[妊活]不妊治療クリニック シミュレーションツアー <後編> 人工授精・体外受精
妊活しても、なかなか授からない…。そんなときは悩んでいるより、少しでも早く専門医に相談してみることをおすすめします。
本格的な治療だけでなく、妊娠にかかわるすべてをサポートしてくれる不妊治療クリニックは、妊娠を望む夫婦にとって、とても心強い存在なのです。
「でも具体的に、どんなことが行われているの?」そんな疑問に答える、「シミュレーションツアー <後編>」です。
今回は前編からの続き、<不妊治療スタート>の流れについてご紹介します。
取材に協力してくれたのは…
■はらメディカルクリニック
1993年の開業以来、豊富な臨床経験で確かな実績を誇るクリニック。科学的な西洋医学だけでなく、漢方や鍼灸などの東洋医学なども取り入れ、多角的なアプローチで最適な治療を提案しています。
<院長> 原利夫先生
日本初の体外受精凍結受精卵ベビー誕生のスタッフとして活躍後、「はらメディカルクリニック」を開業。専門は生殖生理学、内分泌学、精子学。著書、多数。
詳しくは、こちらから。
不妊治療スタート
医師と相談の上、「タイミング療法」や排卵を起こさせる「薬物療法」、「人工授精」や「体外受精」などの治療法を決定。ここでは人工授精や体外受精を中心に説明します。
不妊治療の流れ
医師や専門スタッフと相談の上、「タイミング療法」「人工授精」「体外受精」の中から最適な治療法を選択します。
人工授精(AIH)の場合
【1】月経1〜5日目ころ
完全自然排卵か排卵誘発剤を使用するのかを検討。
【2】月経10〜12日目ころ
排卵日を特定するために超音波で計測し、実施時間などを相談。
【3】排卵日前日〜人工授精当日
採取した精子を洗浄・濃縮して、子宮内へ直接注入。
【4】排卵後
排卵と黄体機能の確認を行う。
【5】妊娠判定
※はらメディカルクリニックの場合
体外受精の場合
【1】排卵誘発開始(月経3〜10日目ころ)
【2】採卵日決定(月経9〜13日目ころ)
【3】採卵と受精(月経11〜15日目ころ)
【4】受精卵の培養(採卵から5日間)
【5】SEET法(移植1〜3日前)
子宮内膜の胚受容能を促進させ、着床率を上昇させる方法。子宮内膜刺激胚移植法と簡易法があります。
【6】移植(新鮮胚移植・融解胚移植)
(移植周期の月経16〜20日目ごろ)
【7】妊娠判定(移植から11〜14日目ころ)
※はらメディカルクリニックの場合
【Step1】培養室・凍結室
女性の卵子や男性の精子を大切に取り扱う場。熟練のスタッフが真剣なまなざしで働いています。
採取した精子や卵子を受精させて培養するスペシャリストが活躍
「臨床エンブリオロジスト」と呼ばれる医療技術者が、採取した精子や卵子を観察したり、受精させて培養します。この現場は一般の人は入ることができない徹底した管理が行われています。現在、エンブリオロジスト同様の資格に胚培養士があります。
受精卵の状態などはモニターでチェック
★じっくり観察します。
男性から採取した精子の状態を確認します
クリニック内に設置された採精室で、マスターベーションにより採取した精液の状態を確認。最新のテクノロジーを駆使し、精子の数や動きを観察。その後の不妊治療をどう進めていくかに役立てています。
★精液の受け渡しは小さな窓口から。顔は見えません。
【ここもチェック!】不妊治療の待合室は別に用意されている
不妊治療が始まると、さまざまな検査が行われます。内容によって一般の待合室ではなく、専用待合室が別に用意されているので、周囲の目を気にすることなくゆったりと時間が過ごせる工夫が凝らされています。
診察室や検査室などが並ぶ空間
★落ち着いた雰囲気です。
専用待合室
★無料のドリンクサーバーが。待ち時間もゆったり過ごせます。
【Close-up】男性用の採精室の様子をのぞいてみました!
防音なのはもちろん、マスターベーションに必要な雑誌やビデオを完備。プライバシーを守ってくれるのも、通いやすいクリニックのポイント。女性だけでなく、男性側から見たクリニック選びも大切です。
精子提出BOX
★採取した精子は小扉を開けて提出するだけ。スタッフの顔は見えません。
【Step2】オペ室
体外受精の採卵や胚移植が行われるオペ室は細心の配慮が払われた工夫が凝らされています。
明るい色調の部屋と天井に動画が広がる空間、2つの空間を用意
体外受精の採卵や、受精卵を子宮に戻す際に使うのがオペ室です。
緊張しがちな空間もできるだけ女性がリラックスできるようにと、2つの異なる部屋を用意。クリニックの心臓部です。
インテリアやカラーが異なる2つのオペ室を用意
★天井に映し出される映像でリラックス!
ビビッドカラーが印象的なオペ室
★白を基調にした空間に、ビビッドなイエローの診察台。気持ちも明るくなりそう!
オペの後はリラックスできる個室へ
オペを終えたあと、気兼ねなく体を休めることができる安静室。リラクシングウエアも用意されているので、ゆったりとした時間を過ごすことができます。もちろん、防音設備も万全です。
緊張する時間を過ごしたあとに、ゆっくり休めるよう趣向が凝らされた安静室
★パートナーも一緒に過ごせる部屋も。
さらに!質の高いリラクゼーションを得られるクリニック併設サロン
不妊治療クリニックには、整体や鍼灸、アロマ、ヨガなどの施設を併設しているところが増えています。妊活は体の問題だけでなく、精神的な負担も多々あるので、さまざまなアプローチがよい結果をもたらすことも!
「はらメディカルクリニック」では、自らの妊娠力を高めることを目的とした鍼灸サロンを開設し、医療と連携しています。
体外受精のあとは…
11〜14日後に再度来院し、妊娠判定。妊娠が成立したあとは、分娩施設のある産婦人科医院に転院となります。妊娠しなかった場合は医師や専門スタッフと今後の相談をします。
不妊治療だけじゃない!クリニックは妊活夫婦の強い味方
不妊治療を行うクリニックでは、趣向を凝らした勉強会などを開催しています。
まずは最初の一歩として、2人一緒に参加してみるのも一案です。
不妊治療だけでなく、さまざまな角度から2人をサポートします
「妊娠を望んでいても結果に恵まれず、時間だけが過ぎていくのは、とてももったいないことです。私は不妊に悩む夫婦の数だけ、異なるアプローチがあると考えています。最初に不妊治療のクリニックを訪れるのは、ハードルが高いと感じる人がいると思いますが、一度相談してみることで、自分たちが気づかなかったことや、新たな打開策が見つかるかもしれません」と語るのは、豊富な治療実績で人気の「はらメディカルクリニック」院長の原先生です。
ここでは、事前の説明会をはじめ、妊活で気になることがあればなんでも相談できる、無料や有料の窓口を設置。専門スタッフが、現状を把握した上で、どのように進めていくのが2人にとってベストなのか、的確にアドバイスしてもらえます。
「不妊の原因の比率は男女約半々。まずはお2人の気持ちを確認する意味でも、ご夫婦でクリニックを訪ねてみてください」(原先生)。
不妊治療を始めるかどうか迷っているときに、便利な相談窓口
クリニックによって無料・有料で、事前に相談できる窓口を設置しているところが多くあります。「不妊治療を始めるかどうか迷っている」などから、不妊治療に関するさまざまな悩みに、医師や専門スタッフがこたえてくれるので、まずは気になるクリニックのホームページをチェックしてみましょう。
体外受精などがよくわかる説明会や勉強会も参加価値大
体外受精の方法や副作用についてから、妊娠率について、費用や助成金の手続き、カウンセリングまで、気になる不妊治療についてのすべてがわかる説明会や勉強会を開催しているクリニックは多くあります。
各クリニックとも、定期的に開催していますが、参加人数が限られているので、ホームページをこまめにチェックして、早めに申し込みましょう。
不妊治療をしている皆さんとの交流の場を開催している!
たとえば「はらメディカルクリニック」では、不妊治療をする女性限定で、お茶を飲みながら自由に意見交換ができる会を不定期で開催。同じ思いを抱えている人とゆっくり話すことで、共感したり、一緒に頑張るなど、思いを共有することができます。
もしかしたら、その中から治療のヒントが見つかるかもしれません。
治療を続けていくかどうか?不妊治療の終結を考える会も!
「はらメディカルクリニック」では、実際に不妊治療を終わらせた経験のあるかたを招き、その体験談を聞きながら不妊治療の終結を考える会も実施。治療を続けていても思ったような結果が出ない場合、このまま続けるか否か…に悩むときもあります。
そんなときも前向きに生活できるヒントがきっと見つかるはずです。
■撮影/合田和弘
■構成・文/飯田由美(BEAM)