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子どもの水の事故は、7歳・14歳の夏に多く発生。時間帯は14時が危ない!親のNG行動も危険をまねく【専門家】

更新

毎年、夏になると海、川での事故が起きます。2024年7月に入ってからも、横浜市で友だちと川遊びをしていて小学5年生の男の子がおぼれて亡くなる事故などが発生しています。
子どもと一緒に海、川で遊ぶ際の注意点について、公益財団法人日本ライフセービング協会 松本貴行副理事長に聞きました。

水難者数は年間約1600人にも! 海、川での遊びには注意

水難事故で亡くなったり、行方不明になる場所は、海と河川で80%以上を占めます。(警察庁「水難事故の死者・行方不明者の場所」より。グラフは日本ライフセービング協会作成)

2023年夏には、奄美大島の海で家族で遊んでいたところ、沖に流された4歳の子を助けようとしたパパが亡くなるという痛ましい事故もありました。

――水難事故は、川と海どちらのほうが多いのでしょうか。

松本副理事長(以下敬称略) 警察庁の発表では、水難者数は年間約1600人にのぼり、死者、行方不明者数は年間約800人です。水難事故の死者、行方不明の場所は海が51%(383人)と最も多く、次いで川が32%(236人)です。

子どもの溺水の年齢別発生状況

子どもの溺水事故は、幼児期からじょじょに増え7歳は、プールでの事故も多いことがわかります。(厚生労働省「子どもの溺水事故の発生状況」より。グラフは日本ライフセービング協会作成)

――子どもの溺水事故の傾向を教えてください。

松本 子どもの溺水事故は7歳、14歳の夏に多く発生することがわかっています。7歳といえば小学生になってママ・パパが目を離しやすい時期です。14歳は、中学生になって友だちと泳ぎに行ったりすることが多くなる時期です。

毎年、海や川での痛ましい事故が後を絶ちませんが、私は「海や川は怖いから」と言って子どもを遊ばせないのではなく、幼児期のころから家庭で安全に遊ぶにはどうしたらいいのかを教えてあげてほしいと思っています。
「海って広くて気持ちいいね!」
「海の水ってしょっぱいね」
「川の水は冷たいね」
といった大自然の中で五感を刺激する体験は、子どもには本当に必要なことだと思います。

海や川での飲酒は控えて。グループで遊ぶときのほうが危険度は増す

夏の海水浴場でライフセーバーに救助されるのは14時台が最多。午前と午後では救助件数に大きな差があることがわかります。(日本ライフセービング協会調べ)

ときには気のゆるみから事故が起きることも。飲酒をしたり、グループで遊ぶときはより注意が必要です。要救助者の数は、男性が女性よりも約1.7倍にもなります。水辺では飲酒の割合も女性に比べ、男性のほうが多い実態があります。男性のほうが、気が大きくなり、事故に遭いやすいということが言えます。

――子どもと一緒に海や川で遊ぶときの注意点を教えてください。

松本 日本ライフセービング協会の調べでは、水難事故の発生は14時台に突出して多いことがわかっています。5~9歳で救助された子も、14時台が多いです。
最初は、注意を払いながら子どもを遊ばせていても、昼食を食べて気がゆるんだりしてママ・パパが目を離しやすいのが14時ごろ(主に午後の時間帯)なのだと考えられます。
そのため海や川で遊ぶときは、ママかパパのどちらかが必ず子どものそばに付いていて、気をゆるめずに子どもを見守ることが大切です。

また屋外のレジャーだと、つい飲酒をしたくなる気持ちもわかりますが、飲酒をすると気がゆるみ、万一のとき、とっさに適切な判断ができなくなるので、飲酒は控えたほうがいいです。

――グループで海や川に行く場合は、どうでしょうか。

松本 グループで遊びに行くときは、より危険度が増します。よく数人のママ・パパが子どもを見ている間に、残りのママ・パパがテントを張ったり、昼食の準備をしたりするというようなことを目にしますが、グループで行動するときは、親がわが子を必ず見るというルールにしたほうがいいと思います。
わが子の行動は予測できても、ほかの子の行動は予測できないことがあります。1~2人のママ・パパが、海や川で複数の子どもを見守るのは難しいですし、危険なことだと思ってください。

海や川で遊ぶときはライフジャケットの着用を

海や川で安全に遊ぶには、ライフジャケットの着用が第1。プール用の浮具は、海や川遊びには不向きだと思ってください。

――海や川で遊ぶとき、浮具はどのようなものを選ぶといいでしょうか。

松本 安全なのはライフジャケットです。プールなどで使う浮き具は、海底や川の小石にこすれたりしているうちに小さい穴が開き、空気がもれる可能性があります。空気でふくらませる浮具は、夏以外は折りたたんでしまっている時間が長く、その折り目が経年劣化により、穴が開きやすくなっていると思ってください。またライフジャケットは股ベルトがついていて脱げないようになっています。股ベルトがないものは、波・川の流れや衝撃で脱げてしまうことも考えられます。また、サイズがフィットしていることが重要になります。

――ライフジャケットを着ていれば安全ということでしょうか。

松本 ライフジャケットを着ていても、水の中での身のこなしに慣れていないとりきんでおぼれることがあります。そのため海や川に入るときは、子どもの足がつく浅い場所で、まずはライフジャケットを着るとどのように体が浮くのか理解させ、ライフジャケットに慣れてから遊ぶようにしましょう。その際、ママ・パパはライフジャケットが体にジャストフィットしているか確認してください。大きすぎると、遊んでいる間に子どもの顔がライフジャケットに埋もれてしまうことがあります。

――ほかに海や川に入るときの注意点を教えてください。

松本 海も川も、子どもだけで入らせないことです。必ずママ・パパがそばに付いてください。
遊ぶ前に、ママ・パパは、子どもの身長を想定し、深さや流れをあらかじめ確認するようにしましょう。子どもが遊んでいるときの見守る際の立ち位置ですが、海では子どもより沖側に、川では子どもより下流側に立つようにしましょう。足の届かなくなる危険な場所へ行くことや、流されたりしないようにするための“ママ・パパポジション”をとることが重要です。そして、水から出るときは、ママ・パパは子どもと一緒に手をつなぎながら出るか、子どもが先に上がって行くことを見守りながら、後から上がるようにしましょう。このルールを守るだけで、格段に安全が高まります。ぜひ実践してみてください。

ライフセーバーがいる海水浴場を選び、風の向きにも気を配って

海で安全に遊ぶには、ライフセーバーがいる海水浴場に行くことが第一です。

――海で安全に遊ぶポイントを教えてください。

松本 まずはライフセーバーがいる海水浴場を選ぶことです。ライフセーバーがいる海水浴場は、旗の色で海の安全を知らせます。青旗=遊泳可能、黄旗=遊泳注意、赤旗=遊泳禁止です。

また旗を見て、風の向き・強さを確認してください。旗が沖に向かって強くなびいているときは、陸からの風が強いために海に入ると沖に流される危険性があります。
そうしたときに浮輪やボートなどに乗って海にいると、大きな浮具は風の抵抗を受けやすく、あっという間に沖に流されるので注意してください。

河口付近はとても危険。絶対に入らない、近づかない。離岸流はどこの海でも発生する可能性が

海は一見、穏やかに見えても危険な場所があります。子どもと海で遊ぶときは危険な場所には立ち入らないようにしましょう。

――海で子どもを遊ばせてはいけない場所を教えてください。

松本 河口付近で遊ばせるのは危険です。河口付近は、川の流れと海の流れが入り交じって流れが複雑で、潮の満ち引きによっても流れが大きく変わりやすい場所です。
また、海で遊ぶとき注意してほしいのは「離岸流」です。離岸流とは岸から沖へ向かって流れる早い海水の流れで、強い場合の流速は毎秒2メートルに達することもあります。どこの海でも発生する可能性があり、もし離岸流に流されたら、呼吸を確保できるあらゆる浮き方を実践し、落ち着きましょう。
離岸流の幅は10~30メートル程度なので、岸と平行に移動すれば離岸流から抜け出すことができます。なお、永遠に流されることもなく、数十メートル程度のため、流れが弱まってからの移動でも大丈夫です。浮具などを持っている場合、それを離さないようにして、片手を大きく振ってライフセーバーを呼んでください。すぐに来てくれます。

ビーチにいるときに離岸流がわかることもあります。
1.ほかは波があるのに、一定の場所だけ波がない。もしくは波が小さく、くずれにくい
2.ビーチの一部分にゴミが流れついて集まりやすい
3.海岸の砂浜がほかと比べてくぼんでいる

上記に1つでも該当する場合は、離岸流が発生している可能性があるので、その場所には入らないようにしましょう。ライフセーバーはその海岸を熟知しているので、遠慮なく聞いてください。

川で遊ぶときは、サンダルなど流されても追いかけない約束を

2023年7月、小学生の女の子3人が川で溺水して亡くなる、痛ましい事故が起きました。女の子たちは、浅い場所で遊んでいるうちに深みにはまって流されたということです。
こうした悲しい川の事故は、後を絶ちません。

――川で遊ぶとき、子どもにはどのようなことをあらかじめ教えておくといいでしょうか。

松本 サンダルやビーチボールなど流されたものは、絶対に追いかけないということをあらかじめ約束しておきましょう。手を伸ばせば取れると思って1歩踏み出しても取れずに、2歩、3歩と追いかけはじめ、子どもが深みにはまって流されてしまうことはよくあります。

またサンダルが流されないようにするには、かかとのついた脱げにくいサンダルをはかせることも大切です。ビーチサンダルは、川だとすぐに脱げて流されてしまいます。事故を未然に防ぐという観点からも、そうしたサンダルをそもそも履かせないことが肝心です。
万が一、サンダルなどが流されたら、ママ・パパがキャッチできるように、先ほどお伝えした“ママ・パパポジション”が重要なのです。

――危険な川を見極めるポイントを教えてください。

松本 前提として、どの川も危険であることを忘れないでください。
まず、川の石は滑りやすいということと、川底の砂利などは崩れやすく、足元が安定しないので、すぐにバランスを崩しやすいです。川の手前側と奥側とでも流れの速さ、エネルギーは違います。手前のほうの川底ははっきり見えるけれど、少し川の真ん中に目を向けると川底の様子が見えないのは、深くなっていることを意味します。
また上流付近で大雨が降ると、一気に川の水が増すので、川で遊ぶときは上流の天気をこまめにチェックしましょう。山のほうに怪しい黒い雲があるのもサインの1つです。
大きな岩がある川は、過去に増水したことを意味しますので、水量が増し、流れが急激に速くなることが予想できます。川遊びをするときは、周辺の環境をよく観察してから遊ぶことが大切です。

――もし子どもが流されてしまった場合、どうしたらいいでしょうか。

松本 流された子どもを助けるために、川に飛び込んだママ・パパが溺水して亡くなってしまうという悲しい事故が過去には起きています。
大切なのは、川や海に入るときは親子でライフジャケットを着用して事故を防ぐことです。たとえば川で下流側に位置する「ママ・パパポジション」はそのためでもあるんです。流された子どもを追いかけるのではなく、受け止められる位置にいることが、万が一のときには安全に助ける行動につながります。

また海であれば、ライフセーバーがどこにいるかを把握しておいてください。緊急時の行動が早まります。自分が助けることを前提とするのではなく、ライフセーバーにいち早く助けてもらうこともシミュレーションしておくと、いざというときに安全に、そして迅速に動けると思います。

お話/公益財団法人日本ライフセービング協会 松本貴行副理事長 協力・写真・図版提供/公益財団法人日本ライフセービング協会 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

公益財団法人日本ライフセービング協会は、WEBサイト「守ろう!いのち 学び合おう!水辺の安全」で、子ども向けに川や海、プールでの注意点をイラストや動画、クイズなど紹介しています。わかりやすい内容なので、海や川に遊びに行く前に、親子で見てほしいと思います。

守ろう!いのち 学び合おう!水辺の安全

松本貴行先生(まつもとたかゆき)

PROFILE 
日本体育大学 体育学部健康学科卒。横浜国立大学大学院 教育学研究科修士課程 修了。成城学園中学校高等学校保健体育科教諭。内閣府消費者庁消費者安全調査委員会 専門委員。2019年より公益財団法人日本ライフセービング協会副理事長を務める。溺水事故はレスキュー(救助)よりも、「いかに事故を未然に防ぐか?(事故予防)」が最重要であると、日本で初めて水辺の安全を誰もが学べるICT教材「e-Lifesaving」を開発。


●記事の内容は2024年7月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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