「すぐに治ると思っていたのに…」下がらない熱、止まらない咳(せき)、原因不明のまま、どんどん悪化していく症状の正体は、マイコプラズマ肺炎だった【体験談】
2024年夏に流行した、マイコプラズマ肺炎。シングルで子育てしているわぐりさんの息子(ムスコくん・保育園年長さんの6歳)も、初夏にマイコプラズマ肺炎にかかり、入院まで経験しました。最初は原因不明で、ママの不安も大きかったそう。その体験について聞きました。全2回インタビューの1回目です。
始まりは発熱と少しの熱。数日で熱が下がるよくある風邪だと思っていたら…
オリンピックイヤーにはやるといわれるマイコプラズマ肺炎。「肺炎マイコプラズマ」という細菌による感染症で、小児がかかると肺炎になりやすいと言われています。初期症状が風邪に似ているため、初期の診断が難しいとも言われます。
今年の初夏、マイコプラズマ肺炎にかかったわぐりさんの息子さん。息子さんが発熱したとき、医師もわぐりさんも風邪だろうと思っていたそうなのですが…。
「ある日の朝、37.5度の発熱があり、保育園を休ませました。発熱の前に少し咳(せき)をしていましたが、その咳も『そういえば咳をしてたな』くらいのもので、とくに気になるものではなかったんです。でも、結局午後には熱が38度台まで上がってしまって…。翌朝も37.5度の発熱があったので、かかりつけ医に行きました。
医師も『風邪ですかね』という感じで、マイコプラズマによるものとはわからなかったようです。結局その日は去痰(きょたん)薬と解熱薬を処方されて帰宅しました。でも、その日も次の日も、朝は37.5度くらい、午後になると38度台まで上がるということを繰り返し、症状が改善する様子がなかったんです。いつもの風邪なら2~3日もすれば、熱が下がるのに、今回は下がらない。最初に行ったかかりつけ医で『熱が続くようならまた受診して』と言われていたので、発熱から4日目に再受診したんです。
その日は最初に行ったかかりつけ医が休診日だったので、別の小児科を受診しました。ここはいつもはあまり行かないのですが、検査とかも詳しくしてくれるところなんです。そこでは、血液検査もしましたが、とくに大きな問題はないと言われました。診断はウィルス性の風邪だろうということで、抗生剤は処方されず、最初のかかりつけ医と同じく、解熱薬と去痰薬が処方されました」(わぐりさん)
熱が5日も下がらず、発熱の原因は不明…。わぐりさんは不安もあったものの、この間ムスコくんが比較的元気で、食欲もあったため、長引く風邪なのかな、もう少し休んでいれば治るのかなと思っていたそうです。しかし、ムスコくんの症状は徐々に悪化していくのです。
「5日目までは普通のごはんを食べていたのですが、6日目からはそれが少しつらそうで、うどんやおじやなどを作ったり、バナナを食べさせたりしていましたね。あとは咳がつらそうだったので、はちみつをあげたり。毎食後に去痰薬を飲んで、解熱薬は38度以上あってつらそうなときや、本人がつらいからお薬を飲みたいと言ったときに飲ませていました。1日1~2回くらい、多いのは夜寝る前ですね。飲むと体温が少し下がるので、楽になって、よく眠れるようでした。
しかし、7日目になったばかりの深夜0:30、咳がひどくて眠れないようで、熱を測ったら40.3度。解熱薬を使いました。朝になると、水下痢をしていて、昼ごはんのうどんも吐いてしまいました。
そんな息子の様子に、治るどころかどんどん悪化していると感じ、少し怖くなりました。日曜日だったので、いつもの病院は休診しているということもあり、#7119(編集部注:救急安心センター事業。医師、看護師、相談員に、電話で症状を伝え、救急車を呼ぶべきか、今すぐ受診すべきかなどの相談ができる)で相談したところ『症状を聞く限り大変そうだし、年齢も小さいから救急に行ったほうがいい』と言われ、救急外来を受診しました。
数日で熱は下がるだろうと思っていたのに、全然下がらないし、病院にも行って、薬を飲ませているのに、熱と咳がどんどん悪化していく。インターネットで症状を調べると、怖い病気もたくさん出てくるし…。これはいつもの風邪じゃない、普通とは違う、というのがすごく怖かったです」(わぐりさん)
下がらない熱、悪化していく咳…。発熱7日目にして判明した「マイコプラズマ肺炎」
日曜日に行った救急外来で、X線検査をし、肺炎になっていることが判明。医師からは、息子さんがマイコプラズマ肺炎である可能性を指摘されたそう。ただ、この時点では入院はせず、抗生剤を処方され、自宅療養することになりました。
「抗生剤を処方され、この薬を3日間飲ませてくださいと言われました。息子は、いつもあまりぐずらずに薬を飲んでくれるタイプなんですが、このときはすごくまずく感じたようで、結構嫌がりました。でも、この薬を飲ませたらきっと治ると願って、息子もすごく頑張って、3日間飲ませました。
しかし、3日間、薬を飲んでも、熱と咳が治まらない。なので、10日目に再度受診したんです。すると、受診したときだけ、なぜか熱がひいていて、37.4度。医師には『効きましたね。これで大丈夫でしょう』と言われ、登園証明のもらい方のことまで話し、帰宅したんですが…。帰ってみたら、また38.7度まで発熱していました」(わぐりさん)
そして発熱から11日目を迎えた日、この日は恐らくいちばん症状がひどい日だったと、わぐりさんは振り返ります。
「それまでは、あまり食べられはしないけれど、なんだかまだ本人に気力があったんです。でも、この日は、何か飲もうとしても起き上がれない。立ち上がるのも、歩くのも難しくて、本当に元気がなくなってしまったんです。これはまずいなと感じて、昨日も受診したけれど…と思いつつ、3度めの救急外来を受診しました。
救急外来に着いて、酸素飽和濃度を測ってみたところなんと91%。この数値、かなり呼吸が苦しい状態だそうで、数値を見た途端、すぐに救急処置室に移動してくださいと言われて、看護師さんがバタバタと急いで酸素吸入器を準備してくれました。同時に点滴も始まりましたが、『これからいろいろ検査するので、お母さんは外に出ていてください』と言われてしまい、私は息子に『頑張って!』とだけ伝えて、その場から離れました。
結構長い時間待たされて、入院になることを説明されました。マイコプラズマ肺炎は入院せずに自宅療養で治ることもあるそうなのですが、息子の場合、酸素飽和濃度がかなり低いので、90%を下回らないように気を付けながら入院してマイコプラズマ肺炎が治るのを待ちましょう、と。ただ、その期間はすごく早いと3日間くらいかもしれないし、長ければ2週間くらいかかるかもしれない、と言われました」(わぐりさん)
すでに息子さんが発熱して11日が経過。フルタイムで働くワーキングマザーであり、シングルマザーでもあるわぐりさんは、この間、最低限の仕事しかできなかったと言います。
「通常、週に2~3回出社し、それ以外はリモートという勤務体制なのですが、この間はなかなか出社はできなくて、できるだけ在宅勤務で仕事をこなしました。発熱して数日の元気があった間は、動画やゲームをさせながら、横で仕事をするという形をとっていて、どうしてもオフィスでしかできない仕事があって出社しなければいけないときは、近所に住んでいる親に頼んだ日もありましたね。
ただ、発熱の原因がわからず、どんどん悪化していくので、いつまでに治りそう、いつからは出社できそうみたいなめどがぜんぜん立たなくて、スケジュールをどんどんリスケしてしまったのが、職場には申し訳なかったですね。こちらの状況を伝えておけば、少しでも心構えをしてもらえるかなと思い、仕事の報告だけでなく、息子の症状も職場には逐一報告していました。幸い、理解のある職場なので、そこは本当に救われました」(わぐりさん)
お話・イラスト提供/わぐりさん 取材・文/酒井有美、たまひよONLINE編集部
よくある風邪かと思っていたのに、熱も下がらず、薬が効いている様子もなく、はっきりとした原因もわからず、症状がどんどん悪化していく…。本人がつらいのはもちろんですが、見守っているほうとしても本当に怖いですよね。2回目のインタビューでは、その後の経過と入院生活、入院中に訪れた予想外のできごとについて聞きました。
わぐり
PROFILE
2018年に男の子を出産した、38歳シングルワーママ。X(旧Twitter)やInstagramに育児中のちょっとした出来事や気持ちをイラストに描いて、つぶやいている。犬とボードゲームと海外旅行を愛するオタク。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2024年9月現在のものです。