月経痛、月経不順、不妊…「低体温」は要注意! 「プレコンセプションケア(妊娠前管理)」
「女性は冷えて当たり前」と思っていたら大間違い!妊娠を妨げる大きな弊害として、問題になっているのが低体温です。なんと、40年前の女性に比べ、基礎体温が0.3度低くなっていることが判明!妊活中の女性が乗り越えなければならないハードルです。
生活と体を見直す基本講座「プレコンセプションケア」の視点で、「低体温」について健康科学者・医学博士の本田由佳先生に教えてもらいました。
「妊娠する前から知ってほしい 低体温」 プレコンセプションケア講座 #4
※参考:「妊活たまごクラブ 2020-2021年版」
低体温を改善することで初めて妊活の準備が整います
「女性の平均基礎体温は、40年前に比べて0.3度低下しています」と本田先生。
平均基礎体温が36度未満の女性は約4割、35.5度未満の人も2%いることが、約3万3000人というビッグデータからみえてきたそうです。
「実は低体温という定義は、はっきりと定められていません。でも体温が低いと判断力が落ちたり、循環機能の不具合が起こること、さらに不妊に悩む方々には基礎体温が35度台という人が多く見受けられることがわかってきました」とも語ります。
自分が低体温かどうかを知るためには、毎朝、婦人体温計で基礎体温を測ってみることが目安になるといいます。
「低体温は生活習慣を見直すことで、克服できるはず。妊活中の今なら、まだ十分間に合います」(本田先生)。
基礎体温表をつけて自分の平均基礎体温を知ることがスタートです
基礎体温の中でも注目すべきは、月経から排卵までの低温期です。
「不調がない人の低温期の基礎体温は36.31度以上。体温が1度下がると免疫力は30%低下するといわれています。よく基礎体温表は面倒という人もいますが、体の調子をチェックするためにも、ぜひ記録することをおすすめします」(本田先生)。
最近は手軽に記録・管理ができるアプリもあるので、ぜひ活用してみましょう。
朝食を食べない人ほど低体温になる傾向が!食生活を見直しましょう
健康的な女性を対象にしたアンケート調査によると、朝食を抜いている人ほど低体温の傾向が多くみられたそうです。
「日常的に朝食をとっていない人は、体温を上げるエネルギーと栄養が慢性的に不足。低体温との関係が密である可能性が大です」(本田先生)。
活動量や筋肉量、やせていることといった要素は、直接低体温には影響していないとのことなので、朝食がいかに大切かがわかります。
体温別「朝食をほぼ毎日食べている人の割合」
※健康な女子大学生56人(平均19.8歳、平均BMI20.4)を対象に、基礎体温・体調管理アプリを使用して、3ヶ月間の基礎体温測定と生活習慣に関するアンケート調査を実施
低体温で、月経異常やPMS(月経前症候群)の症状を感じる人は鎮痛剤の服用を避けて!
18~23歳の女性アスリート40人を対象に、体温と月経の関係を調査・研究した本田先生は、
「基礎体温が高めの女性群は月経痛や月経不順などがなかったのに対し、基礎体温が低い女性群は4人に1人の割合で月経異常がみられました。また、PMSに悩む人で鎮痛剤を服用し続けると、体温が0.5度下がるので、症状が気になる方は一度婦人科を受診してみましょう」とアドバイス。
適度な運動を心がけると基礎代謝が上がり体温アップにつながります
生命を維持するために必要な活動、つまり内臓を動かしたり、体温を維持するために使われるエネルギーを基礎代謝といいます。
「基礎代謝の中で最もエネルギー消費が多いのが筋肉です。運動は面倒という人でも、よく歩くことや姿勢を正すなど、ちょっとしたことを心がけるだけで、基礎代謝量が増え、それとともに基礎体温も上がります」(本田先生)。
日常の中で、ぜひ取り入れたいものです。
【Check!】現代女性の38%以上がなんと36度未満の危険水域
本田先生たち研究チームが約3万3000人の女性を対象に行ったアンケート調査は、10~50代とほぼ妊娠適齢期女性です。
「朝食は必ず食べること。また、低体温気味の女性はタンパク質不足で甘いものの摂取量が多い傾向があるので、積極的にタンパク質を摂取すること。そして適度な運動を心がけることで改善を心がけましょう」と本田先生。
【監修】本田由佳先生
健康科学者、医学博士。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター研究員。著書に『ママと赤ち ゃんにやさしい 産前・産後のボディケアとビューティメソッド』(あさ出版)、『価値創造の健康情報プラットフォーム:医療データの活用と未来』(共著:慶應義塾大学出版会)がある
●撮影/大森忠明
●スタイリスト/シダテルミ
●ヘア・メイク/榊美奈子
●モデル/優季
●構成・文/飯田由美(BEAM)