お金の話しはタブーじゃない!子どもが楽しくお金について学べる大人禁制、今話題の「キッズフリマ」とは
子どもにお金の使い方を教えたいと思っても、なかなかハードルが高いもの。キャッシュレス化も進み、現金を使わないで買い物ができるようになり、小銭を握りしめておつかいという場面も減ってきていますね。
今回は、クチコミサイト「ウィメンズパーク」のママたちの声とともに、子どもたちが主役になって物とお金の流通について体験できる「キッズフリマ」での取り組みなども紹介しながら、子どもへのマネー教育の今を紹介します。
友だちとお金の使い方が違ってモヤモヤ…
まずは、ママたちの声を紹介します。
■ 友人の影響で、子どもが買い食いをするようになった…
「小5の娘がいます。クラスの友だちと公園で遊ぶようになったのですが、その際、娘以外はみなお金を持ってきて、自販機やコンビニで飲み物やお菓子を買っているのだそうです。うちは買い食い禁止なので、みんなからは『おごってあげようか?』と言われたり、実際にアイスを買って渡してくれる子もいるようです。
もう高学年ですし、お金持ってきていないのは1人だけというのもかわいそう可と思うのですが、その一方、みんな毎日1000円とか500円とか持ってきているそうで、それは多すぎると思います。私の感覚では、1日に200円くらいが妥当かと。
ゲームをせずに公園で遊ぶのは健全だと喜んでいましたが、お金の心配が出てきました…」
■ 買い食いについては学校に相談しても
「小学校5、6年って、親からのお金が少し増えたり、いろいろなことを任されたりする上、規制が少し緩む時期だと思うんです。それでタガが外れて調子に乗るようなイメージがあります。
お金の教育は大事なので、お金の心配があるのなら学校に相談するのが良いと思います。
私も同じようなことを相談した経験がありますが、先生は『よくぞ相談してくださいました』と言っていました。買い食いやお金の使い方の問題はめずらしいことではなく、定期的に起こることなんだそうです。そのときは、道徳の授業を開いてくださり、その後、パッタリと問題はおさまりました」
■ 買い食いは仕方ないけど、「おごり」はなし
「うちは友だちと遊びに行くときにお金を持たせていますが、おごるのは禁止です。友だちがお金を持っていなければ、自分も使ってはいけないと教えています。
もうゲームなしで、単純に公園で遊ぶだけではものたりない年齢になってきていると思います。少しずつ教えて、お子さんを信用していくしかないのではないでしょうか」
■ 自分が1日に使える金額を理解させるのが大変だった
「買い食いよりもおごったり、おごられたりが問題だと思います。
おごるとき、相手は善意なんです。でも何人もいると、どこからトラブルに転がるかわかりません。おごってもらってばかりだと、ケチだと言われたり、『返して』と突然言われたりすることも。うちもお金を持たせるようにしましたが、おやつを自分で買うように言われてる子たちと同じレベルで買ってたら、すごい金額になります。
だから1回の限度額を決めて、他は家から持っていかせました。自分の使えるお金の全体を理解して、今日は何円にするのか1週間単位で考えることを、何度も何度も話し合いました。今では、お財布に200円だけ入れていくように落ち着きました。子どもとどうしたいのかを話し合うことが大事なのだと思います」
物を売ったり買ったりする体験を通してお金の価値、コミュニケーション、環境やリユースを知る
現金で物を買う機会の減った現代、子どもにお金についての様々な知識や考え方を教えるのは難しいですね。
そんな中、2006年からスタートして注目を集めているのが、フリーマーケット「キッズフリマ」です。
大人はエリア内立ち入り禁止で、売るのも買うのも子どもだけ。そこでは、子どもたちはどんな体験をして、どんなことを感じているのでしょうか。
キッズフリマを企画・運営をするHONEYTHINGの代表・赤池慶彦さんにお話を伺いました。
――どんな経緯で、子どもだけで行うキッズフリマを始めようと思ったのですか?
赤池さん(以下敬称略)私は大学卒業後、リユースの重要性を感じ、フリーマーケットの企画・運営に携わってきました。最初は、そのフリーマーケットの一角で、子ども向けのコーナーを作ったのですが、これが親御さんたちから高評価で、いっそ、キッズフリマ単体でやってみようと始めたのが発端です。
最初は、子どもがよくやる『お店屋さんごっこ』のような感覚でスタートしました。そのうちに、親御さんたちは物の売り買いだけでなく、お金に対する向き合い方や物の価値、お金の価値などについても子どもたちに伝えたいという気持ちがあることがわかりました。
そこで、物の売り買いを通して、お金に関することだけでなく、人とのコミュニケーションやリユースなど、現代社会で必要なさまざまなことを学べる体験型教育イベントという形に変ってきたのです
――実際に、どのような流れで行われるのですか?
赤池 開催予定の会場を予約したら、お子さんに『売る物』を決めてもらいます。いらなくなったおもちゃやカード、アクセサリー、本、ゲームなどが多いですね。
いくらなら売れるか考えて値付けをして、当日にのぞみます。
持ち物は、商品、おつり、商品を置くビニールシート、電卓、その他、必要な物など。当日、始まる前に接客の仕方や収支計算シートの書き方、開催中の注意点をスタッフが話します。お金のやりとりや流通など、経済のことも簡単に説明しますね。
出店準備までは、保護者の方もお手伝いができますが、開場してからはお子さんとスタッフのみの空間となります。もちろん、買うだけの参加者も訪れます。
大人は一歩引いて、子どもの力を信じることも大事
――なかなか売れずに困ってしまうお子さんはいないのですか?
赤池 開催前のレクチャーでもポイントは説明しますが、実際に周りの子どもたちが『いらっしゃいませー』とか『ありがとうございました!』、『安くするよー』などと言っているのを聞いて、まねして、みんなどんどん積極的になっていきますよ。
――楽しそうですね。実際に体験したお子さんからはどんな感想を聞きますか?
赤池 「最初は売れなかったけど、いろいろと努力するうちに売れるようになってうれしかった」とか「捨てたらごみになるものでも、欲しいと言ってくれる人がいて、お小遣いにもなって良かった」というような感想が寄せられています。
実際に、出店料を引いても自分が出した物がこれだけのお金になったとか、それは自分で自由に使えるお金なんだと実感できるので、お金に対してポジティブになれて得難い経験ですよね。買い物に来た子どもも、100円を握りしめて、このお金をどう使おうかを考えて、実際に「良い物が買えて良かったね」と家族で喜んでいる姿を見るのはうれしいですね。
ただ、大人のほうが、子どもの力を信じていないところがあって、周りから「こうしなさい、ああしなさい』」と身を乗り出して指示しようとする場面は多いんです。それで、大人がこれ以上入れないラインを作って『成長見守りライン』と名付け、『ここから、お子さんの成長を見守ってくださいね』とお願いしているんです。
自分の子どもに失敗させたくないという気持ちが強いのでしょうね。
でも、子どもに任せるという姿勢が大事だと思うんです。子どもたちはよく考えて、しっかりと取り組んでいるんですよ。
小さい子が来たら、「いくら持ってるの?」とか声をかけて、『それなら、これは10円1枚で買えるよ』と教えたり、最後のほうになると、『安くするから買ってってー』と声を張り上げたり。
内気で家では大きな声を出さない男の子が、大きな声で接客する姿を見られてうれしかったという親御さんの声もありますね。「お金の大切さや100円の価値などを学べるのと、リユースなどエコにつながる勉強にもなった」という声もいただきました。
お金のリテラシーを教える機会が日本には少ないので、現金という目に見えるお金を使ったやりとりを通して、時には失敗しながら経験を重ね、お金の大切さや前向きな姿勢を身につけて欲しいと考えています」
「売って、買って、学んでいく。」キッズフリマ
お買い物の参加は小学6年生以下、出店は小学3〜6年生が対象。
売るのも、買うのも子どもだけ。大人は立ち入り禁止のフリマイベントです。
お金や経済について学べるキッズフリマ、全国のショッピングモールなどで開催されているので、興味がある方は参加してみてはどうでしょうか。
子どもが小学生なら、一度体験させてみたいですね。お金やリユースに対する意識だけでなく、コミュニケーションについても経験が積めそうです。
(取材/文・橋本真理子)
※文中のコメントは「ウィメンズパーク」(2022年1月末まで)の投稿を再編集したものです。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
赤池慶彦さん
PROFILE
1972年、東京生まれ。父親の会社の倒産を受け小学6年生から路上販売を行う。大学卒業後、父と弟とともに「東京リサイクル運動市民の会」を立ち上げる。2009年に株式会社東京リサイクルの代表取締役社長に就任。会員数15万人のフリーマーケットを中心にイベントの企画・運営を行う。2020年1月、キッズ事業のために代表を退き、株式会社HONEYTHINGを設立。
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