に話を聞いてもらったりして常にギリギリの精神状態で過ごしていました。

今はだいぶ落ち着いて泣き叫ぶようなパニックを起こすこともほとんどなくなりましたが、1週間に1回ぐらい我慢していたことが溢れてしまって、しくしくと泣くことはあります。

――みっちゃんは主にどんなこだわりがありますか?

みっちゃんママ:最近のみっちゃんのこだわりはママ、パパ、こっちゃんの部屋の照明を豆電球にしてから出かけることとリビングで寝ること。
それと、これまでは家に帰ると服を脱ぐ癖があったんですけれど、引越しを機になくなりました。脱衣所に下着類と衣類を置いて「脱ぎ着は脱衣所でしようね」とパパと協力して声がけを徹底しました。

今までしんどかったこだわりは「食べ物が熱々じゃないと食べない」こと。1回の食事で7〜8回は電子レンジで温めていました。最後には食べ物がカリカリなってしまって泣く泣く捨てることも……。湯気が出て火傷するぐらい熱いので、喉の病気になってしまうのではと心配しましたし、給食もお弁当も食べられないし、外食もできませんでした。

「あたためなくてもおいしいよ」と伝え続け、レンジの回数減らす練習をして、給食を食べる練習をした結果、何年もかけてようやく常温のものを食べられるようになりました。今では猫舌なぐらいです(笑)。

「障害を知れば見方が変わる」youtubeで発信する理由

――みっちゃんの特技や、ママが思うみっちゃんの好きなところは?

みっちゃんママ:みっちゃんは絵本の朗読が得意です。2語文しか話せないし、字も読み書きができませんが、先生に読んでもらった絵本や私が読んだ絵本を、完璧に暗記しています。絵本の中の言葉を吸収しているせいか、家族の中ではみっちゃんの言葉づかいが1番きれいです(笑)。

みっちゃんの好きなところは、愛情深いところと優しいところです。1週間ぐらいママと離れたとき、久々に再会してから1時間ぐらい泣き止まなかったときがありました。どうやら離れている間ママのことが心配だったようでした。
あとお出かけするときは家族全員で行きたいので「ママも行く」「こっちゃんも行く」と言ったり、パパが仕事で帰ってこないときも「パパが帰ってくるまで起きてる」とパパを待っていたり家族想いです。

――みっちゃんママさんの“障害“に対する考え方が変わっていったきっかけはなんですか?

みっちゃんママ:デイサービスに通ったことや、私自身が6年間児童発達支援施設で働いたことで徐々に変わっていきました。生きづらさのある子ども、障害のある子どもにたくさん関わって、子どもたちと接するうちにその子たちが持っている“魅力”を見つけられるようになりました。今までみっちゃんの“できないこと”ばっかり目についてしまっていたんですが、仕事で疲れて帰ってくると「いつもニコニコしていて癒されるなぁ」と思うようになり、障害のことを知れば知るほど不安な気持ちがなくなっていました。今思えば「最初は障害のことを知らないから不安だったんだな」と思います。

まずは“障害を知る”ということ。いろんな人に障害のことを知ってもらうと障害に対する見方が変わる人もいるのではないかと思いyoutubeで発信を続けています。


お話・写真提供/みっちゃんママさん 取材・文/清川優美、たまひよONLINE編集部

みっちゃんの障害を受け入れるのに時間がかかったというみっちゃんママ。デイサービスに通ったり、児童発達支援施設で働くようになって、障害を持つ子どもたちの“魅力”に気づけるようになり、だんだんみっちゃんに対する意識が変わっていったと話してくれました。
強いこだわりや激しいパニックを乗り越えて、ゆっくりと着実に成長しているみっちゃん。

次回のインタビューではきょうだい児のケアや、自分の心のケア、知的障害・自閉症について世の中に知ってほしいことを聞きました。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることをめざしてさまざまな課題を取材し、発信していきます。

『2歳半のみっちゃんがくれたもの ネグレクトされた母親が重度知的障害・自閉症の息子と世界一明るい家庭を築くまで』

『2歳半のみっちゃんがくれたもの ネグレクトされた母親が重度知的障害・自閉症の息子と世界一明るい家庭を築くまで』

Youtubeチャンネル【Hikari Kizuna TV】:https://www.youtube.com/@TVHikariKizuna

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年9月の情報で、現在と異なる場合があります。

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