【子どものお薬】粉薬とシロップどっちを選ぶ? メリットとデメリットを徹底解説!
子どもにお薬が処方されたとき、どうやって飲ませればいいのか困ったことはありませんか? 粉薬が処方されることもあればシロップが処方されることもあるでしょう。
今回は、粉薬とシロップとでは効果に違いがあるのか、どちらを選べばいいのかなど、それぞれのメリット、デメリットについて詳しくご紹介いたします。
粉薬とシロップ、効果に差はあるの?
見た目が全く異なる粉薬とシロップですが、この2つに効果の差はありません。
粉薬が苦手な子もいれば、シロップが飲めない子もいるため、子どもの好みの剤型でお薬が飲めるように、種類を選べるようになっています。
抗生剤は、はじめから溶解してしまうと経時的に効果や力価(※1)、分散性が低下してしまいます。そのため、シロップではなく「ドライシロップ」という水に溶かして飲む製剤として作られているものもあります。
(※1)一定の効果を発揮するのに、必要な薬の量に基づいた薬の強さのこと
粉薬とシロップ メリットとデメリット
粉薬とシロップでは、剤型が異なり、飲ませ方も違います。状況に合わせて使えるように、それぞれのメリットやデメリットを確認しておきましょう。
粉薬のメリット
粉薬は一回分ずつ包装されており、量を量り間違えることがなく、シロップのように「ジュースと間違えて一気飲みをしてしまった」という心配もありません。
また、シロップと比べると保存期間も長く、常温での保存が可能です。そのため、携帯に便利な点もメリットといえるでしょう。
粉薬のデメリット
粉薬が苦手な子どもに対しては、飲みやすく工夫する必要があります。
たとえば、食品やジュースなどに混ぜる方法です。この場合、飲み切れる量や、混ぜる食品の種類などを考慮する必要があります。
もし、主食のご飯やミルクなどに混ぜて嫌がられてしまった場合は、その食べ物自体を嫌いになってしまうこともあるため注意が必要です。
シロップのメリット
シロップは、スポイトやスプーンなどでそのまま飲ませることができるのがメリットです。
子どもが飲みやすいようにシロップ自体に甘い味付けがされているため、粉薬のように何かに混ぜる必要はありません。
また、嚥下機能が未熟な小さな子どもでも容易に飲むことができます。
シロップのデメリット
シロップのデメリットは、量り間違えたり、誤って一気飲みをしたりする可能性があることです。また、保管にも注意が必要で、冷蔵庫に保管するのが好ましいといわれています。
シロップは飲みやすいように甘く作られているため、雑菌が繁殖しやすいです。
容器の中に異物が入らないように、毎回、清潔に量ることを心がけ、容器から直接飲ませることは避けましょう。
どんな子どもに向いている?
母乳以外の飲み物を受け付けない、シロップだとどうしても吐いてしまう子は、粉薬を選んでください。
シロップは、嚥下機能が未熟な小さな子どもでも飲みやすい剤型です。
粉薬では口の中に残ってしまう、粉を溶かしても飲めないといった場合にはシロップがおすすめです。
すべてのお薬に粉薬とシロップの剤型があるわけではありませんが、選べる場合は子どもの好みに合わせてみましょう。
お薬を嫌がる子に試してほしい! おすすめの飲ませ方
ここでは、お薬を飲むのが苦手な子どもに、ぜひ試してほしい飲ませ方をご紹介いたします。
粉薬の飲ませ方
粉薬は少量の水で練ったものを、味覚を感じにくい頬の内側や上顎にこすりつけて、すぐにミルクや飲み物で流し込むと飲みやすいでしょう。
また、数滴の水で団子状にしたものをアイスクリームやゼリーの中に埋める方法も、味を感じずに飲めることがあります。
ただし、食品やジュースなどに混ぜるときは、飲み切れる少量を作りましょう。
お薬によっては混ぜない方がいい食品もあるため、飲み合わせには注意が必要です。
とくに、1歳未満の場合は、乳児ボツリヌス症を防ぐため、ハチミツにお薬を混ぜて飲ませてはいけません。
また、水ぼうそうなどで処方されるバラシクロビル(バルトレックス)顆粒は、水やジュースに溶けにくく、噛むと苦みがあります。
そのため、スルッと飲み込めるゼリーやアイスクリームなどの半固形物に混ぜるのがおすすめです。
抗生剤も種類によっては、酸味があるもの(ヨーグルトやスポーツ飲料、乳酸菌飲料など)に混ぜると、コーティングが剥がれて苦味が増すものもあるので注意が必要です。
味の濃いチョコレートクリームや練乳などに混ぜると、苦味を緩和させることができます。
シロップの飲ませ方
シロップは、哺乳瓶の乳首や、スポイト、スプーンなどで少しずつ口に入れてあげましょう。
嫌がる場合は、ジュースなどに混ぜてもいいですが、飲み切れるくらいの少量に混ぜてください。
ただし、貧血で用いる鉄剤のシロップは、タンニンを含むもの(お茶など)と混ぜると効果が低下してしまいます。
シロップの甘味が強すぎて嫌がる場合には、水で薄めても問題ありません。
また、人間の舌は冷やすことで甘味を感じにくくなるため、冷蔵庫で保管しておいたシロップを入浴後などのタイミングであげるのもいいでしょう。
お薬のQ&A
ここでは、子どものお薬について、よくある質問をまとめました。正しくお薬を使うために、疑問や不安を解消しておきましょう。
Q1.症状が改善されてきた。まだお薬があるけれど、全部飲ませなくて大丈夫?
基本的に処方されたお薬は飲み切ってください。とくに、抗生剤の場合、症状がよくなってきても処方日数を飲み切ることが大切です。
自分では体調がよくなったと思っても、まだ活発な菌が残っていた場合、症状をぶり返すことがあります。
さらに、そのような状態でぶり返した菌は抵抗力をつけており、次に同じ抗生剤を飲んだときに効かなくなることにもなりかねません。
医師は、症状に合った日数を処方しており、耐性菌が発現しないように配慮もして薬剤や投与日数を決めています。
お薬を途中でやめてもいいかどうかは医師の判断となります。お薬が合わないなどの場合は処方医に連絡してください。
Q2.あまったお薬は使い回して大丈夫?
お薬を使い回してはいけません。処方されているお薬は、あくまでもその時の症状に対するものです。
子どもの場合は、成長過程で体重にも変化があるため、お薬の使用量も変わります。古くなったお薬は処分しましょう。
Q3.家族に同じ症状が移ってしまった! 処方されたお薬を飲ませてしまって大丈夫?
家族間で、お薬を使い回してはいけません。同じような症状にみえても、家族にはそのお薬が合わないこともありますし、体重によって投与量が異なる場合もあります。
とくに、抗生剤は絶対に処方された人以外には飲ませてはいけません。
抗生剤は、症状によって使用する種類や用法・用量が異なります。また、原因菌の種類によっては、服用回数や服用期間も異なります。
処方された人以外に勝手に抗生剤を使用してしまうと、副作用の発現だけでなく、耐性菌を引き起こす原因にもなりかねません。
Q4.お薬を飲ませた直後に吐いてしまった。もう一度同じ量を飲ませるべき?
嘔吐物を観察し、明らかに全量を吐いている場合は、もう一度同量を飲ませてください。しかし、どれだけお薬を吐いたのかわからない場合は、もう一度飲ませてはいけません。
Q5.子どもが寝てしまった。起こしてでも飲ませるべき?
お薬を飲ませる時間に子どもが寝ている場合、無理やり起こす必要はありません。目が覚めて、機嫌がいいときに飲ませてあげれば大丈夫です。
しかし、1回分の服用をスキップしてはいけません。
1日2回服用するお薬なら8〜9時間の間隔を目安に、1日3回服用のお薬の場合は5時間程度の間隔をあけて、オムツ替えや授乳など、起こすタイミングに合わせて飲ませましょう。
Q6.医療機関に行けない。市販薬で対処して大丈夫?
軽い症状ならば、市販薬で対処してもいい場合があります。
生後3か月以上の子どもの場合は、少し熱があっても機嫌がよく水分が摂れていれば様子をみてもいいでしょう。しかし、生後3か月未満の乳児が38℃以上の熱を出したときはすぐに受診が必要です。
また、痙攣している、ぐったりしている、水分が摂れない、意識がもうろうとしている、嘔吐が続いているなど、「いつもと違う」症状がある場合は市販薬で対処せず、病院を受診してください。
お薬の必要性を子どもに伝えよう
お薬を飲むことは、子どもにとっても苦痛なことです。なかなか飲んでくれないからといって、無理やり飲ませると、ますますお薬が嫌になってしまいます。
会話ができる年齢になっていれば、どうしてお薬が必要なのか、どのような効果があるのかなどを子どもに話し、理解してもらうことが大切です。
上手に飲めたときは褒め、頑張りを認めてあげましょう。
参考URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
PROFILE
薬剤師 相田 彩
薬剤師。昭和薬科大学薬学科卒業。
総合リハビリテーション病院、精神科専門病院、調剤薬局に勤務するなかで、漢方薬が使用される症例の多さと、体質や症状に適した漢方を使用することの重要性を実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010005
※記事の内容は2023年3月の情報で、現在と異なる場合があります。