SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 妊娠・出産
  3. 【医師監修】「リスクが高い?」「起こりがちなトラブルは?」35才以上の高年妊婦の気がかり&注意したいこと

【医師監修】「リスクが高い?」「起こりがちなトラブルは?」35才以上の高年妊婦の気がかり&注意したいこと

更新

自宅で外を見ている若いアジアの妊娠中の女の子の肖像画
pondsaksit/gettyimages

35才以上の高年初産は今や珍しくありませんが、「リスクが高い」といわれると、やはり不安に…。起こり得るトラブルを予防して、無事出産するために、具体的にどんなことに注意したらいいのか、産婦人科医が詳しく解説します。

高年出産の定義とは?

「高年出産」という言葉は医学用語ではなく、35才以上の初産婦さんは、正式には「高年初産婦」と呼ばれます。35才を境にいきなりハイリスクになるわけではありませんが、35才以上の妊婦さんは、25〜34才以下に比べて、トラブルが起きるリスクが高くなりがち。そのため注意が必要と考えられているのです。2人目以降のお産は初産に比べるとリスクが低くなるとされますが、やはり35才以上の妊娠の場合、染色体異常や流産の確率は高くなります。心配しすぎはよくありませんが、元気な赤ちゃんを産むためにも、高年妊娠・出産の注意点を知っておきましょう。

妊娠判明〜安定期までの気がかり

年齢とともに流産率は上昇。妊娠12週を過ぎればリスクは低く

妊娠初期の流産のほとんどは受精卵の染色体異常が原因。妊婦さんの年齢が上がるにつれて流産率が高くなっていくのは確かです。これはママが胎児のころから持っている卵細胞が老化していくため。加齢とともに、卵子のクオリティーは年々低下していくのです。
海外のデータによれば、35〜39才の流産率は約20%、40〜44才は約40%という報告があり、40才以上になると、さらに流産率が高くなることがわかります。ただ、高年妊娠かどうかにかかわらず、すべての年齢における初期流産率は約15%と決して低いものではありません。流産は年齢を問わず、だれにでも起こり得るのです。
染色体異常による流産は、残念ですが、避けることはできません。妊娠12週を過ぎて胎盤が完成に近づけば、年齢を問わず、流産のリスクはかなり低くなっていきます。

不妊治療を経ての妊娠でも 経過は自然妊娠とほとんど同じ

不妊治療を経て妊娠したことで、流産やトラブルが起こりやすくなることはありません。自然妊娠した35才以上の高年初産婦さんと同様な妊娠経過をたどると考えて大丈夫です。無事に妊娠できたのですから、ゆったりとした気持ちで妊娠生活を楽しんでください。ただ、子宮奇形の場合は切迫流産になりやすいので注意が必要です。

産院選びは、トラブル対応が可能かどうかをチェック

高血圧や子宮筋腫など、持病がある人は周産期センターや大学病院など、もしものときに対応できる施設を選ぶほうがいいでしょう。持病やリスクがなければ、高年だからと産院を制限されることはありません。ただし、助産院での出産を希望する場合は、主治医とよく相談を。

妊娠中に起こりやすいトラブル

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病はリスクが高まる。生活習慣の見直しを

年齢とともに妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になる確率が上がるのは、加齢とともに血管の弾力性がなくなり、生活習慣病のリスクが高まるため。妊娠中は妊娠前よりも循環血流量が増加し、しかも大きくなり始めた子宮が腎臓を圧迫するようになります。そのため、これまでとは違う体への負担がかかって、高血圧や糖尿病を発症する引き金となりやすいのです。
生活習慣病は遺伝的な要素が大きいため、近親者に高血圧や糖尿病の人がいる場合は体質を受け継いでいる可能性があります。人ごとと思わずに、カロリーや塩分のとりすぎに注意して、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。適正範囲の体重増加を意識して、肥満に注意するのもトラブルの予防につながります。
妊娠高血圧症候群は気づかないうちに重症化し、母と子の命にかかわる病気です。妊娠糖尿病は検査で見つかっても自覚症状がないのがほとんどですが、症状が進むと赤ちゃんに影響することが。予防はもちろん、早期発見・早期治療するために、健診をきちんと受けましょう。

過労やストレスに注意して、なるべく休みましょう

妊娠中の健康状態はその人の10年後、20年後の未来図といわれています。もしも妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になった場合は、リスク因子を持っているということ。とくに35才以上の働く妊婦さんは役職に就いていることも多く、オーバーワークになりがちです。妊娠中は通常よりも体が疲れやすい状態。過労やストレス、睡眠不足がトラブルの発症に影響することもありえます。休養を意識し、体調を整えることがおなかの赤ちゃんを守ることにつながります。

子宮で見つかるトラブル

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、卵巣嚢腫なども年齢が上がると多く。健診できちんと経過観察を

子宮筋腫は3人に1人の女性が持っている良性の腫瘍。女性ホルモンのエストロゲンの影響で妊娠16週までに大きくなる傾向にあり、経腟超音波検査で見つかることが多いです。筋腫の大きさや位置にもよりますが、おなかの痛みや張りを感じやすい傾向があり、筋腫部分の血流が悪くなり壊死(変性)を起こすと、子宮口が開いて流産を招く心配があります。妊娠中は健診の回数を増やして、慎重に観察していきます。子宮腺筋症合併妊娠、子宮内膜症合併妊娠などもハイリスクになることが。
一方、卵巣囊腫は卵巣内にできる良性の腫瘍です。経腟超音波検査で「卵巣が腫れている」と言われることがありますが、多くはルテイン囊胞(黄体囊胞)と呼ばれるもの。hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの影響で一時的に大きくなりますが、妊娠4カ月までには自然に消失するため、経過観察するのが一般的です。ただ、卵巣囊腫のつけ根部分がねじれる茎捻転(けいねんてん)を起こしたときは、緊急手術が必要になります。

おなかの赤ちゃんの心配

先天的な染色体異常の確率は高くなります。出生前診断を受ける場合は事前にきちんと考えて

高年妊娠では赤ちゃんに染色体異常が現れる確率が高くなります。これは加齢に伴って卵子のクオリティーが低下するのが原因。卵細胞は女性が胎児のころから卵巣内にできていて、ともに年齢を重ねているのです。染色体異常の中でも頻度が高いダウン症候群は35才ではおよそ300〜400人に1人、40才ではおよそ100人に1人ともいわれ、加齢とともに確率が高くなっていきます。
おなかの赤ちゃんの染色体異常は出生前診断で調べることができます。その中の一つである母体血胎児染色体検査(NIPT)は、母体の血液中に含まれる赤ちゃんのDNAを調べる検査法。ただ、検査結果はあくまでも染色体異常の確率です。超音波検査で首の後ろにむくみが見られた場合も染色体異常の可能性がありますが、確定されるわけではなく、いずれの検査も確定診断には羊水検査が必要になります。出生前診断を希望する場合は、羊水検査を受けるかどうか、思いがけない結果が出たときにどのように受け止めるか、夫婦で十分に相談しましょう。

出産への影響

子宮口がかたかったり、陣痛が弱かったりで、お産に時間がかかりやすい傾向が

年齢を重ねると子宮口の弾力性が失われ、お産のときに子宮口が開きにくくなりがちです。これは女性ホルモンやコラーゲン組織が加齢による影響を受けるため。予定日間近に子宮口がやわらかくなる„ 熟化‶が進まないと、微弱陣痛になりやすく、分娩時間が長引く傾向が。子宮口がかたい場合は「熟化」を促すために、医師が卵膜剝離(子宮口から指を入れ、子宮壁から卵膜をはがす)を行うこともあります。
もしも分娩中に赤ちゃんが苦しくなって心音の低下が見られたときは、安全のため緊急帝王切開に切り替えます。お産は体力勝負。日ごろから体力づくりを心がけましょう。

妊娠初期に気になるQ&A

Q.年齢が高いことと、つわり症状の重さは関係ある?

A.年齢の高さとつわりの症状は関係ありません。ただ、疲労やストレスがたまるとつわりが重く感じることも。年齢を重ねるとともに体力は低下していくので、疲れやすい状況ではつわりを重く感じるかもしれません。

Q.35才以上の妊娠だと、胎囊や胎児心拍の確認が遅くなることはある?

A.通常、超音波で子宮内に胎囊が確認できるのは妊娠5 ~ 6 週ごろ。7 週ごろに心拍が確認されると、妊娠が確定されます。高年妊娠だからといって、妊娠の確定が遅くなることはありません。

35才以上で出産したママたちのリアルボイス

不妊治療9年。 やっと赤ちゃんに会えた!

28才で結婚後、なかなか子どもができず、30才から不妊治療を開始。転院なども経て39才のとき、体外受精で妊娠!妊娠中は後期まで続くつわり、不整脈、貧血などのトラブルが。産後も体がしんどかったけれど、やっと会えた子、大変とは思わないですね。不妊治療9年。やっと赤ちゃんに会えた! Sさん(40才)&Mちゃん( 1 カ月)

44才で元気に出産しました

高齢なので多分子どもは無理だろうと思っていたところ、自然妊娠! うれしいよりびっくりでした。妊娠中のトラブルは妊娠線くらい。お産のとき陣痛が長くてつらかったけど、もともと体力があるからか、産後の育児はスーパー元気にこなしてます! Aさん(44才)&Aちゃん( 5 カ月)

出生前診断を受けました

結婚が遅かったので、妊娠前から夫と出生前診断(NIPT)を受けることと、検査結果が出たらどうするかまで話し合っていました。高年妊娠・出産には不安もあったけど、人生経験がある分、「なんとかなるかな」と、どん!と構えられるメリットもあります。 Rさん(40才)&Yくん( 1 才)

4回目の妊娠で初めての出産!

4回目の妊娠にして、初めて無事に生まれてきてくれました。私は体質的に子宮口が開いてしまう重度の子宮頚管無力症で、今回の妊娠でも「これで赤ちゃんに会える!」と心から安心できたのは出産の1 カ月前。元気な産うぶ声ごえを聞いて、感激ひとしおでした。 Aさん(40才)&Kくん( 4 カ月)

監修:間壁さよ子先生(産婦人科医・医学博士)

参考/『初めてのたまごクラブ』2023年春号
※掲載している情報は2023年6月現在のものです。

『初めてのたまごクラブ』最新号はこちら!

Amazonで購入する(送料無料)

楽天ブックスで購入する(送料無料)

たまひよSHOPで購入する(たまひよセット割実施中!)

妊娠・出産の人気記事ランキング
関連記事
妊娠・出産の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。