いま話題の“プレコンセプションケア(妊娠前管理)”、どんな検診をするの?結果は?
「女性やカップルに将来の妊娠のための健康管理を提供すること」を目的に始まった世界的なムーブメントの「プレコンセプションケア(妊娠前管理)」。
「プレコンセプションケア」をいち早く導入したクリニックを訪ねて、実際に体験してみました!
今回は、 体験ルポ 「検診を受けてみよう!」の<後編>をお届けします。
体験ルポ「検診を受けてみよう!」 プレコンセプションケア体験 #2
※参考:「妊活たまごクラブ 2020-2021年版」
いよいよ検診スタート
身長や体重測定から、食事などで過剰に摂取した糖と体内のタンパク質が結びつくことで生成される話題のAGEs(終末糖化産物)の蓄積量までわかる検診項目を用意。
検査当日の状況にもよりますが、およそ10~15分程度で終了します。骨密度やAGEsの結果はその場でわかります。採血の検査結果は後日、栄養アドバイスとともにわかります。
身長・体重測定
身長、体重と同時にBMI値も計測。
やせすぎや太りすぎはないか?適正なBMI値22に対してどのくらいの値か?正確な数値を瞬時に計測することができます。
骨密度測定
骨中のカルシウムなどのミネラル成分を測定し、骨粗しょう症のリスクを計測。
ここでは、かかとの骨に超音波をあてて計測。正常値は80%以上で、結果はその場でわかります。
体組成測定
体を構成する筋肉や脂肪、骨、水分などを計測。体水分率や内臓脂肪レベル、さらに高血圧や糖尿病の発症リスクまでわかります。
これにより、日々の健康管理がグンとしやすくなります。
糖化測定
皮膚や血管、骨、内臓などに老化促進物質AGEs(終末糖化産物)がたまると老化現象を引き起こし、さまざまな病気の引き金に!そんなAGEsの蓄積量を1~2分で測定。
血圧測定
理想的な血圧は120未満/80未満。正常血圧は120~129/80~84です。
高血圧の状態で妊娠すると、正常血圧の女性と比較して、早産や胎児の発育遅延があるので要注意。
採血
貧血や栄養状態から風疹ウィルス抗体、卵巣年齢までわかる血液検査。
さらに、不妊症や流産の原因になることもある甲状腺機能まで検査でわかります。
超音波・子宮頸がん・おりもの検査
医師による検査は、内診台に座って行われます。おりものを採取して、性感染症による細菌や微生物の有無を調べたり、超音波検査器具を挿入し、子宮や卵巣内部を検査。
モニターを見ながら、医師がわかりやすく説明
妊娠の妨げとなる子宮筋腫や卵巣腫瘍もこの時点でチェック。
検査結果に応じて、今後の妊娠プランを立てることができます。
後日、栄養状態のアドバイスも!
検診日に渡される「食事記録表」。食事をした時間や食べた場所、食べたものや量を平日2日、休日1日の合計3日間記入。
後日、検診結果が出るときに提出すれば、栄養士が記録表を基にアドバイス。たりない栄養素などをわかりやすく教えてもらえます。
チェック!検診は受けていない…という人も安心!訪問しやすいクリニックが増えています
今回、取材・撮影に協力していただいたのは、婦人科クリニック「フィーカ レディースクリニック」。
「フィーカ」とはスウェーデン語で「お茶する」という意味で、リラックスや気持ちよさ、快適さを追求したクリニックです。最近は男性も来院しやすいようインテリアや心地よさをコンセプトとしたクリニックが増えています。
「プレコンセプションケア」に限らず、妊娠前に健康チェックをしたいという目的を伝えることで、目的に合った検査内容をオプションで組合せることは可能です。
自分の通いやすいクリニックに相談してみましょう。
コラム:クリニックで確認!風疹の予防接種を受けていない人は一緒にすませましょう!
*2019年1月30日現在(国立感染症研究所感染症疫学センター調べ)
妊娠初期に感染すると、先天性風疹症候群のある赤ちゃんの分娩リスクの可能性が高まる風疹。近年の流行に伴い、厚生労働省から妊活中のカップルにワクチン接種を促すコメントが!
「風疹から赤ちゃんを守るためには、風疹への抗体を持つことが必要です。妊娠すると予防接種を受けることができないので、妊活中の今、家族で抗体検査を受けて確認し、抗体がない場合は予防接種を受けて、未来の赤ちゃんを守ってください」
(厚生労働省健康局結核感染症課・三宅邦明さん)。
とくに30~50代の男性は、幼少期に接種していない可能性大。感染拡大を防ぐためにも早めに予防接種を!
■撮影/合田和弘、阿部吉泰(blowup)
■構成・文/飯田由美(BEAM)