鼻をほじった手で感染症に!?夏に気をつけたい皮膚の感染症とは?【皮膚科医】
「たまひよ」アプリユーザーから寄せられた子どもの肌の悩みについて、皮膚科医の日景聡子先生に家庭でできるケアをアドバイスいただきました。
みんなが気になる赤ちゃんの皮膚症状とは?
まず。ユーザーから寄せられた赤ちゃんの皮膚の悩みについて聞いてみました。
■よだれなどが原因の頬と首の肌荒れ
「よだれや吐き戻しで頬と首があれています。保湿したほうがいいとよく聞きますが首は保湿してしまうと湿りっぱなしになるし、どうしたらよいものやら…」(にゃんみ)
■常にほっぺが荒れています
「生後3ヶ月で乳児湿疹が落ち着いたと思ったら、よだれかぶれで常にほっぺが荒れています」(ももん)
■口の周りの赤み
「赤ちゃんの口周りが赤く、保湿を何回しても乾燥してしまう…」(こてつ)
■乾燥が気になる
「保湿クリームを塗っていますが、体がところどころカサカサしています」(むっ)
■左の頬の乾燥
「肌が比較的弱く、すぐ湿疹ができたり乾燥したりしています。左のほっぺばかり乾燥で赤くなっています」(A)
口周りのただれはしっかりケア!食物アレルギーの原因になることも
赤ちゃんに多い口の周りの赤みと、夏に多い感染症対策について日景聡子先生に教えていただきました。
「赤ちゃんや子どもの肌は、大人に比べ水分量を保つ機能や皮脂腺が発達していないので、1年中乾燥しがちです。特に赤ちゃんは、よだれや食べこぼしなど、口の周りなどを何度も拭くため、特に口の周りが乾燥した状態になっていて、皮膚炎にかかりやすくなっています。
ママの体験談にあるように赤ちゃんの口周りの赤みや乾燥、皮膚のただれは、こじらせないうちに治した方がいいですね。心配な時は、皮膚科の受診をオススメします。
というのは、口の周りの皮膚炎(ただれ)を放置していると、食物アレルギーの原因になることがあるからです。以前は、食物アレルギーは、『食べて発症する』と言われていましたが、実際には皮膚からの接触を通して、アレルギー体質を獲得することが分かってきています。
つまり、口周りの皮膚炎(ただれ)のところに離乳食がつくことで、皮膚の免疫細胞からスイッチが入り、食物アレルギーになってしまうということです。
これは、大人の手荒れも同じです。皮膚のバリアが乱れた状態で繰り返し食べ物に触れると、そこから食物アレルギーになってしまう可能性があります。
子どもは上手に食べられるまでに時間がかかります。3歳くらいまで食べこぼしなどで、口周りの赤みや乾燥、皮膚炎を繰り返しやすいので、きちんとケアしてあげることが大切です。
口の周りが乾燥している時や、よだれや食べこぼしを拭いた後は、刺激の少ないワセリンを塗って肌を乾燥から保護しましょう。
そのほか、子どもの皮膚炎で気をつけたいのが、とびひや水いぼなどの感染症です。夏は、日焼けや汗をかく機会が多いので肌が乾燥して皮膚のバリアが低下している状態ですから、とびひや水いぼなど感染症などにかかりやすくなっています。
細菌がついた手や爪でかいてしまうと、とびひになり、ひどくなるとさらに拡がることがあります。また、鼻をほじった手も要注意。その手で肌をかいてしまっても、とびひなどの原因になるので、鼻を触ったら手指をよく拭きましょう。
水いぼは、プールで感染することが多いですが、水を介してではなく、とびひと同様、タオルやスポンジ、浮き輪などの遊具によって感染することがあります。
夏はとびひや水いぼなどの感染が家族間で拡がらないように、ケアすることが大切です」(日景聡子さん)
夏の皮膚炎や感染症予防のポイント
ポイント【1】
食べこぼしやよだれなどで頬や口の周りが赤くなったり、乾燥したりしている時は、ワセリンを。ワセリンは、刺激の少ない天然成分で作られた保護剤で、肌の水分の蒸発を防ぐ蓋の役割をしてくれます。敏感肌、アトピー性皮膚炎、赤ちゃんは黄色ワセリンよりも、純度の高い白色ワセリンを使用するのが安心です。
ポイント【2】
とびひや水いぼになっている時は、入浴時の体を洗うスポンジや体をふくタオルなど、きょうだいや親子間での使い回しはNG。スポンジやタオルなどを介して感染するので気をつけましょう。
ポイント【3】
夏は日焼けや、冷房などの影響で肌が乾燥しているので、保湿が大事です。傷や肌荒れがなければ、保湿ローションなどでスキンケアを。また、細菌がついた爪や手で肌をかいてしまうのを予防するために、こまめな手洗いと爪を切るようにしましょう。
大人も子どもも保湿を心がけることが大事ですね。
(取材・文/メディア・ビュー 酒井範子)
日景聡子さん
PROFILE)
札幌医科大学医学部卒業。大学病院や総合病院勤務後、円山公園皮膚科形成外科院長を経て、2022年7月にさとこ皮膚科・美容クリニックを開院(北海道・札幌市)。2児の母。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、美容皮膚科・レーザー指導専門医。患者の悩みに寄り添ったクリニックのサイト内のコラムはわかりやすいと好評。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2023年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。