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だれにでも起こりうるから― 妊娠したら、知っておきたい! 帝王切開手術の傷あとを目立たなくするためにできることって?

更新

帝王切開での出産は決して他人事ではありません。実は、ママたちの4人に1人以上が帝王切開で出産しているという統計があります。そして、術後、多くのママたちが傷あとを気にしているという現実も…。
帝王切開手術の傷あとについて妊娠中の今だからこそ、知っておきたい基礎知識。きれいな傷あとの提供を目指して活動されている、産婦人科医の先生4人に教えていただきました。

★アンケートご協力で抽選で賞品プレゼントも! ぜひ最後までお読みください

指導医の関沢 明彦先生(中央左)と、「きれいな手術創を提供できる産婦人科医の育成」を目的としたプロジェクト発起人の小松 宏彰先生(中央右)、メンバーの井平 圭先生(左)、小寺 千聡先生(右)。

4人に1人以上が帝王切開で出産!

出産が帝王切開になる主な理由には、「骨盤位(さかご)」「赤ちゃんの元気がなくなってしまう」など、どのママにも可能性がある項目も含まれます。また、帝王切開で出産したママたちの半数以上が、「傷あとが目立つことを気にしている」といった調査報告(※Chapter1)もあります。
いざというときにあわてないために、帝王切開の基礎知識を持っておくこと。そして、傷あとを目立たなくするために必要なことを知っておくことは、とても大切です。

【帝王切開になる主な理由】
●前回の出産が帝王切開だった
●過去に子宮筋腫など子宮の手術をしたことがある
●胎児機能不全(赤ちゃんの元気がなくなる)
●骨盤位(さかご)
●多胎妊娠(ふたご など)
●児頭骨盤不均衡(骨盤がせまい)
●妊娠高血圧症候群
●前置胎盤(胎盤が子宮の出口をおおっている)
など


66%のママが「傷あとが目立つ」と感じている!

上の写真は、いずれも帝王切開をしたおなかの写真です。この3枚の写真を、帝王切開による出産をしたママたちに見てもらい、「自分の傷あとは、どれに近いか?」というアンケートを取ったところ、「自分の傷あとは、目立つ傷あと(肥厚性瘢痕・ケロイド)だと思う」と回答した人が66%もいました。
実は、この結果は私たち産科医にとっても衝撃でした。なぜなら、多くの場合、産科医が術後の傷あとを診るのは産後1カ月健診まで。その後の傷あとの状態を目にすることは、ほとんどないからです。だから、こんなにも多くの方々が傷を悪化させ、気にしていることを知らなかったのです。
この事実を知り、私たちは「きれいな手術創を提供できる産婦人科医の育成」を目指すプロジェクトを立ち上げました。

傷あとが悪化する最大の原因は、真皮(しんぴ)に加わる刺激

傷あとが悪化する原因は、皮膚(真皮)の炎症です。そして、その炎症が起こる原因となるのが、
●体質(高血圧、妊娠中に分泌が増える女性ホルモンの影響など)
●傷への刺激(こすれる・引っ張られる)
●生活習慣(過度の飲酒、長時間の入浴、激しい運動など)
中でも、最大の原因となるのが、表皮の下にある「真皮」への刺激です。
実は、手術で切開する部分は、表皮・真皮・脂肪・筋肉という具合に多層構造になっています。このうち、表皮は術後約48時間で修復されますが、真皮より下層は傷が治るまで少なくとも3カ月はかかります。
まだ完全に治っていない真皮に引っ張られるような刺激が加わると、炎症が起きます。その炎症が広がると、傷が厚く盛り上がって傷あとが目立ってしまうというわけです。

傷あとは、産後数カ月かけて目立ってくる

「時間の経過とともに、傷あとは薄れる」と思っている人もいるかもしれませんが、ケロイドなど目立つ傷あとは術後数カ月かけて次第に現れてきます。なぜなら、真皮の炎症は、適切な治療をしないかぎり、時間の経過とともに拡大していくからです。
そのため、産後1カ月健診で傷あとに問題がなかったとしても、気を抜かずにケアし続けることが大切です。


傷あとのセルフケアは3~6カ月続けよう

帝王切開の手術から約48時間後には、おなかの表皮は修復され、傷はふさがります。しかし、表皮の下の層が完全に治るには、3~6カ月かかります。そのため、術後半年間くらいは、こすれる・引っ張られるといった刺激を与えない注意が必要です。とくに、腰をかがめてから体を起こすような動作は、皮膚が強く引っ張られるので、 炎症の引き金に…。
そうはいっても、産後は赤ちゃんのお世話もあるので、ママはじっとしているわけにもいきませんよね。
そこで、おすすめなのが、傷あとが引っ張られないように固定してくれる貼付材です。貼付材を使用することで、日常生活の動作で生じる刺激を軽減することができます。さらに、その上から腹帯や産後ガードルなどを装着すると保護力がアップします。(装着開始のタイミングは医師にご相談ください)
貼付材は術後半年間くらいを目安に使用しましょう。
また、血流を促す過度の飲酒や長時間の入浴を控えることも、炎症予防になります。

傷あとが気になったら、迷わず受診を

きれいな傷あとを目指すために、ママ自身ができることは、第一に「術後のセルフケア」。そして、第二が「異変に気づいたら、すぐに医療機関を受診する」ことです。
・傷に触れると硬い
・赤く腫れている
・かゆい、痛い
などの異変を感じたときは、出産した産院か皮膚科・形成外科を受診し、治療をしましょう。


層がずれないように縫うことが、きれいな傷あとのための大きなポイント!

傷あとをきれいにするために医師が工夫しているのは、縫合方法です。縫合に使う糸や縫い方はさまざま。どの糸・やり方を選ぶかによって、縫合にかかる時間や術後の経過も変わってきます。
ところで、「おなかの縫合は、表皮だけを縫う」と思っていませんか?実は、皮膚~皮下組織は多層構造になっているので、層がずれないように、医師は何カ所も時間をかけて縫います。手術時間が45分間だとしたら、赤ちゃんを取り出すまでは数分しかかからないのに対し、残りの大部分の時間は縫合に使われるイメージです。
傷あとをきれいにするために、重要なのが丁寧な真皮縫合(しんぴほうごう)です。
さらに、その下にある浅筋膜(せんきんまく)と呼ばれる層も縫合することで、真皮にかかる張力が弱まり、炎症が起きにくくなるため、きずをより美しく保つことができると考えられています。

傷あとを目立ちにくくする方法について、さらに詳しく知りたいときはこちら


出産は何が起こるか予測できない部分が多々あります。その中で、緊急に対応しなければいけない場面もあり、帝王切開が必要になるママもいるでしょう。その際、医師が何よりも優先するのは、ママと赤ちゃんの安全です。
そのため、赤ちゃんを無事取り出したあとの縫合は、あまり重視されてこなかったこともあり、経験的に先輩医師から伝授された方法で縫合することが一般的でした。
しかし、現在、その状況は大きく変化しています。全国の産科医が連携して、きれいな手術創を目指す今回のプロジェクトが原動力となり、今後は、きれいな傷あとに必要な知識や技術が急速に広まっていくでしょう。
妊婦さんの中には帝王切開は経腟分娩に劣るという誤解をしている方がいますが、どちらも立派な出産です。手術に関して不安や気がかりがあれば、抱え込まずに、どんどん医師に質問してください。

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お話を聞いた先生

協力/ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニー

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