先輩に聞く!不妊治療の病院選びで重視したこと
「不妊治療」を決心をした2人へ。決心はついても、いざ治療クリニックに足を踏み入れるのは勇気がいることでしょう。とくに最初のクリニックを選ぶときは迷いますよね?
どんな観点でクリニックを選んだらいいのか、どう戸惑いを解消したらいいのか。妊活コーチの松本亜樹子さんと先輩たちに、背中を押してもらいましょう。
「初めての不妊治療クリニック「選び方&心得」これで怖くない!ガイド」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2019-2020年版」
【疑問】そもそも不妊治療って…?
いつから・どこで・だれが受けられるものなの?
「いつから?」→赤ちゃんが欲しかったらすぐに
不妊症の一般的な定義は「カップルが避妊をせずに定期的なセックスをして1年間妊娠しないこと」(日本産科婦人科学会)です。
実際には、年齢が高くなるほど妊娠率が下がるというデータもあり、35歳を境に、少しでも早く治療をスタートして!とすすめられることもあります。
「どこで?」→選択肢はいろいろ
赤ちゃんを授かるための治療をしているのは、不妊治療だけを専門にしているクリニックもあれば、産婦人科の一部門として不妊治療をしているという場合も。
後者の場合、妊婦さんと同じ待合室になるというケースもあります。
●不妊治療専門のクリニック
●総合病院の不妊治療外来
●産婦人科クリニックの一部門 など
「だれが?」→もちろんカップルで!
不妊は女性だけの問題ではなく、原因がある可能性は男女半々。初めから2人同時に検査を受けることは大切なこと。
女性だけが検査や治療を受けていてなかなか妊娠にいたらず、あとで男性に原因があるのがわかったというケースも少なくありません。
先輩たちはこうしていた!病院選びで重視したこと
不妊治療体験者を支援するNPO法人 Fineで行ったアンケートによる「病院選びでみんなが重視したこと」のトップ10です。
長く通うことになる不妊治療だからこそ、選ぶときのポイントはここにありました。
【第1位】通いやすさ
なんといっても、重要視されるのは通いやすさ。
松本さんのアドバイスにもありますが、不妊治療は心身共に疲れる治療。だから、せめて通うことに対するハードルは低ければ低いほどいい。
【第2位】評判のよさ
病院を選ぶとき、必ずチェックする「口コミ」。
評判がいいところを選ぶことはとても大切です。その評判の中身と、「だれの言葉なのか」もしっかりチェックして、自分にとっての評判のいい病院を選びましょう。
【第3位】ドクターが信頼できそう
診断や治療そのものも、もちろん大切ですが、ドクターへの信頼感はそれだけでは決まりません。
説明に納得できるかどうか、が信頼度のカギとなります。初めの一歩では自分の第六感的な気持ちを信じてもいいはず。
【第4位】有名な病院だから
最先端の医療を行うこと、技術の高いスタッフがそろっていることも、もちろん選択条件になります。
【第5位】 通いやすい診療時間
とくに働いている人にとってはとても重要。夜間対応していたり、土日や祝日に受診できる病院もあります。
【第6位】治療成績がよいこと
妊娠率はもちろん重視したいことですが、治療成績に関する優先度はそれほど高くなく6位でした。
【第7位】病院の治療方針が自分に合っていると感じた
これは結論に近いことにもなりますが、治療に対して納得がいくかどうかはとても大切なことなのです。
【第8位】病院のwebサイトの印象がよかった
病院のwebサイトとは、玄関のような存在。印象がよいということは自分の気持ちに合うということなのかも。
【第9位】スタッフが親切そう
先生の話し方が厳しくても、看護師や受付スタッフの皆さんが親身になってくれることは通いやすさの条件に。
【第10位】治療費が適切と感じた
不妊治療はお金がかかります。でも、納得できると思える料金なら、高くてもその価値は十分にあります。
■データ出展:NPO法人Fine(どうする?教えて!病院選びのポイント」アンケートより)
みんな、初めてのクリニック選びは「成績」だけで選んでいるわけではない
不妊治療の病院選びって、実は簡単ではありません。初めからいきなり高度な医療を受けるわけではないですが、最初の一歩を踏み出すときにとても勇気がいるのです。
それは、「本当は病院になんて行きたくないけれど、このままじゃどうにもならないみたい」という気持ちがあるから。それでいいのです。
「念のために検査くらいしておこうかな」という気持ちで始めていいのです。
一度治療を始めたら、終わりのないらせん階段をひたすら上るわけではありません。
踊り場もあるし、休憩だってできます。そして、あなた1人で歩き続けるわけではありません。まずは初めの一歩をパートナーと一緒に踏み出してみてくださいね。
【監修】NPO法人 Fine代表理事 松本亜樹子さん
アナウンサー時代から人材育成に携わったのがきかっけでコーチングを学び、現在は国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサ―ティファイドコーチ(ICF PCC)として活躍。その一方で自身の経験を生かし、「NPO法人Fine~現在・過去・未来の不妊体験者を援する会~」を設立。
■イラスト/いいあい
■構成・構成/関川香織