妊娠26週で1000g未満の超低出生体重児の4つ子を出産「もっとおなかに居させてあげたかった。ごめんね…」【多胎育児体験談】
Instagramで4つ子の育児について発信している4つ子とお兄ちゃんのママ(@s.a.a.y.y7524)(30歳)は、2017年に長男を出産後、2021年の7月に4つ子を出産しました。現在、5歳の長男、2歳の4卵性の4つ子(女の子3人、男の子1人)、夫の7人家族です。4つ子を妊娠したときの気持ちや出産までの出来事についてママに聞きました。全2回のインタビューの1回目です。
排卵誘発剤で妊活。卵巣過剰刺激症候群で入院
夫と3年のお付き合いを経て、2015年に結婚した4つ子とお兄ちゃんのママ。もともと「子どもは2人か3人欲しいな」と夫婦で話し合っていたそうです。
――4つ子ちゃんができるまでの経緯を教えてください。
「2017年に長男を出産後、仕事復帰をして2年が経ったころ。長男が3歳になる年に2人目のことを考えはじめました。『30歳にはもう1人産みたい』という気持ちがあったのですが、生理不順だったので病院を受診して排卵誘発剤を使用しました。
その2カ月後、仕事へ行けないほどの腹痛があり病院を受診しました。少し卵巣が腫れていて、それが原因で腹痛が起きていたとのことでした。一度帰宅しましたがさらに症状が悪化したためもう一度病院を受診しました。そのときに妊娠していることが確認できたため(まだ4つ子とはわかっていません)、お産ができる病院へ移動しましたが、血液検査の結果が悪かったのですぐ救急車で大きい病院に搬送されました。
検査の結果、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)(※)と診断され、卵巣の腫れと腹水があったため入院することになりました。悪化して胸水になって呼吸がしにくくなり酸素マスクを使用したり、腹水を抜いたり、しんどい状態が続いていました。
少しずつ身体の調子もよくなっていきましたが、退院の前にまた腹痛があったので退院の前日に再検査しました。内診をしたら、診察していた先生が『1人だけじゃないね。2人かな?あれ?3人…4人……』という感じで4つ子の妊娠が発覚しました。今思えばOHSSが悪化したのも、つわりが早いのも、おなかに4人いたからなのかなあと思います。実はその後の健診で心拍が確認できない子が1人いたため、本当は5人目もいました」
※卵巣過剰刺激症候群(OHSS)……不妊治療における排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって、卵巣がふくれ上がり、おなかや胸に水がたまるなどの症状が起こること。
長男くんが3歳になるころに2人目を考えて妊活をスタートしましたが、排卵誘発剤の影響で卵巣過剰刺激症候群になってしまい、しんどい経験をしたという4つ子とお兄ちゃんのママ。退院前の診察でまさかの4つ子妊娠が発覚! 診察をした先生もびっくりしていたそうです。5人目の子は心拍が確認できず残念な結果となってしまいましたが、とにかく4人の小さな命の無事を守ることに必死だったと話してくれました。
4つ子の妊娠発覚。正直うれしさより不安でいっぱいだった
――4つ子だとわかったときの気持ちを教えてください。
「4つ子だとわかったときは、正直つわりの気持ち悪さを忘れるほど、頭が真っ白になりました。
その次に『私のからだは大丈夫なのか?』『子どもたちは育つのか?』『4つ子をちゃんと育てられるか?』『お金は大丈夫か?』『いろんな覚悟を自分はできるか?』などの不安が次々と浮かんできました。
1週間ごとに体調や状況が変わるので常に気持ちが落ちつかない状態で、家族以外に相談することができませんでした。落ち着かずソワソワしていてうれしいという気持ちより、気持ちが追いつかず不安しかありませんでした」
2人目を望んでいたものの、4つ子と聞いたときは喜びよりも不安でいっぱいになってしまったそう。4つ子の出産は母体や赤ちゃんに与えるリスクが高くなることは想像できますが、いざ自分が多胎児妊娠だった場合「えっ、私が?」「本当に産めるの?」とパニックになってしまいやすいのが現実。赤ちゃんたちのからだ、自分のからだが出産に耐えられるか、とにかく無事に生まれてくるまでは心配事が尽きなかったそうです。
――妊娠中トラブルはありませんでしたか?
「1人目の長男を妊娠しているときは子宮頸管長が短くなり、切迫早産で長期入院経験があったため、4つ子のときは子宮口を縛る手術をしました。おなかの大きさは、1人目妊娠のときの週数で比べると全然違いました。早い段階でおなかの張りがあったり貧血があり、鉄の薬を飲んでいました。
入院時期は22週あたりの予定でしたが、張りが多かったので早めの入院になりました。23週目に子宮口を結んでいるところに負担がかかり、出血と張りがあったので張り止めの点滴を開始。出血したときは『この先どうなるんだろう……』と不安で泣いてしまいました」
26週で緊急帝王切開「もっとおなかに居させてあげたかった。ごめんね」
――どのように出産を迎えましたか?
「出産は緊急帝王切開で、予定日より3カ月早い26週1日で生まれました。
緊急帝王切開になった日、日中は問題がなかったのですが、病院の消灯時間前に少し張りがあったので『夜中なにかあると怖いな』と思いNSTをしてもらったら、数分後に大量出血……! 子宮口を縛っているところがとれかけたのが原因でした。緊急帝王切開の覚悟はまったくできておらず、急な大量出血にびっくりしてしまいました。
そのあとすぐに陣痛がきて子宮口も一気に全開になって、緊急帝王切開に。まだ26週1日の早産ということもあって不安で泣いていました。陣痛がきて子宮口が全開になったときは痛くてなにも考えられず、いきみたくなるのを必死で抑えていました。大量出血から2時間ぐらいで4人が産まれました」
――産後直後の子どもの様子や、心配事などはありましたか?
「4人の体重は全員1000グラム未満でした。おなかから出たあとはすぐに処置し保育器へ。手術室から出るときに私と夫で赤ちゃんを2人ずつ確認する予定でしたが、私は途中で眠らせてもらったため、すぐに赤ちゃんを見ることができませんでした。
それから2日後にようやく4人に会うことができました。
妊娠5、6カ月ぐらいからおなかが苦しくてごはんを分食にしたり、寝れなかったりして、妊娠中は『産まれたらおなかが楽になるのかな』と思っていたので、子どもたちをはじめて見たときは、すごく小さいからだでいろんな管に繋がれていて『私が妊娠中にそんなことを考えてしまったから早く産まれてしまったのかな……。もっとおなかに居させてあげたかった。ごめんね』という気持ちが大きかったです。
低体重の場合は産まれてから72時間は注意が必要とのことだったので、その時間が経つまでは不安な気持ちで過ごしていました」
小さいからだでかんばった4つ子ちゃんたち
4つ子の妊娠中は母体の負担が大きかったぶん、「生まれたら楽になるのかな」という気持ちがあったというママ。実際に1000グラム未満の小さな4人の赤ちゃんを目の前にしたとき、そう思ってしまった過去の自分に深く後悔をしたそうです。
――産後1カ月で手術した二男くんですが、そのときのことを教えてください。
「二男は生後1カ月経った頃に夜中病院から、電話があり緊急で手術になりました。原因は腸閉塞です。
手術は無事に成功しましたが、ストーマ管理(人工肛門)になりました。心房中核欠損もあったため、腸と心臓への負担を考えてミルクや母乳などが制限されました。飲ませ過ぎると心臓に負担がかかるし、腸を手術しているので吸収がうまくできず、体重がなかなか増えませんでした。
生後4カ月の頃に、心臓に負担がかからないための手術をするために大学病院にドクターカーで転院。無事に手術が終わったらもとの病院へ戻り、体重も徐々に増えてきた生後6ヶ月ごろにストーマを閉じる手術を行って退院することができました。
そのほかにも三女と二男は未熟児網膜症で網膜にレーザー光線をあてています」
生まれてきたときは全員1000グラム未満だったという4つ子たち。早産だったこともあり赤ちゃんの体調は不安定で、なかでも二男くんのからだには心配事が多かったようです。4人を生む覚悟、育てる覚悟、さまざまな葛藤と決断の中で、ときには涙を流しながら不安と向き合ってきたことをたくさん話してくれました。
女の子3人は生後4カ月で退院、二男くんは生後7カ月で退院し、小さな4つ子たちは長い入院生活を終えてようやく家族そろっての生活がスタートしました。
後編では、全員が退院し始まったお兄ちゃんと4つ子の育児について詳しく話を聞きました。
お話・写真提供/4つ子とお兄ちゃんのママ(@s.a.a.y.y7524)さん 取材・文/清川優美、たまひよONLINE編集部
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年7月の情報で、現在と異なる場合があります。