2024年春、乳幼児の予防接種に変化が…!新しいワクチンが登場し、赤ちゃんの負担減にも【小児科医】
2024年春、乳幼児の予防接種のワクチンに変化があります。また、2024年6月には妊婦用のRSウイルスワクチンが発売されます。ワクチンで防げる感染症から子どもを守るための活動と情報発信を続けている小児科医の太田文夫先生。「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#41は、4月以降の3つのワクチンついての情報です。
新ワクチン登場、乳幼児の予防接種の接種のスケジュールも変更に
予防接種は赤ちゃんやママ・パパ、周囲の人たちを病気から守るためのものです。
2024年4月1日から、五種混合ワクチンと、肺炎球菌15価のワクチンが定期接種として接種が開始されます。
四種混合ワクチンから五種混合ワクチンに変わることで、同時接種時の接種本数が1本減ることになります。
たとえば生後2カ月のワクチンデビューのときに、3月までは(1)小児用肺炎球菌(2)B型肝炎(3)ヒブ(4)四種混合(5)ロタウイルスの5つの接種となっていますが、ヒブが含まれた五種混合ワクチンになることで(1)小児用肺炎球菌(2)B型肝炎(3)五種混合(4)ロタウイルスの4つの接種になります。
そして、1歳でのスケジュールも少し変更になります。
新しく接種できることになった五種混合ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン15価、そして、妊婦用RSウイルスワクチンについてどのようなワクチンであるかを紹介します。
「五種混合ワクチン」とは?
従来の四種混合(ジフテリア、百日せき、破傷風、不活化ポリオ)にヒブの成分を加えて五種混合として作られました。2024年4月から、四種混合とヒブのかわりに五種混合が使用されます。Ⅰ期の接種回数は4回です。
生後2カ月のワクチンデビュー時から接種を開始し、4週間隔で、生後3カ月で2回目、生後4カ月で3回目、そして1歳で4回目を接種するというのが基本スケジュールです。
接種後の発熱頻度は今までの四種混合+ヒブより高めだとされています。
接種方法は、大腿部外側の筋肉内注射とと皮下注射とのどちらか。筋肉内注射の接種部位は大腿部外側になります。
1歳での追加接種(4回目)は、ヒブの効果を維持するために、従来の四種混合の接種時期よりも早めの接種がおすすめです。
「小児用肺炎球菌15価ワクチン」とは?
小児用肺炎球菌ワクチンは、小児の肺炎球菌感染症(細菌性髄膜炎や肺炎など)を予防するワクチンです。2011年から公費助成での接種が始まり、2013年に定期接種になりました。
2011年の公費助成以降、肺炎球菌による細菌性髄膜炎は71%減少しています。
2011年には7価ワクチン(7種類の肺炎球菌に予防効果があるワクチン)でしたが、2013年の11月に13価ワクチン(13種類の肺炎球菌に予防効果があるワクチン)に切り替えられ、この4月に今度は15価ワクチンがスタートするということです。
今度の15価への変更で、さらに二種の血清型(22Fと33F)もカバー可能になりました。
接種時期は従来型と同じで、生後2カ月のワクチンデビューからの同時接種がおすすめ。初回の接種月齢によって接種間隔や回数が異なります。生後2カ月に1回目を受けた場合、4週間隔で、生後3カ月で2回目、生後4カ月で3回目、そして1歳で4回目を接種するというのが基本スケジュールです。
接種方法は五種混合ワクチンと同じで筋肉内注射も可能になりました。
「妊婦用の組み換えRSウイルスワクチン」とは?
いままでになかったタイプのワクチンです。
RSウイルス感染症とは、RSウイルスに感染することで起こる呼吸器の病気で、2歳までにほとんどの子どもが一度はかかるといわれています。特効薬はなく、症状をやわらげる対症療法が基本です。とくに生後6カ月未満でかかると重症化することがあり、気管支炎や肺炎になったり、呼吸困難を起こして入院が必要になることもあります。
そのRSウイルス感染症を予防するために妊婦にワクチンを接種することで、胎児に抗体を届け、出生時からRSウイルス感染の予防や重症化から守ることが期待されるという、まったく新しいタイプのワクチンです。
この接種方法のワクチンは、欧米では新生児の百日せき予防にすでに使われていますが、わが国では初めての認可になります。国内製造の承認が下りたのが2024年の1月のこと。報道がされたので、情報に触れた方も多いかもしれません。
発売は2024年6月とのことで、任意接種なので有料です。妊娠24週から36週までの妊婦が接種対象で、筋肉内注射となります。
接種するのは産婦人科になるのではないかと思います。
予防接種は、赤ちゃん・子ども、そして社会全体を守るものです。新しいワクチンが追加されることでVPD(ワクチンで防げる病気)が増えることになります。
構成/たまひよONLINE編集部
太田先生は「これからも感染症にかからないようにするためにも積極的なワクチン接種を検討しましょう」と話します。
●記事の内容は2024年3月2日の情報であり、現在と異なる場合があります。