手作りパンを切るとこうなる【御手洗直子のコマダム日記 #175】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#175
今回は手作りパンにまつわるお話です。
パンはパン焼き機のみで焼けるに非ず
パン焼き機を買った。ホームベーカリーではなくパン焼き機だ。バギーは乳母車だしコンプラは法令順守だしアクセシビリティは利用のしやすさだ。なんでもカタカナにするんじゃない。もともと市販のパンがあまり好きではなく、唯一追っていたパンがとうとうスーパーで売られなくなってしまったのだ。いやパン屋さんのパンを買ってもいいけど高いしなあ…。と散々迷ったのだが、とうとうパン焼き機を買ってしまったのであった。
さてパン焼き機である。ためしにスタンダードな食パンを焼いてみたが、このために新しくはかりを買い0.5g単位で厳密に作ったかいがあり問題無く普通のパンが焼けた。感動である。何ひとつパンの作り方を知らなくても機械がパンを焼いてくれるのである。すばらしい。それではさっそくパンを切って味見してみようと思ったのだが、レシピには『しばらくおいてパンを冷ましてから切りましょう』と書いてある。
しばらくって何分だ…?
しばらく冷ます。というイメージなら5分であろうか…。でもせっかくの焼きたてパンなのでできれば早く食べたい。念のため10分待ってあったかいうちに食べてみよう。菜切包丁を構えタイマーが鳴るのを今か今かと待ちわび、タイマーと同時に私はパンに切りかかった。ジョジョッ!俺はパンを切るぞォーーーッ!!
クシャアアアア!!!である。全く切れないのである。
わたあめに手刀を浴びせるがごとく、パンは圧殺された。ようするにぺったんこになったのである。え?まじで?どうすれば?どういうこと?
切ろうと包丁を押し付けるとつぶれるし、ギコギコ切ろうとパンを手で抑えるとつぶれるのである。どないせえというのだ。タテにもヨコにもどうにもならぬのでそのままちぎって食べた。おいしい。最初からこうすればよかった。
私の見たレシピだと『しばらく冷ます』というふわふわ言葉でしか説明がなかったのだが、他のレシピをいろいろ探すとどうやら1時間から1時間半ほど冷やす。らしい。時間単位で足りない。知らんよお~~~書いといてくれよォオ。そして1時間冷ましてみたのだがやはり菜切包丁では切れる気がしないのであった。なんやかんやと電動ナイフやらパン切りガイドなどを追加購入し、3つ目のパンを焼くころには順当にパンを切れるようになったのであった。
まあ早く言えばそれなりの道具が無いとお店で売っているようなパンは食べられないということである…。今回パン焼き機、電動ナイフ、パン切りガイドとはかりを買ったのだが、モトが取れるのはいつなのであろうか。
ざっくり計算すると、1000回焼かなければならないのであった。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子X(旧twitter):@mitarainaoko