共働き夫婦の「2人目妊活の壁」はお金? 第2子を出産後の働くFPママに聞く!
タマホーム株式会社が2013年に立ち上げた 「1 more Baby応援団」の調査によると、現在子どもを1人もつ既婚者のうち65.2%が「2人以上が理想」と回答しました。
一方で、出産をためらう「2人目の壁」が存在すると答えた人は70.8%。その一番の理由は、出産・育児・教育費用などの経済面でした。
第2子の出産・育児って1人目と同じだけお金がかかるもの? 国の支援にはどんなものがある?
2015年にご自身も第2子を出産されたばかりのFP(ファイナンシャル・プランナー)の波柴純子先生にお話を聞きました。
消耗品・食費などは純増、教育費は子どもの個性による
―2人目の出産を考えたとき、1人目と同じように必ず必要となるお金にはどんなものがあるのでしょうか?
波柴「まずは妊娠中の検診や出産時の入院費用などの特別支出ですね。妊娠・出産に関する医療費の補助は自治体や出産年度によって手厚いところもありますが、その分実際にかかる医療費も上昇傾向にあります。
また、おむつなどの消耗品や食費は同じだけお金がかかります。上の子と性別が違う場合は、衣類も必要になりますね」
―なるほど、では、1人目よりもお金が掛からない項目ってありますか?
波柴「私の場合、1人目の時は育児書を購入して勉強しましたが、2人目の時は『自然体でいいや!』と思って買いませんでした。
また、2人目を出産した時の方がママ友が増えているので、『使わなくなったものはない?』と友達に聞いて、おもちゃやベビーベッドなど、おさがりをもらったので、1人目の時より新調するものは少なかったです」
―ママたちが一番不安に思っているのは、習い事の費用や教育費だと思うのですが……。
波柴「そうですね。上の子がスイミングに行っているから当然下の子も、だったり、上の子が私立中学校に通っていて下の子は公立中学校だとかわいそう、などと思っている方もいると思うのですが、兄弟によって個性が異なるので、必ずしも同じような教育を与える必要はないと思います。
私も上の子が習い事を始めた頃は、この先どんどん教育費が膨らむのでは?と不安に思った時期もありました。でも、子どもが成長するまでの予算をプランニングしたことで見通しがたって、これくらいは教育費にかけてOKというラインが分かりました。逆に無理なことは無理!と思えるので気が楽になりました」
2人目育児は、1人目よりも気持ちの余裕が生まれる
―第2子出産で受けられる国の支援について教えてください。
波柴「児童手当は、第2子は第1子と同額で、第3子からは増額になります。また、『子ども・子育て支援制度』によって、親の所得や上の子の学齢によって保育料の軽減措置が受けられます。
私立保育園で、新制度に移行していない園の場合でも、『私立幼稚園就園奨励費補助金』や『幼稚園園児補助金』などがあり、同じ世帯から同時に2人以上通園している場合や、小学校1~3年生の兄姉がいる場合などは増額になります。自治体によって条件や金額が変わりますので、ぜひチェックしてみてください」
―波柴先生が第2子を出産されて「良かったな」と思うことは?
波柴「1人目の時は子育てに煮詰まったり、夫にイライラしたり(笑)、保育園に入れるか不安だったり、心身ともにしんどいこともありました。でも、一度経験しているので2人目の時は『想定内』だと落ち着いて対応できたり、『このしんどさは今だけ』と思えたり、『保育園に入れなかったら別の工夫をすればいいや』と開き直ることもできました。
また、1人目の時には考えもしなかった産前産後の骨盤ケアや家事代行サービスを活用できたことも、心のゆとりにつながりました。その分出費は増えましたが、必要コストだと思っています」
―2人目の出産を検討しているママたちにメッセージをお願いします。
波柴「子育てには確かにお金がかかるのですが、社会全体で考えると、少子化が進めば進むほど私たちの老後は厳しくなります。子どもを持たない生き方や、一人っ子も、もちろん選択は自由です。でも、『本当は兄弟が欲しいのにお金が心配だから』という理由で諦めるのだとしたら、それはとっても残念なことだと思います。
今後の国の子育て支援に関する政策にも期待したい半面、私たち自身もしっかりとビジョンを持って、子育てにかかる費用を準備したり、お金をかけるだけではない新たな方法を模索したりすることで、日本の未来を明るくしていけるのではないかと思います」
―ありがとうございました。(文・尾越まり恵)
☆プロフィール☆
波柴純子(はしばじゅんこ)
ファイナンシャル・プランナー 2006年、自身の将来への不安をきっかけにファイナンシャル・プランニングを学び金融機関のFP事業部に転職。2013年、ファイナンシャル・プランナーとして独立、現在は2人の子どもを育てながら、個別相談・セミナー講師・執筆を中心に活動中。自分らしい暮らしを主体的にデザインするためのお金との付き合い方を伝えている。
Webサイト http://cras-i.com
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。