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制度が整っていても働きにくいと感じるのはなぜ?【育休世代】3つのジレンマ

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女性の社会進出が進み、共働きが増えた現代。赤ちゃんを育てながら仕事をする女性は珍しくありません。2000年代には男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などの改正が出そろい、実質的に子育てをしながら働き続けるための環境が整いました。
今、赤ちゃんを育てながら働くママの多くは、この制度が整ってから就職した"育休世代"。それなのに、妊娠・出産を機に退職するママや、復帰後に思ったようにキャリアを積めなくて悩むママが少なくないのはなぜ? 
2014年に『「育休世代」のジレンマ』を出版した"女性活用ジャーナリスト"中野円佳さんにインタビューをしながら、制度が整ってきたにもかかわらず、「働きにくい」と感じるママたちの現状に迫ります。

「育休は女性が取るべき?」制度は男女平等のはずなのに…



1991年に制定された「育児・介護休業法」に基づき、子どもを養育する労働者が取得できるようになった育児休業制度は、一定の条件はありますが、男女関係なく取得できます。とはいえ、女性の育休取得率81.0%に対し、男性の取得率はわずか2.65%(2015年度の厚生労働省のデータ)。

「子どもが生まれるまでは男性と同じように働いてきても、妊娠・出産・育児がやはり女性にとって壁になりがちです。
確かに妊娠して産休を取るのは女性で、これはどうしてもパートナーの男性には変わってもらえないのですが、その後の育児を担うのは、どちらでもいいはず。
それでも実際の育休や時短勤務の取得状況には男女差が大きく、女性と男性には役割分担があるという社会の規範が、ママにキャリアの中断を促してしまう面があると思います」と中野さん。

「男性社員が育児のために早退するのはNG?」パタハラ問題も



マタハラは女性が、パタハラは男性が、本人またはパートナーの妊娠・出産・育児を理由に、職場で不当な扱いを受けること。

「『「育休世代」のジレンマ』は2012年に調査した論文がもとになっているので、今は職場の環境が少しよくなっていると思います。当時は妊娠・出産をきっかけに退職する女性も多く、育休を取って仕事を続けようとした女性は、いわばその職場においてはパイオニア的存在でした。でも、そんな女性にどう対応していいかわからない上司が心ない対応をしてしまい、働きにくくなってしまうケースも多くあったんです」

育休を取る女性が増え、マタハラという言葉の認知度も上がり、女性が不当な扱いを受けることは大きな問題として取り上げられるようになりました。対して、パタハラに対する認知や理解はあまり進んでいません。

「実際には、パタハラは多いと思います。やはりパパが育休を取ることに対しての、職場の目は厳しいものがあります。『仕事に対するやる気や向上心がない』と思われてしまうことも。
パパもそこを振りきって、約2~3%に入る勇気がなかなか持てない。パパが、働きながら育児を積極的にしようと思っても、やはり職場の目が厳しく『子どもが熱を出した』という理由で早退できないなどの現状があります。」

パパ自身に積極的に育児をする気があっても、職場の目が厳しいために時間を作れず、ママだけの負担が大きくなってしまうことが少なくないようです。

「赤ちゃんを預けるなんて…」ママを追い詰める世間の目



二児のママでもある中野さん。「ママになってみて、こんなにも世間からのプレッシャーがあるのか、と思いました。
母乳で育てるべし。離乳食は手作りで。保育園に預けるなんてかわいそう…。そんな世間からのプレッシャーをママが一手に引き受けているんですよね」と語ります。
そして、ママたちの世間からのプレッシャーはこれだけではありません。制度が男女平等になった現在では、「育児中の女性であっても、職場復帰後は管理職候補として上をめざすべき」など、職場からの期待という“仕事プレッシャー”が増え、育児と仕事の両立が苦しくなってしまうこともあるようです。
また、専業主婦のママが働きたいと言ったときや、育休を取っていたママが職場復帰をするときに、「でも、家のことは今まで通りにやってよね」というパパも。
専業主婦とサラリーマン家庭が一般的だったころに、子ども時代を過ごしたパパ。ママに自分の母親の姿を重ね、「家のことや子どものことは女性がするべき」と思いがち。そんなパパからの“家事プレッシャー”も根強いものがあります。

「働きにくい」と感じるママの現状を少しでも改善するために必要なことは…

1つは、職場とのコミュニケーション。女性が妊娠・出産・育児と両立しながら働き続けることのできる制度が整ってきたとはいえ、実態は男女不平等な点も多く、“まだまだこれから”の印象。今後、より働きやすい社会を作るために、ママもパパも「育休の制度があるんだから、取得して当然でしょ」という態度ではなく、職場といい関係を続けるためのコミュニケーションが重要です。

2つ目は、パパとの分担。これからは、ママがパパや周囲の人と上手に育児や家事を分担する時代。「パパに1から説明するのが面倒。自分でやったほうが早い」と思ってしまうと、いつまでたっても分担できません。パパがわかりやすいように可視化する、一度はていねいに説明するなど、パパがやりやすい方法を考えてあげて。また、家事代行サービスを活用するなど、パパ以外の周囲の人の手を借りても。

3つ目は、ママ自身の考え方改革。「育児も家事も仕事も完璧にこなすいい母親になりたい」と高すぎる理想をかかげてしまうと、忙しくて笑顔でいられなくなってしまいます。今のママたちの姿が、これからママになる世代のモデルになります。あとに続く世代のためにも、ママたちが働きやすいと思える社会に近づけていきたいですね。

制度が整ってきたとはいえ、社会の風潮は「男女平等」には追いついていないことが、女性が働きにくくなってしまう大きな要因なのですね。社会の目だけでなく、ママ自身にも「子育ては母親の役目」という意識が根強いのかも。
女性の社会進出は、今後ますます進むことが予想されます。働くママにだけ負担が大きくなっていくのではなく、働くママが増えたからこそ、社会の風潮が変わって男性が育児する時間を作りやすくなったり、便利なサービスが拡大するなど、ママの負担が減っていく世の中になっていくといいですね。
(撮影/矢作常明 取材・文/ひよこクラブ編集部)

Profile●中野円佳さん(女性活用ジャーナリスト)
1984年東京都生まれ。東京大学卒業後、日本経済新聞社勤務を経て、企業変革を手がける株式会社チェンジウェーブに参画。2014年に『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)を出版。東京大学教育学研究科博士課程。2人のお子さんのママ。

※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。

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