4つ子育児のリアル。ミルク缶は2日、おむつは2~3日で消費。お世話の管理はエクセルで見える化【多胎育児体験談】
Instagramで4つ子の育児について発信しているママ(@s.a.a.y.y7524)は2017年に長男を出産後、2021年の7月に1000g未満の超低出生体重児の4つ子を出産しました。現在、5歳の長男、2歳の4卵性の4つ子(女の子3人、男の子1人)、夫の7人家族。
前回のインタビューで4つ子を妊娠・出産したときや、二男くんの手術のことを話してくれた4つ子とお兄ちゃんのママ。本記事では4つ子の育児について詳しく話を聞きました。全2回のインタビューの2回目です。
「2人目が泣いたらどうしよう……」夜中に連鎖して起きてしまう
――産後の4つ子育児で大変だったこと・辛かったことはなんでしょうか?
「手術、入院と心配事の多さと寝不足が続くことです。
特に二男は心房中核欠損や腸閉塞で入院も長く、いろんな手術を経験したので心配事も多かったです。
寝不足については、1人目の長男のときは生後3カ月ぐらいには朝までぐっすり寝ていたので、こんなに夜中に起きるのが続くとは思っていませんでした。1人が起きると連鎖して次々と起きてしまうので、1歳半ぐらいまではタイミングによってはまったく眠れないときもありました。おんぶしたままソファに寄りかかって寝ることも多かったです。今でも風邪をひいて咳や鼻水がでるときは夜中に起きやすいので寝不足になります。
二男の根治手術が終わるまで(生後1歳ころまで)は、義母や実母にも協力してもらいお世話を交代してもらったり、日中に少し仮眠をとらせてもらったりしていましたが、夫婦2人きりになってからは、限界になるまで私が夜中の対応をして『どうしても!』というときは夫を起こしています。夫の仕事が休みの日は前半と後半で起きる人を決めていました。
一時期、夫はお兄ちゃんと二男、私は長女、二女、三女と寝ているときがあったのですが、夜泣きで毎日起きていたり、1人が泣くと『2人目が泣いたらどうしよう……』と気づかないうちに気が張っていて、なかなか疲れがとれませんでした。
家族7人全員で一緒の部屋で寝るようになってからは、『泣いても夫がいるから大丈夫』と気持ちが楽になりました。子どもたちも成長してきて、まとまった睡眠時間の確保ができるようになったので、夜中に起きる回数は減りました」
母と義母が泊まり込み、夫の育休は4カ月。総力体制で臨んだ育児
――パパや親族など育児協力がある環境でしたか?
「幸いにも周囲の育児協力がある環境でした。
二男の手術が終わる生後11カ月ごろまでは、実母、義母に一緒に住んでもらい、大人4人で育児や家事など協力をしました。(実母は県外、義母は車で15分ぐらいの距離に住んでいます)
夫も二男の手術に合わせて4カ月間育休を取得したので、とても助かりました。二男の根治手術のときは、夫が2週間ぐらい付き添い入院していました。特に担当は決めていませんでしたが、お風呂に入れる人、服を着せる人、ミルクを準備する人……など、その時々でみんなで役割分担し、それぞれの睡眠時間も確保しました。
長男のときは、ミルクの回数や量などをアプリで管理していましたが、人数が多いので見える化して口頭で伝えなくてもわかるように、エクセルで表を作って印刷し、ミルクやおむつ、便、薬の回数など書いて把握していました。誰にミルクをあげて誰のおむつを変えたかもわからなくなるので、見える化することでわかりやすくなりました」
ミルクは2日で1缶、オムツは2~3日で1袋を消費
――4人分のベビー用品の準備で実際に困ったことなど教えてください。
「ミルクの時期は1缶を2日で消費、オムツは2日半〜3日で1袋を消費します。おむつ&ミルクで1ヶ月2万5千円〜3万円前後。ベビー用品や服などはワンシーズンごとにまとめ買いするのでだいたい2万〜3万円。量も多いので安い日にまとめ買いやネットでの定期便を使いなるべく費用をおさえるようにしています。私の住んでいる地域では特に支援はありません。
ベビー用品は買ったりするものもありますが、友人や親戚、知人などから譲り受けたものも多くあります。お店に並んでいるベビー用品はだいたい同じものが2つか3つまでしかないので諦めることもあります」
――4つ子でよかったなあと思うことは?
「それぞれの子どもたちの成長が同時に見れるし、同い年の友だちのように毎日楽しく遊んでいてかわいい姿が見られます。大変なこともすごく多いですが、ほかにはない経験させてもらっています。
二男は、甘えん坊の寂しがり屋、入院生活が長かったからかもです。
長女は、愛想が良い反面いたずら好きで、ニヤっと笑いながら悪さをしています。
二女は、くっつきむしで甘えん坊、だれかが泣いているとヨシヨシしに行く優しい子です。
三女は、お話し大好きでいたずら大好きな反面、少し奥手な小心者です。
4つ子でも性格がバラバラなので毎日楽しいです!」
――4つ子に対するお兄ちゃんの反応は?
「初めての対面は『やっとみんなに会えた』という感じで照れ臭そうでした。
3歳の甘えたい時期に、私が入退院を繰り返して1ヶ月以上会えないことや、一度に4人のお兄ちゃんになったので赤ちゃん返りもありました。
3歳、4歳のときは、優しいお兄ちゃんのときもあればいじわるになるときもあり、4人を泣かせてしまうこともありました。
5歳になった今は、少しいじわるになるときもありますが、素は優しくて面倒見がいいです。4人の喧嘩の仲裁に入ってくれたり、一緒に遊んだりお手伝いしてくれます。イヤイヤ期に入った妹がママのいうことを聞かないときも、お兄ちゃんだとお願いを聞いてくれたりするので本当に助けてもらっています」
多胎育児、やりきるのは困難。周りの協力体制を作って“保育”する
――仕事と育児の両立について教えてください。
「4人中3人の女の子は生後1歳で保育園に入園、二男は手術などもあり遅れて生後1歳11カ月で入園しました。
4つ子が2歳になり復職して3週間経ちますが、子どもの体調不良が続くときと朝忙しいのが大変ですね。夫の仕事はわりと融通が効きますが、時期によって忙しいので頼れないときもあります。復職すぐ、子どもの体調不良が続きましたが、初めの2週間は実母がヘルプできてくれていたので仕事は休まず行くことができてありがたかったです。
現在ワンオペがはじまり1週間ですが、実母がいるあいだに朝早く慌ただしい時間に、どんな方法にしたら効率よく家が回るかを色々試していたので、今のところはなんとかスムーズにできています」
――これから多胎児出産・育児をする方々、これからママ・パパになる方々へのメッセージはありますか?
「実際に多胎児の母になって、世の中にこんなにも多胎児がいることにびっくりしました。
多胎児出産・育児のかたは情報不足や孤独感などで不安なことが多いと思います。私も多胎妊娠・出産・子育てはすごく不安でした。多胎の情報は少ないですし、4つ子となるともっと少なかったのですが、SNSを通していろんな情報を得ることができて、勇気や希望、元気をもらいました。そして、多くはありませんが私の体験もだれかの手助けになればと思いSNSをはじめました。
私は夫の家族、私の家族、周りのフォローなどがあってこそ今子育てできていると思います。多胎児支援は県や市町村によって制度も違いますが、未知の経験が多いので、病院や各所に惜しまず相談をしましょう。自治体によっては多胎児の相談ができるところもあるので、無理をせず周りの協力体制を作って欲しいです。育児を理想通り完璧にやりきることはむずかしいので、最低でも“保育”をしてあげることができれば子どもたちは成長します。
育児は多胎児にかかわらず大変なときは大変なので、どんなママ・パパも頑張りすぎず周りの手を借りながら、必要な支援は積極的に受けて育児を乗り切って欲しいです」
多胎出産・育児は情報不足で孤独感が強く、不安を抱えている人が多いという現状を話してくれました。4つ子とお兄ちゃんのママのお話を聞いていると、徹底した“協力体制作り”がいかに重要か思い知らされました。「1人で頑張らなきゃ」「人を頼るのが苦手」という人もいるかと思いますが、みんなで赤ちゃんの命、ママの心身を守っていかなければなりません。多胎育児にかかわらず、ママ・パパたちがもっとSOSを発信しやすい、あたたかい社会を築いていきたいと思います。
「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることをめざしてさまざまな課題を取材し、発信していきます。
お話・写真提供/4つ子とお兄ちゃんのママ(@s.a.a.y.y7524)さん 取材・文/清川優美、たまひよONLINE編集部
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年7月の情報で、現在と異なる場合があります。