妊娠中、新型インフルエンザにかかると早産のリスクも?予防・対処法を産婦人科医が解説
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だれでもかかる恐れのある風邪(風邪症候群)やインフルエンザ。体の抵抗力が落ちる妊娠中は、普段よりずっとかかりやすくなります。とくに症状が重くなるインフルエンザは、流行前に予防接種を受け、マスク装着や手洗いで予防することが大事です。感染に気づいたらすぐに主治医に連絡し、早期治療を受けましょう。産婦人科医の小川隆吉先生に、インフルエンザの注意ポイントについて教えていただきました。
妊娠中に注意したい「風邪・インフルエンザ」
発熱やのどの痛み、せきなどを伴う風邪やインフルエンザ。妊娠中は、悪化して肺炎などになってしまうと妊娠経過に影響する恐れもあるので、注意が必要です。
★主な症状
・発熱
・頭痛
・関節痛
・のどの痛み
・せきやくしゃみ
★妊娠・出産への影響
妊娠中に風邪やインフルエンザに感染した場合、適切な治療を行わず放置してしまうと、高熱やせきなどの症状が長引いて重症化しやすい傾向があります。肺炎などを発症してしまうと、流産・早産を引き起こす心配も。とくに新型インフルエンザで入院した妊婦さんの早産率は、通常より2倍以上高かったという報告もあります。
★赤ちゃんへの影響
風邪やインフルエンザのウイルス自体は、赤ちゃんに先天的な病気などの深刻な影響を及ぼす心配はまずありません。ただし、高熱が長引き子宮内の環境が悪化してしまうと、赤ちゃんの居心地が悪くなることも。早めの治療で赤ちゃんの環境を守ってあげましょう。
★治療法
水分補給を十分に行いながら、安静にして過ごします。インフルエンザの場合は、抗インフルエンザ薬のタミフルやリレンザを処方されることが多いでしょう。
インフルエンザの治療薬
インフルエンザの治療には、以下の3種類の治療薬が処方されます。
①タミフル
体内のインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ薬。吸入薬に比べ、薬の成分の母体血中濃度は上がりますが、妊娠中に飲んでも、赤ちゃんへの影響はまずないといわれています。
②リレンザ
鼻やのどなどの局所に作用する吸入薬。母体の血中に入り込む量は本当にわずかです。口の中の残量分を飲み込んでしまっても、赤ちゃんに影響する心配はないとされています。
③イナビル
リレンザと同じ吸入タイプの局所薬です。成人では、イナビルを病院で4回ほど吸入するだけで効果が持続するため、自宅で吸入するわずらわしさがないという利点があります。
インフルエンザの予防接種は積極的に!!
インフルエンザに感染すると、母子ともに健康状態が悪化します。インフルエンザワクチンは、赤ちゃんにもママにも影響する心配はありません。予防接種を受けていると、万一かかってしまっても、軽い症状で済みます。妊娠中は、予防接種を積極的に受けましょう!
妊娠中は風邪や感染症を予防するために、手洗い・うがい、早寝早起きを心掛けましょう。風邪やインフルエンザの疑いで受診したり、予防接種を受ける場合は、できるだけ早めに受診し、必ず妊娠中であることを医師に伝えて。産科を受診する場合は、ほかの妊婦さんへの感染を予防するために、電話で相談してから行くようにしてください。(文・たまごクラブ編集部)
■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)