量り売りせっけんを60個買うとこうなる【御手洗直子のコマダム日記 #184】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#184
今回は量り売りのせっけんにまつわるお話です。
ガチ量り売りのお店に切ってある在庫は存在しない
以前お世話になった方々への贈答用として某せっけん量り売り店のせっけんを60個用意したことがある。30人分×2個ずつで60個だ。選んだ理由は私がその少し前に贈答としていただいて『気の利く人がくれる物は実用的でオシャレですごいなあ』と思いそのまま丸パクリしたからだ。ありがとうオシャレな人…ありがとうオシャレなお店…。
というわけでそれらを渡す当日、ヘッヘーイと車をとばしてお店に買いに行った。店員さんに、アレコレこうで、こんな感じで60個お願いできるでしょうか?と相談した瞬間店員さんが『ウッ!』となった。いや実際『ウッ!』と声を出していたわけではないのだが、『ウッ!』となっていた。『アッ…無理ですかね…』と引き下がろうかと思ったところ、『いいえ、大丈夫です。少々お時間いただきますがよろしいでしょうか?』と言っていただけたのでそれではお願いします…とお願いしたのであった。
店員さんが二人だったので一人が他の方の接客をし、もう一人の方がせっけんを切ってくれていたのだがやばい。切って、量って、包んで、値付けである。切るって言ってもグッ…グヌヌ…ギュッ…ガタン。でやっと1個切れる。みたいな固さである。それを60個である。この時点でこれは…大丈夫って言ってくれたけど大丈夫なのだろうか…断ったほうがいいのであろうか…でも途中で断ったほうが迷惑だろうか…とキトキトなのである。そして目の前で依頼者がじっと見ているのも店内をウロついているのも迷惑だろうか…と思い『切り終わるまで外へ出ていても良いでしょうか?』と聞いてみたのだが、切り終わって会計が終わるまで待機していなければいけないらしい。だよね…逃げられたら困るもんね…。
ならば先払いはできますか?と聞いてみたのだが、それも切って量って値付けをしないと清算できないので不可なのである。マジか…。そんなにっちもさっちもならない状態に陥るとは思わなかった…。ということは私も店内に留まり他のお客さんを避けつつ店員さんに圧をかけながらおそらく数時間かかる作業を見守らなければならないのだ…。マジで…?あまりお店が広くないのでマジで邪魔な存在である。せめて店の外に出たい…。
なんとなく数十個くらいはあらかじめ切ってある在庫があって足りなかったら切ってもらえるのかな?くらいに思っていたのだがそんなことは無く100%まじりっけ無しの量り売りなのであった。これから続く数時間の戦いの幕開けであった。アワワ~。(せっけんにかけてる)つづく。
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子X(旧twitter):@mitarainaoko