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「もっと不良なママでいてほしかった」長女の言葉が、離婚後の人生を変えた【12人産んだ助産師HISAKOインタビュー】

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12人の出産経験がある、助産師のHISAKOさん。大阪で助産院を開設し、助産師として子育て支援を続けながらプライベートでは離婚、再婚を経験。20年近くかけてたどりついた“頑張りすぎない育児”というモットーが注目を集め、YouTube『【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル』は、登録者数約53万人と大人気。2020年から沖縄県で子育てしているHISAKOさんに自身の出産、育児について聞きました。

自分に厳しい“完璧なママ”から、離婚でどん底を味わい、気持ちに変化が

「世界一尊くて、世界一大変な偉業、それが子育て」と話すHISAKOさんも、現在進行形で子育て中!

――HISAKOさんの育児モットー「頑張らんでええ、テキトーでええ」が多くのママ・パパの反響を呼んでいます。

HISAKOさん(以下敬称略) 今でこそ肩の力を抜いた育児を提案している私ですけど、実は以前は頑張りすぎるママでした・・・。20代半ばから妊娠・出産を繰り返してたくさんの子どもたちに囲まれ、助産師の仕事を続けながら15年間くらいずっと“完璧なママ”でいようと頑張っていたんです。

もともと好きなこととか興味があることでできそうって思うものについては、ものすごくストイックになる性格。学生時代に陸上をゴリゴリやってたんで、自分に負けたくないっていう気持ちが人一倍強い。「いちばんの敵は自分で、あきらめたら負け」みたいな(笑)。だから「自分がやるって決めたことは完璧にやらないと絶対に嫌だ」「助産師でもある自分はだれにも負けないくらい子育てを頑張らなきゃいけない」って思いこんでいたんですね。

そんな生き方のターニングポイントになったのが、40歳のときに経験した離婚です。仕事中も上の空で「HISAKOさん大丈夫?お~い!」と目の前で手を振って呼びかけられるくらいにボロボロになって。まさにどん底を味わいましたね。そこから、家族や助産院に訪れるママたちに支えられて、立ち直り、同時に子育てに対する考え方も変わってきました。

思春期の長女の言葉をきっかけに、もっと肩の力を抜けばええって思えるように

離婚し、再婚を経験したHISAKOさん。再婚相手のMARKさんも、HISAKOさんとともに、講演活動を行うなど多方面で活躍中です。

――離婚をきっかけに、どのように考え方が変わっていったのでしょうか?

HISAKO 離婚したころは長女がちょうど思春期で、子どもたちも分断されて、もう気持ちがぐちゃぐちゃになってしまって。そんなとき言われたのが「もっと不良なママでいてほしかった」っていう言葉。私は私でいろいろ悩みを抱えつつ、子どもの前ではいつも笑顔で平和なわが家を演じていたわけですけど、子どもってものすごく敏感で「うそやなぁ、作ってるママ」「笑顔でいるけど、どうせ一人になったら泣くんやろ」って全部見すかされていて。「ママが悲しい思いをしているのは私たちのせいや、自分たちが生まれてきたやからと思うようになった」と言われたときは本当にショックでした。

確かに以前の私は毎晩の食事はきっちり何品も手作りしてたし、子どもがいるのに夜出かけるなんてとんでもないって思っているママやったんです。でも、そのどこかに息苦しさも感じていた。「ママは自分の人生をもっとやりたいようにしたらいいやん。できないものはできへんって言えばいいし、もっと人間くさくてええ」って長女に言われて。それでずっと正しいと信じていた子育てのやり方や価値観、人生観なんかが「あれ? 私、間違ってた?」って初めて気づいたんです。

助産院に訪れるママたちから「HISAKOさん、自分の経験をたくさん語ったらいいよ」と言われたのも大きかったですね。「前のHISAKOさんは完璧に思えて、正直に言うと私の悩みを相談してもわかるの?って思ってたけど、今なら相談できる」って言ってくれた人もいて。どん底を経験した私だからこそ、できることもあるのかなって。「みんなも私も同じで、いろいろなことがある。人間なんやから失敗もするし、そりゃわからんこともいっぱいあるし、あなたができても私にできないことだってあるわけでね・・・」と完璧主義を改めるようになって、ママたちに心から寄り添って話せるようになったんです。もちろん、以前から助産師としてみんなに寄り添ってたんですよ。でも、今振り返ると離婚前は、寄り添っている“つもり”だったように思います。

――長年染みついた“肩の力が入りすぎた自分”を変えるのは大変だったのではないでしょうか。

HISAKO そのとおりです。もともと真面目なタイプやから、意識的にやらないと手を抜けないんですよ。よし、今日は総菜にしようと決めて買ってきたり、強制的にカップラーメンの日を週1回で作ったり、頑張りすぎない努力をして少しずつ変えていった感じです。

そのあと、再婚もしましたが“意識的に手を抜く”ことは今も続けています。長女は近くに暮らしているんですけど、私が仕事で家にいないとき、下は2歳の子どもがいる“大家族のお母さん”を私の代わりにやってくれていて。めちゃ大変なんですよ、弁当作りから学校や習い事への送迎、晩ごはん作り、お世話まであって。でも「ママのやりたい仕事だからいいよ。私に任せて仕事に行って来て」と応援してくれます。

長女には離婚のことで苦労かけたし、任せてごめんねって気持ちもあって、つい食事を抜いてでも無理してでも帰宅を急ごうってなるんですけど、「食事ぐらいゆっくり食べてきて」という長女の言葉に、あぁ頑張りすぎたらあかんやんか!とハッとするという・・・。

人生で思いどおりにならない最たるものが出産、育児

「沖縄の大自然で、子どもの生きる力をはぐくんでいます」とHISAKOさん。

――これまでの自身の出産、育児の経験を通して学んだのはどんなことですか?

HISAKO 陸上にしろ助産師の仕事にしろ、それらは自分が頑張ればある程度評価を得られてたんですけど、「自分の思いどおりにならないのが出産、育児なんや」ってことです。ずっと専門的に勉強してきて、教科書に書いてあることも知っていても現実はいろいろで、お手本どおりには行かないんやって。

初産のときも知識だけはバリバリあったんですよ。「あぁ、このいきみたい感じはたぶん子宮口8cmくらい開いたやろう。教科書で読んだわ」って自信満々で診てもらったらまだ3cmでもうパニック(笑)。担当してくれた助産師さんに「ひーふーひーふー」と呼吸を指導されても痛くてそれどころじゃなかったし。結局58時間もかかることになって、思ってたのとは全然違いました。今まで12人産んでますけど、そのどれも同じものはないです。

育児もそう。教科書上のことと、現実に起こることは必ずしも一緒じゃなくて。子どもが自分の思いどおりにならないってわかっていないと絶えず自分の考えを子どもに押しつけて、ずっとイライラがおさまらないことになってしまう。

たとえば、テスト前に子どもが動画ばかり見て勉強しないとつい「勉強せえ!」って口を出したくなりますよね。でも、「勉強せんでええの?」って聞いたときに、子どもが「早起きしてやるから」と言ったら「あ、そう」とほうっておく。そうすると案の定寝坊して、赤点取りがちやけど、それは自己責任。そういう失敗から子どもも学んでいく。もちろん、早起きして勉強できたら、それはそれでいい。それをずっと「そんなん見てないで勉強しなさい。早起きなんてできっこないから今しなさい」って無理にやらせてたらママのイライラはこの先も続くし、子どもも息苦しいわけで。

思うのは、ママ・パパは出産、育児を通して人生のスキルを上げてるんじゃないかってことです。子育てって思いどおりにいかないことにどう対応していくか、そのスキルを学ぶ機会なんやって。イヤイヤ期や思春期はやっぱりしんどいですよ。そうやけど、乗り越えた先には他人をちゃんと尊重できる人になれて、多様性にも寛容な人になれる。そう思うとありがとうしか残らないと思うんです。

子どもたちには生きる力をつけてほしいって思ってます。何もないところから自分で何かを編み出していけるような。なので、私は休みの日は大自然に遊びに連れて行くことを徹底してます。川とか草原、山なんかで葉っぱ1枚、石ころ1個でさぁ何時間遊べるかな?って声かけて(笑)。そうすると、案外子どもたちはあれこれ工夫して遊びを作って楽しめるんです。そんなことが生きる力につながると思ってます。

お話・監修/HISAKOさん 取材協力/サンクチュアリ出版 取材・文/永井篤美、たまひよONLINE編集部

「真面目な人ほど、常に肩の力を抜く努力が必要」という言葉が印象的でした。頑張り屋で普段なかなか手を抜けないママ・パパは、一度立ち止まって深呼吸し、HISAKOさんの育児モットーを取り入れて肩の力を抜いてみてはいかがでしょうか。

HISAKOさん

PROFILE
助産師・看護師。総合病院、産婦人科クリニックを経て2006年大阪市に「助産院ばぶばぶ」を開設。母乳育児の支援、育児相談をメインに大阪市の育児支援訪問、妊婦教室も約15年担当。2020年沖縄県へ移住し、助産院も移転。YouTube「【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル」のほかブログや講演、性教育の出張授業「いのちの授業」も行う。著作は「5万組を子育て支援して見つけた しない育児」(サンクチュアリ出版)。

【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル

5万組を子育て支援して見つけた しない育児

HISAKO流子育てアドバイスが満載!「してあげなきゃ」と思いがちな育児の中で「実はしなくていいこと」「するならこっちがおすすめ」を集めた一冊。HISAKO著/1430円(税込み)

●記事の内容は2023年11月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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