42才で自然妊娠した植物療法士・森田敦子先生が語る【産後ケア】とは?
「妊娠中」はもちろん、「産後」も心身ともにトラブルが絶えないママたち。
授乳による肩こりや、抱っこから来る腰痛といった身体の悩み以外にも、理由なくイライラしたり、急にやる気が低下したりと、毎日がジェットコースターのよう。
そんな育児中のママをサポートする、「植物療法(フィトテラピー)」が注目を集めているのをご存じですか?
植物療法とは、科学的なものに頼らず、植物の力でやさしく身体に働きかけ、人が本来持っている自然治癒力を高めること。
植物療法の本場フランスで学んだ植物療法士・森田敦子先生は、42才のときに自然妊娠し、現在8才の息子さんを育てるママでもあります。
今回は、現在育児中のママにおすすめの植物療法【自然ぐすり】を教えていただきました!
女優・小雪さんも感動した、産後すぐから使える【自然ぐすり】
森田先生は、3児の母である女優・小雪さんの「第2子妊娠から第3子出産後まで」を、植物療法の面からサポートしたことでも知られています。
小雪さんが第2子を出産した韓国の産後院では、 “よもぎ”を始めとした植物療法は、とてもメジャーな存在だとか。
そのなかから、産後のママたちにおすすめしたい、3つの【自然ぐすり】をうかがいました。
自然ぐすり:その1 産後の痛みをやわらげる【よもぎ】
「小雪さんは、2人目のお子さんを韓国の産後院で出産しました。
韓国では、よもぎが欠かせない万能の薬草。
会陰切開の炎症を鎮めて、悪露の分泌を促す効果があるんです。
韓国ではよもぎ蒸しが有名ですが、日本ではなかなか難しいもの。
よもぎは、日本では【よもぎ葉(がいよう)】として販売されているので、それを煮出してエキスを作り、患部を洗うといいですね。小雪さんは蒸したよもぎをタオルにつけ、パックのように使いました。
「次の日から痛みを感じなくなった」と、今でも話題に上がります。
また、よもぎは母乳の分泌をよくするといわれ、お茶にして飲むと効果的。さらに神経の高ぶりを抑えたり、身体の循環もよくなるなどメリットがたくさんありますよ」
自然ぐすり:その2 母乳の分泌を促す【フェンネルとアニス】
「母乳の分泌を促すのに効果的なのは、フェンネル(ウイキョウ)やアニス。
どちらも、葉ではなく種を使ったハーブティーがおすすめです。
フェンネルは胃腸を元気にし、催乳作用もあるので「いい母乳を作る」と「うまく分泌する」の両方にメリットがあります。
一方アニスは、女性ホルモンのバランスを整えるといわれ、月経痛に悩むママにもgood。
また、かぼちゃやさつまいもに含まれる【ビタミン・ミネラル】は、母乳の質をよくし、乳腺炎のリスクを防ぐともいわれています。
ビタミン・ミネラルは、皮と実の間に多く含まれているので、食べるときは皮ごといただきましょう。
そのほか、えごま油や亜麻仁油、魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)といった【オメガ3】も、赤ちゃんの脳の発育にいいといわれています。ママの食事にも取り入れて」
自然ぐすり:その3 産後院の定番メニュー! 体力回復の【わかめスープ】
「フィトテラピーでは、わかめやもずくなどの藻も、植物の一部ととらえています。
わかめは、産後ママにおすすめ。
韓国の産後院では、毎食わかめやもずくなどの海藻をドロドロに煮込んだスープが出てきました。
カルシウムや亜鉛、ヨウ素、カリウムといったミネラルを多く含んでいて、体力の回復はもちろん、母乳の出もよくなり、悪露の分泌を促すなどいいことずくめ。
わかめをひたひたの水で煮て、味つけは塩とごま油などシンプルなものに。
わかめのほか、にんにくと玉ねぎも体力回復には欠かせません。
にんにくには免疫力を高めるアリシンという成分が含まれていて、玉ねぎには免疫力や代謝を高める働きがあります」
ママファーストへの意識改革こそが、産後ケアの大きなポイント
――植物療法の実践書である、森田先生の著書『自然ぐすり―植物や食べ物の手当てでからだと心の不調を整える―』のなかに、「自分自身の心が健康でないと、人にやさしくなれない」という印象的な一節がありました。
森田先生が考える、産後女性にとって最も大切なケアとは?
「産後の痛みのケアはもちろんですが、日ごろから『大変だね』と声をかけてくれたり、マッサージをしてくれる人がいたら、ママたちはだいぶ楽になれるんです。
リラックスすると、ママの心に余裕が生まれ、赤ちゃんのお世話もイライラが減ります。
リラックスするために手軽にできるのは、ハンドマッサージ。
マッサージオイルとしておすすめなのは、【植物オイル】と【ゆずオイル】。
【植物オイル】は、キャリアオイルと呼ばれる植物油のこと。
スイートアーモンドオイルやホホバオイル、アルガンオイルなどが手に入りやすいです。
【ゆずオイル】は、ゆずのエッセンシャルオイルのこと。
100%ピュアのものを選んでください。
ゆずは副交感神経を高めてくれるので、気持ちを穏やかにする効果があります。
植物オイルとゆずオイルを1滴ずつ手に取り、ハンドマッサージするだけでも気分が変わるはず。
友だち同士でマッサージするのもいいですね」
「もうひとつ、身体のケア以上に大切なのは、『センシュアリティ』を上げること。
女性は出産をすると『ママ』になり、体型も以前と変わってきます。性的なことから遠ざかってしまうこともあるかもしれません。
そんなときは、1分でも、自分の身体をケアする時間を作ってあげましょう。
リラックスできる香りや、マッサージなど、自分のONとOFFを切り替えられるスイッチを作ることが大切。
育児に一生懸命で、自分のことに時間を割くことに罪悪感を抱いてしまうママもいるかもしれません。
でも、ママの身体を優先することが、子どもへの愛情や自分の精神状態を安定させるためには不可欠なんです。
自分の身体と向き合ったときに、くすぐったい部分(=センシュアルな部分)を刺激すると、快感力や安心感が呼び覚まされます。
そういった感覚を呼び覚ましてあげる努力も、産後の身体ケアには本当に大切なことだと思うんです」
産後、身体の不調を感じることが増えたと感じるママは、きっと少なくないはず。
森田先生のお話で、普段から口にしている野菜や、身近な植物の力を知って、忙しい毎日に追われて、おろそかにしがちな自分の身体のことを振り返ると、ハッとすることがたくさんあるのではないでしょうか。
毎日の生活のなかで、自分なりに「植物の力」を取り入れながら暮らしていけたらステキですよね!
ママではなく「女性としての自分」や「パートナーとの関係性」について、今一度見直してみることも大切かもしれません。(取材・文/本多 恵、ひよこクラブ編集部)
※森田敦子プロフィール写真
Profile
森田敦子●日本におけるフィトテラピーの第一人者。
アロマやハーブ、漢方など植物療法の学校「ルボア フィトテラピースクール」を主宰。
大学を卒業後、客室乗務員の仕事に就いた1年後にダストアレルギー気管支ぜんそくを発病。症状を抑えるため、体質改善を試行錯誤するなか、植物療法と出会う。
フランスのパリ13大学で植物療法を学んだのち、サンルイ・インターナッショナルを立ち上げた。
日本に植物療法を広めながら、美容や介護、出産現場などさまざまな分野で活躍。
4月には産前産後に使える、ママのためのブランド「インティメール」が発売。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。