不妊治療に対する男性の本音が満載! 編集部がグッときた!話題のコミック「不妊男子」
不妊治療に取り組む夫婦を双方の視点から描く「不妊男子」。
編集スタッフが、男性のリアルがわかる! なるほど! と感じたシーンを厳選してお届けします。
●「不妊男子」(小学館)
出世街道を快走中のマサカズは、妻の百恵が妊娠しないことを悩んでいるのを知る。戸惑うマサカズだったが、妻と心を通わせ、妊活という未知の世界に足を踏み入れていくが……。
【「不妊男子」作者/玄黄武さんに聞いた!】不妊治療に挑戦する夫婦間の人間ドラマを描きたい
――男性の不妊治療というテーマを思いついたきっかけは?
子どもがいる・いないで、何となく妊娠・出産・子育ての話をしにくい空気を感じることがありました。気づかい故のやさしさですが、そこに伝えたいドラマがあったらいいなと思い、不妊治療をテーマにしました。
――どういった思いで「不妊男子」を執筆されていますか?
まず、医療情報に間違いがあってはなりません。様々なクリニックにご協力いただき、取材を通じて得た自分の気づきや驚きを、そのまま描くようにしています。漫画の面白さは、キャラクターの言動に気持ちが動かされることだと考えています。
「不妊男子」は”とある夫婦の物語”です。人間ドラマをしっかり描くようにしています。夫婦といえども相手を100%理解することは無理です。不妊治療に限らずぶつかることもあるでしょう。どんな問題でも、夫婦でどう乗り越えるか、男女それぞれの気持ちを表現しています。そのため夫・マサカズが主人公の回もあれば、妻・百恵が主人公の回もあります。お互いの心がすれ違いと重なりを繰り返して成長する姿に注目してください。
パートナーの精子を無断で検査!?
自身に不妊の原因が見当たらず、マサカズに伝えないまま性交後検査(フーナーテスト)をした百恵。
心配な気持ちはわかるけれど、男性にとって究極のプライバシーである精子を勝手に調べられたら、そりゃマサカズもあせりますよね……。
妻の不安を知り、一緒に歩むことを決意
楽観的に構えていたものの、卵子が老化することを知り、百恵の苦悩に気づくマサカズ。
夫婦で子どもが欲しいとの思いを共有することで、妊活が一歩前進します。マサカズの、パートナーとしての心強い一言。
タイミングの日なのに…妊活への気持ちのすれ違い
排卵日に帳尻を合わせればいいと思っていたマサカズは会社の歓迎会に参加。
約束の時間にはギリギリ間に合ったものの、それまでの準備の過程があることを百恵は伝えます。
女性の領域まで踏み込んでこないで!
妊活に積極的になったマサカズは百恵を思うあまり、過剰に排卵日を気にする日々。ついに百恵がスマホにインストールしている排卵日予測アプリを盗み見するまでに。
妊活は夫婦でするものだけど、双方譲れない部分を線引きしておくことは大事かも。
夫が無精子症になったら、あなたはどうする?
あるきっかけでマサカズは無精子症に。それでも百恵は悲嘆する姿を見せず、妊活から不妊治療に進むことを提案します。前向きな百恵に引っ張られ、マサカズもステップアップを決意!2人の不妊治療はここからスタートします。
玄黄武先生が「不妊男子」取材でいちばんグッときたのは?
「たくさんのお医者さんに取材させてもらいましたが、みなさん『胚が美しい』と口を揃えます。普段の暮らしの中、胚(受精卵)の美しさにはなかなか気づきません。今は、動画サイトなどで胚を見ることができます。視覚的な美はもちろん、概念としての美があるのでは?と想像したら、 直接読者に伝えたくなりました。この「胚の美しさ」については、第14・15話(電子書店にて配信中)で、ある女性キャラクターの不妊治療を通じて描きました。ご覧いただけると嬉しいです」
●玄黄武さん Profile
サラリーマン生活を経て漫画家になるため脱サラ、持ち込みを経て新人賞を複数受賞。本作「不妊男子」が連載デビュー作。きめ細かい感情表現とキャラの個性的な表情がデビュー前より評価されている。単行本「不妊男子」(小学館刊)1~2巻(2巻は電子版のみ)が好評発売中。
●漫画/玄黄武(小学館)
●構成・文/津島千佳
※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。