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鼓膜からも皮膚がはがれる、30万人に1人の皮膚の難病の息子。新たな挑戦は、幼稚園入園【体験談・医師監修】

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幼稚園では、体温の変化や皮膚の状態に気をつけながら、お友だちと外遊びも楽しみました。

30万人に1人といわれる皮膚の難病「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」の濱口賀久くん(6歳)。感染症のおそれがあるため、3歳まで家族以外の人と接したことはありませんでした。母親の結衣さん(36歳)は、「もっとお友だちと接する機会をもたせたい」と考えて、幼稚園に入園する道を模索します。賀久くんが3歳のとき、周囲の協力も得て、初めての集団生活を送ることになりました。全4回のインタビューの3回目です。

少しずつ身体が強くなってきたため、みんなで楽しく遊んでほしいと幼稚園入園を決意

同年代のお友だちと屋内の遊び場に行くこともあります。

生まれつき皮膚の難病・道化師様魚鱗癬を抱えている濱口賀久くん。皮膚のバリア機能が低いため、ちょっとした風邪でも悪化して入院治療が必要となることも。0歳から1歳になるまでは月に1度は入院をしていました。

「それでも成長するにつれ、少しずつ体力もついてきたため、幼稚園への入園を考えるようになりました。もともと遊んだり、歌ったり踊ったりが大好きな子なので、園生活で大好きな先生やお友だちといろいろなことを一緒に楽しめたらいいなと思ったんです。

とはいえ、人と接する機会が増えることで体調をくずす場合も多くなるだろうとも予想していました。だから登園できるのは月に数回程度ではないか、体調のいいときに行けたらいいと考えていました」(結衣さん)

幼稚園は、できるだけ人数の少ない小規模園であること、家から近いことを条件に探しました。

「いくつかの園へ相談をしましたが、一つの公立幼稚園に入園を決めました。

そのときの園長先生が、私の友だちの小学校時代の担任の先生だったんです。非常に協力的で、賀久の病気についても理解を示してくれました。
友だちは『同じクラスの友だちだけではなく、ほかのクラスの子たちもみんなその先生が大好きだったよ。今でもすごく尊敬しているよ』と話してくれました。そういうふうに話す人が、ほかにも何人もいて『あの先生だったら大丈夫』と言ってくれました。みんなから慕われている園長先生だというのが伝わったので、その幼稚園に決めました」(結衣さん)

幼稚園の園長は今後のことも見すえ、賀久くんが入園する少し前に、関係者を呼んで説明会を開きました。

「園長先生が開いてくれた説明会には、幼稚園の全職員はもちろん、今後通う予定の小学校の教員、市の保健師なども集まってくれていました。
私は賀久の病気のこと、ケアの方法、薬の塗り方など、一つ一つ説明をしました。おかげで、入園するときは幼稚園のすべての先生が賀久のことを知ってくれていて、しかも、賀久が通う予定の小学校も『数年後には、難病を抱えた子が入学するんだ』と理解してくれました。

園長先生の先の先まで見すえた気配りが本当にありがたかったです。先生方も、賀久のことを見守ってくれました。
幼稚園では1人の先生が加配という形でついてくれたのですが、優しくて面白いうえに、しかるべきときは厳しくしかるという、けじめのある先生で、この先生に出会えたことも、私にとっても賀久にとってもとてもよかったです。しかられても、愛も優しさもあるのが伝わってくるので、賀久も先生が大好きでした。年長になるときに担当が別の先生に変わりましたが、引き継ぎをしっかりしてくれて、安心できました」(結衣さん)

入園した年はちょうどコロナ禍で、休園期間が続いていました。その後、幼稚園が再開してもしばらくは結衣さん側が自粛して幼稚園を休ませていました。登園を始めてからは心配していた感染症を起こすことなく、1度も入院せずに元気に通園し、お友だちと一緒にたくさん遊ぶことができたそうです。

生活するなかで気をつけていたこと。食事や入浴などで、症状は変わってきた

大好きな幼稚園で楽しい時間を過ごせました。

少しずつ丈夫になったとはいえ、普段の生活のなかでは赤ちゃんのころと変わらず気をつけていることはたくさんありました。

「賀久は皮膚にたくさんエネルギーをとられるので、皮膚に多く含まれるたんぱく質を多くとるような献立を考えています。
また、皮膚に合わないものを食べると、後からかゆくなってしまうので、できるだけかゆみにつながらないものを食べてほしいとは思っています。

でも、賀久は脂っぽい肉や小麦、生クリーム、甘いものが大好きで、それらはどれも皮膚にはあまりよくないんです。食べると、皮膚の調子が悪くなりかゆみが出てしまいます。成長したおかげで、最近は本人も『これを食べたらかゆくなる』とわかってきているようです。それでも食べたいというので『じゃあ、あとでかゆいの頑張ろうね』と言って食べさせることもあります。
食べたいものをがまんさせて、それがストレスになってもかゆみにつながってしまうので、食べ物に関しては、そこまで大きく制限させていません」(結衣さん)

賀久くんは血液検査の結果、アレルギーもあることがわかりました。小麦、ハウスダスト、ほこり、花粉などさまざまなものに反応があります。とはいえ、アナフィラキーショックを起こすわけではなく、全部かゆみとして出ている状態です。

「主治医によると、賀久の場合は検査で出た数値がすべてではないとのことでした。本当にアレルギーなのか、難病からくるものなのかがはっきりしないので、食べたあとの様子を見て判断してほしいと言われています。
見ていると、とくに生クリームを食べたあとはかなりかゆくなるようで、血が出るまでかいています。本人はあっけらかんとして『さっきケーキ食べたからこんなにかゆいんだ』と言っています」(結衣さん)

3歳のときに受けた発達検査は約1年の遅れがあると診断。6歳では約半年の遅れに

賀久くんは、かたい皮膚のせいでうまく立てない、指先が器用でないなどの影響があり、運動面での発達の遅れが見られました。

「3歳のときに受けた発達検査では約1歳の遅れがあると診断され、6歳では約半年の遅れと言われています。難病からくる身体的な部分も含めた総合的な検査結果ですが、発達の遅れは少しずつ狭まっています。

考える力をみる知的な検査では、独特なところがあるな~、と感じています。たとえば、検査の項目で『家に帰ったら火事になっていました。あなたはどうしますか?』と質問がありました。普通だったら、『消防車を呼びます、消防車は119番です』という回答になると思うのですが、賀久は『そんなことはあり得ません』と言いきっていました。
あとは、丸、三角、四角の穴が空いているところに、同じ形の積み木をはめるという項目があるのですが、賀久の場合は、先に丸、三角、四角の積み木を置いてその上から枠をはめようとしていたんです」(結衣さん)

鼓膜からも皮膚が出てくるため、病院での耳掃除は必須

賀久くんは月に1度、三重中央医療センターに通院しています。

「通院は肌の状態を診ることが主ですが、耳掃除も欠かせません。鼓膜(こまく)からも耳の壁からも皮膚がどんどんつくられてくるので、耳のなかが古い皮膚でいっぱいの状態になっています。もちろんうちでも耳掃除はするのですが、奥のほうまで取りきれないので、病院で取ってもらうとやっぱり聞こえがよくなるようです。病院での耳掃除のあとは『かあか、もっと小さい声で話して』と言っています」(結衣さん)

小学校に入学。また新しい世界が開ける

毎日元気に小学校に通っています。

2023年4月、賀久くんは小学校に入学しました。皮膚の状態を考え、毎日支援学級へ通っています。

「授業は45分間ですが、その時間内でかならずかゆみがひどくなるタイミングが出てきます。かゆくなると血が出るほどかいてしまうので、それが原因で感染症にかかるおそれもあります。

そのため、少しでも人数が少ない支援学級への入学を決めました。

支援学級では先生がつねに見てくれているのも安心できました。また、汗がかけないため、熱が上がったときは、別の教室に移動し、クールダウンしたり薬を塗ってもらったりするようにしています。調子のいいときは普通級に行き、そちらのお友だちと一緒に授業を受けることもあります」(結衣さん)

普通学級にするか、支援学級にするかを選択する際には、小学校の先生が幼稚園で過ごす賀久くんの様子を見に来る機会も何度かありました。

「周囲の人たちが賀久の病気を受け入れてくれているのが本当にありがたいです。普通学級、支援学級、それぞれにいい部分があると思います。私たちは、賀久が少しでも学校生活を過ごしやすくなることを考え、支援学級を選びました。賀久は『みんなが笑っているのを見るのが好きなんだ』と言って、いつもおどけては笑わそうとします。ときどきおふざけが過ぎることもありますが、無邪気に子どもらしく育っています。

小学校に上がって、これまで以上にいろいろな人と接する機会が増えて、楽しい毎日を送っていると思います」(結衣さん)

【小川先生より】お友だちや周囲の大人との関係がいい経験に

幼稚園の先生やお友だちとの出会いが賀久くんの成長にとって貴重な経験になったと思います。家族の栄養管理のおかげで賀久くんの身体発育はとても良好で、入園後は感染症のため入院することもありませんでした。すばらしいのひと言です。

お話・写真提供/濱口結衣さん 監修/小川昌宏先生 取材・文/齋田多恵、たまひよONLINE編集部

濱口さん夫婦は、つねに賀久くんの生活のしやすさを考えています。そのひたむきな思いが、周囲を動かしているのでしょう。小学校生活も明るい性格の賀久くんらしく、のびのびと過ごしてほしいです。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

「ピエロの母オフィシャルブログ」

小川昌宏先生(おがわまさひろ)

PROFILE
小児科医。国立病院機構三重中央医療センター臨床研究部長。日本小児科学会専門医。滋賀県出身。三重大学医学部卒業、旧国立津病院の研修医を経て、三重県内の小児科で活躍。現在は国立病院機構三重中央医療センターで小児病棟とフォローアップ外来を担当。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年8月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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