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算数や国語が全然わからない小学1年生の我が子、どうすれば?【専門家が丁寧に回答】

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母と娘が自宅で絵を描く
maruco/gettyimages

4月から小学生に上がり、「ひょっとして、うちの子、勉強が苦手では…」と心配になったママの声が寄せられました。
勉強についていけないと感じるときに、我が子にどう接したらいいでしょうか。口コミサイト「ウィメンズパーク」の先輩ママの声とともに、子どものやる気を引き出す塾・プラスティーの塾長・八尾直輝さんにお聞きしました。

足し算をつかうかどうかも、わかっていない娘が心配…

最初に、あるママの悩みを紹介します。

「小1の娘の母です。娘の学校での勉強について心配をしています。
特に算数。足し算と引き算の間違いがとにかく多いのです。そして、文章題になると破滅的です。『猫が5匹、犬が10匹、どちらが何匹多いですか?』といった問題が全くわからない。私が図で解説しても、『足し算?』と聞いてくる始末です。
主人の希望で、くもんへ通っていますが、計算慣れするどころか、指を使って計算しています。国語の文章題もよくわかってないようだし、『き』と『ち』の違いがわからない、時計もよめません。学習障害ではないかと疑っています。何か特別な対応をすべきでしょうか」

この悩みに、先輩ママたちがアドバイスします。

■ 普段から数字に慣れさせたり、文章題のような会話をしてみたら?
「普段から数字に慣れさせていますか?『お皿を何枚出して』『何時に○○しよう』『おもちゃは何個出したの?』『どっちが多い?』『いくつ減ったかな? 増えたかな?』とかです。算数は生活に密着しています。また文章問題も、普段の生活の会話に取り入れられる問題ばかりです。文章問題が苦手な子は、家庭であまり質問や、それに対する答えの経験が少ないように思います。
また、勉強嫌いにならないようにするには、間違っていても責めずに褒めるのも大事です。説明ができなくても、小さなことから褒めていけば子どもは伸びていくものです。子どもの学習に個別に関わる仕事をしていた経験もあり、アドバイスさせていただきましたが、私のこの意見は、特に障害などのない子どもを想定してのことになります」

■ 時計も図形も慣れ次第。できることを増やしていくしか
「算数といっても、つまるところ国語の問題なんです。『合わせて?』『全部で?』と聞かれたら足し算。『どっちが多い?』『違いは何個?』と聞かれたら引き算。これを暗記させて、あとは『引き算は大きい数が先、小さい数は後ろ』のルールを覚えること。
入学前に学習は必要ないという人もいるけれど、残念ながら、実際は最低限の準備をしてから入学しているケースが多いです。少なくても、ひらがなの読みや数の違いはやっている方が多く、うちも年中でひらがなの読みを、年長で書きをマスターし、通信ワークをやってました。それだけでも2年間の差になってしまっています。この差は簡単なレベルなので、理解の早い子ならすぐに追いつけますが、理解に時間がかかる子には相当な負担になると思います。
『き』と『ち』の違いは普段の読書でどうにかなります。これも今までの経験値の差が大きいと思います。克服するには数をこなすしかないです」

■ 文章題はそもそも独特な言い回し。それに慣れるところから
「『どちらが何匹多いですか?』という問題自体が学校で勉強しはじめた小1にとっては、『独特な言い回し』なんです。
『合わせて・全部で』は足し算、『多い・少ない』は引き算と暗記させるつもりで教えてもいいと思います。
『き』と『ち』の区別がつかないのも、図形的に似ているから混乱するのか、音として識別できてないから混同するのか…。その辺の原因を見極めて、コツを教えられるなら家庭教師も良いと思いますが、なかなか高度な技量だと思います」

■ 担任の先生に相談をしてみては?
「まず、担任の先生に授業の様子などを聞いてみてはどうでしょうか。
連絡帳などで、『学習のことで相談があるのでお時間をいただけませんか?』とお伺いして、面談をお願いできればいいのですが。
学習障害は『知的障害を伴わない』ことが条件なはずです。また『読み、書き、計算』のうち、どれかが著しくできない(例:計算はできるけど、本読みが全くできない、とか)ときに診断がつくイメージです。言葉を読んでもイメージがわかないだけなら、買い物するときに『りんご2個となし1個買ったら何個ある?』とか、生活の中に数字を溶け込ませて意識しやすくしてはどうでしょうか。プリント類から数字に入ってしまうと、数字がイメージしにくくなるので、何か好きなものから数字をイメージできればいいですね。我が家は電車の車両数を数えるところからでした。
プリントにたくさん問題があると集中できないのなら、プリントを折ってとく問題だけ見えるようにするのもおすすめです」

■ 本人も興味がないし、うちも似たようなものでした!
「わかるよ、わかるよ、我が子も1年生のときが一番ひどかったです。
数の概念がないってね。周りが言っても、本人が興味ないからね。いやあ、大変でした。
そういう子には算数の教科書を、何回も一緒にやるくらいの覚悟が必要です。それと同じような考え方を、日常でもしていく。たとえば、おやつを出したら、『◯ちゃんは、クッキーが5枚あります。□ちゃんはクッキーが7枚あります。どちらが何枚多いですか?』と言うとか。はじめはトンチンカンな答えでした。でも、我が子は食い意地がはっていたので、それでやっと何とかなっていきました。
毎年、新しい概念を教えるのには苦労しますが、1年生が一番大変でした。がんばってください」

文章を読むことは、実はとても難解な作業

本当に勉強ができないのか、慣れていないからなのか、それとも他に要因があるのか、判断しづらい問題ですね。
そこで、日々子どもの学習指導に携わっている八尾直輝さんに、勉強がわからないという子どもへの対処についてアドバイスをいただきました。

「なかなか難しい状況ですね。我々も勉強が苦手な子ども向けの指導を15年間やってきました。『どうしてこんなことができないのだろう?』と感じてしまう、そのお気持ちはよく理解できます。
学習障害である場合は、また別の対応が必要になりますので、以下、基本的には学習障害ではない場合について答えさせてもらいます。

まず、我々が普段何気なくやっている『文章を読む』という行為は、とても難しい作業だということを認識する必要があります。
人工知能を搭載したロボット『東ロボくん』が大学の入試問題に挑むというプロジェクトがありますが、『文脈に適した解答をする』ことは困難を極めたそうです。

本プロジェクトを主導した新井紀子さんは著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)で以下のような問題を例に、『読む』ことの難しさを指摘しています。


【問】次の文を読みなさい。

『Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。』

 この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
『Alexandraの愛称は(   )である。』
(1)Alex (2)Alexander (3)男性 (4)女性

もちろん正解は(1)です。『当然だろ』という声も聞こえてきそうですね。でもこれを『解説』することはできるでしょうか? そもそも、みなさんはそのような『解説』のように考えて正答を導きだしたでしょうか?

『読む』ことは意外と複雑で難しい作業なのですが、これを私たちの脳は『なんとなく』で理解できてしまうということに気付くことが大切です。
子どもに対して、『なんでこんなことも理解できないの?』と感じるときもあるかと思いますが、落ち着いてじっくりとプロセスを踏んでいくことが重要です。

では、どのようなプロセスを踏めばいいのでしょうか。

まずは『言葉』や『ストーリーの型』を覚えることが重要です。当然ですが、基礎になる知識がなければ、人は考えることができません。そして多くの場合、人は『考える』ことをしておらず、『覚えている』ことを答えているだけという場合も少なくないと感じます。

たとえば、以下の問題を考えてみてください。

(1)10-4=

(2)以下の文章の□□部分に入る文章を考えてください。

桃から生まれた桃太郎は、おじいさんとおばあさんに育てられました。ある日、おじいさんとおばあさんに頼まれ、犬・猿・きじを仲間にし、鬼ヶ島に鬼退治に行きました。そこで、桃太郎たちは鬼を退治し、金銀財宝を持って帰り、□□□□□□□□□□□□□□□□。


(1)の正解は6ですね。
(2)みなさんご存知の『桃太郎』ですね。『みんなで幸せに暮らしました。』『鬼がいなくなり村みんなが安心して暮らせるようになりました。』といった文言が考えられますね。表現方法はいろいろと考えられますが、多くの人が『ハッピーエンド』を想定したと思います。

ポイントは(1)と(2)ともに、あまり『考えないで』結論を出していることです。
(1)は『足すと10になる数字のペア』を知っているから瞬時に解答を出すことができます。(2)も勧善懲悪といった『基本的な物語の型』を理解しているからこそ、みなさんハッピーエンドを想起したのでしょう。

このように、まずはこのような『基礎の型』のストックを増やすことを意識しましょう。
国語だったら『言葉』と『ストーリー』、算数なら『計算』や『パズル』に触れる回数を増やすのです。

国語は知らない言葉を、その都度調べるようにしましょう。
調べるのも厳密に辞書で調べる必要はありません。Google検索でも構いません。画像検索も使ってみると、辞書よりも『よくわかる』ことも少なくありません。『Hey,Siri!◯◯ってなに?』とスマホに聞いてみるのも面白いでしょう。調べることに対するハードルを下げ、回数を増やすことを意識してください。

ストーリーの理解には、やはり読書が鉄板です。最初から1人で読むことは難しいので、読み聞かせから始めましょう。読み聞かせの習慣化は間違いなく子どもの力になります。慣れてきたら読後に『どこが面白かった?』『〇〇したあと、何があったっけ?』といった発問をし、子どもに答えてもらうのも効果的です。

算数は、まずは計算です。計算のポイントはまず『覚える』ことにあります。『足すと10になるペア』や『九九の計算』といった基礎を繰り返し練習しましょう。『足すと10になるペア』はトランプを使って真剣衰弱形式でやるなど、楽しくできる工夫があるとベターです。

算数はパズルも有効です。学研プラスさんから出版されている『宮本パズル』は直感的にルールを理解でき、楽しみながら場合分けや論理を学べるパズルの傑作です。また、スマホアプリの『think! think!』は世界的にも認められている思考力を伸ばすアプリ教材です。指導者から説明なくとも子どもが自分で勝手に学べるように設計されている点も素敵です。ぜひチェックしてみてください。

なかなか変化が見えない子どもに対して、不安を感じることも多いかと思いますが、基礎の積み重ねで大きく変わる事例も我々は多く見てきました。
根気強く、時には周囲の手も借りながら頑張っていってください。応援しています」
(お話/八尾直輝さん)

基礎のストックを増やすという考え方はわかりやすいですね。スマホやトランプを使ったりすることで、基礎の積み重ねも、親子で楽しみながら継続することができそうです。
(取材/文・橋本真理子)

※文中のコメントは「ウィメンズパーク」(2022年1月末まで)の投稿を再編集したものです。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

八尾直輝さん

PROFILE
勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を創業、現在は取締役・塾長として、会社の経営、塾の運営全般に関わっている。共著に『子どものやる気を引き出すゲーミフィケーション勉強法』(講談社)、執筆協力に『中学生からの勉強のやり方』『図解 中学生からの勉強のやり方』(ともにディスカバー・トゥエンティーワン)がある。

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