「もしかして不妊かも?」ハッキリわかってしまうことが恐いを専門家に聞く
不妊治療に踏み出せないカップルの心のハードルはどんなものなのでしょうか。
今回は「不妊とハッキリわかってしまうことが恐い」について妊活コーチの松本亜樹子さんに聞きました。
「初めての不妊治療クリニック「選び方&心得」これで怖くない!ガイド」 #4
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2019-2020年版」
自己肯定感が壊される?そんなことはないんです
最初に病院へ行くことを何よりもためらうのは「私は不妊治療患者になる」と自覚させられるのが恐い、ということだと思います。一種のアイデンティティクライシスです。自己肯定感を揺るがされるのは、だれしもつらいことだと思います。「不妊症」と診断されることに対して、もやもやとした割りきれない感情があるんですね。不妊症カップルというカテゴリーに入ることに抵抗があるんだと思います。
取りあえず、検査だけでも受けてみると気が楽になりますよ、と私は伝えています。根性もお金も、初めからそんなに必要というわけではありません。
私たちだけじゃない。仲間はたくさんいます
不妊治療は、夫婦5・5組に1組※が経験しているといわれる時代。実際に治療を受けていなくても、「病院へ行こうかと思ったことがある」という例まで入れると、不妊かも、と悩んだことがある夫婦は3組に1組といわれています。不妊治療をしていることは特別なことではないのです。
そんなこと言っても、私のまわりにはいないわ、と思うかもしれませんが、意外と身近にいるものです。自分からわざわざ言わないだけで、こちらから打ち明けたら「実は私も」ということが多いのです。だれが最初に言いだすか、なんですよね。
あなただけじゃないんです。1人で悩まなくても大丈夫ですよ。まずは病院のドアをノックしてみてください。
※第15回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所(2015年)
【こんなときにはこう考える!】先輩たちが「最初の一歩」を踏み出せた理由
不妊治療を決心した人たちの最初の一歩はなんだったのでしょうか。ここでは最終的に授かった人たちの「治療のきっかけ」についてを集めてみました。
●独身の伯母からの『子どもが欲しいならすぐに病院行って検査しなさい。後からじゃ遅いのよ』の言葉です。ハッキリと言ってくれたことが新鮮でした。(28歳 タイミング法で妊娠)
●姉に、「できなかったらさっさと病院に行けばいい。友だちも3ヶ月くらい試してだめだったからすぐ病院に行ってできたみたいだよ」って言われたことでした。(29歳 タイミング法で妊娠)
●深田恭子さんの不妊治療ドラマを見ていて、自分と境遇が似ていて、頑張ろうという気になれた。 (30歳 人工授精で妊娠)
●主人がどんどん積極的になってくれて、一緒に頑張っているという気持ちが強くなりました。それによって、主人との子どもが欲しいという気持ちも高まりました。(33歳 顕微授精で妊娠)
●検査を嫌がらずに受けようとしてくれた夫に、この人との子どもが欲しいと強く思えたこと。そして、芸能人、有名人の40代での妊娠・出産のニュースがあったこと。励みになりました。 (37歳 タイミング法で妊娠)
●不妊治療していた同い年の友人が、妊娠したことが背中を押してくれました。(35歳 タイミング法で妊娠)
(『たまごクラブ』読者で不妊治療経験者へのwebアンケートより 2019年7月実施)
【監修】NPO法人 Fine代表理事 松本亜樹子さん

アナウンサー時代から人材育成に携わったのがきかっけでコーチングを学び、現在は国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサ―ティファイドコーチ(ICF PCC)として活躍。その一方で自身の経験を生かし、「NPO法人Fine~現在・過去・未来の不妊体験者を援する会~」を設立。
■イラスト/いいあい
■構成・構成/関川香織