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「私がなんとしても息子を育てないと…」元騎手の夫が目の前で倒れ、急逝。息子がいたからちゃんと生きようと思えた【体験談】

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4歳になる男の子の母であり、モデル、インフルエンサー、そしてファスティング講師やカイロプラクターとしての顔も持つ山内菜緒さん。菜緒さんは今年5月、夫を突然亡くしました。それでも、インスタグラムなどでは、以前と変わらぬ表情を見せてくれているように感じます。悲しみは内に秘め、前を向いて明るく生きる彼女の強さの秘密とは――。全2回インタビューの後編です。

▼<関連記事>前編を読む

子どもって強い。何があっても負けないで生きていこうと思わせてくれる力がある

パパの死から8日後に、はっくんは4歳の誕生日を迎えた。4歳記念の撮影には、パパは写真で参加

結婚5年目、2人の間に生まれたはっくんがまもなく4歳になるというときに、夫である元ジョッキーの小林徹弥さんが目の前で倒れ、そのまま亡くなるという経験をした菜緒さん。本当に突然で、まさかの出来事でしたが、菜緒さんを支えてくれたのは、息子はっくんの存在だったと言います。

「パパが亡くなったといっても、息子はまだ3歳なんで、毎日とても元気なんですよね。聞き分けがないとかではないんですけど、やっぱり遊びにも行きたいだろうし。私はそんな息子の元気についていかないといけないし、私がちゃんと生活をしないと息子を育てていけないという思いもありました。

夫の死で立ち止まりそうになっても、息子は前進あるのみ!みたいな感じで、日々全力で生きていますからね。夫が亡くなってからは、そんな息子に引っ張られながら、過ごしてきました。息子がいなかったら、なんかもうずっとグダグダしていた気がします。息子がいてくれたことで、私もちゃんと生きようと思えたし、息子がいてくれて本当によかった。落ち込んでいる時間をくれなかった息子に感謝です」(菜緒さん)

そんなかけがえのない息子さんは、思いもよらない発想で、菜緒さんを笑わせてくれることもあると言います。

「夫が亡くなって、1週間たたないくらいだったでしょうか。息子が突然「ママ、新しいパパどうする?」って聞いてきたんです。私は「ええっ!?」ってびっくりしたんですが、何か答えなきゃと思って。『もし、はっくんのパパになってもいいよっていう人が出てきたら、新しいパパが見つかることもあるかもしれないけれど、今すぐにはそんなパパは見つからないなぁ。だから、パパの代わりとして、とりあえず、じじと〇〇くん(菜緒さんの弟)と遊ぶ、でもいい?』と言ったんですね。そしたら、『うん、オッケー!』って(笑)。

私は『オッケーなんだ』と思いつつ、息子をハグしていたら、『あ、わかった! はっくん、めっちゃいいこと考えた! 明日、パパを買いに行こう!』って(笑)。息子にとっては、必要なものがない→ないから買いに行くみたいな発想だったのかな。

そういう大人が想像できないようなことを急に言ってくるので、張り詰めた空気がほぐれるというか、すごく助けられました。私が泣いていると、『しょうがないな。はっくんのタオル、貸してあげるよ』ってバスタオルを持ってきて『はい、寝るよ』って渡されて。『私、どんだけ泣くの!?』と思ったら、少し元気が出ましたね。

わが家は夫が生きているときから、お出かけでも普段の生活でもワンオペだったから、いなくなってすごく困ったということはあまりないんですけどね、『あ、ゴミ捨てなくちゃ。前はパパがやってくれてたなぁ』とか、『洗面所がきれいだなぁ。パパが汚さないもんなぁ』とか、『電気消して!開けっ放し!で、怒ることもなくなったなぁ』とか、そういうすごくちっちゃいことで、夫がいなくなったことを実感して、さびしくなることはやっぱりあります。

でも、息子の存在で、だいぶ違うなと感じますよ。こういうパパが亡くなりましたっていう話を聞くと、妊婦さんや小さなお子さんがいる方は、不安になってしまう人もいるかもしれませんが、子どもってすごく強いし、何があっても負けないで生きていこうと思わせてくれる力があります。だれがいつ死ぬかなんてわからないことだけど、何があってもきっと強い味方になってくれると思います」(菜緒さん)

そうやって、息子はっくんに助けられながら、夫のいない生活に少しずつ慣れていっているという菜緒さん。ただ、ひとつだけ困っていることもあるといいます。

「4歳ですから、やっちゃダメなことをして、私に叱られることもあるんですね。パパがいなくなって、そういうときの息子の逃げ場がなくなったんですよ。

といっても、夫は、私が息子を叱ると一緒になって怒る人だったので、『いや、今、私が怒ってるんだから、パパは黙っててよ!』って、今度は夫が私に叱られるんです。そうすると息子としては「パパが怒られたから、僕はもうセーフ」みたいな雰囲気になって、その場が収まるという流れだったのに、パパがいないとできないなって。そのままずっと叱り続けちゃいそうになるんですよね。だから、息子の叱り方には気をつけないとと思っているんですが、具体的にどうすればいいかって考えると難しくて。悩みどころですね」(菜緒さん)

息子には好きなことをやってほしい!そのための選択肢はたくさん用意してあげたい

夫を亡くしたあとも、カイロプラクターとしての仕事も続けている菜緒さん

ひとり親となった母としての悩みも抱える菜緒さんだが、夫を亡くして初めて感じたことがあるそう。それは万が一のとき、残された家族のために、いろいろな情報を共有するツールの必要性。高齢になるとエンディングノートと呼ばれるものに情報をまとめることがありますが、高齢でなくても必要だと感じているそうです。重要な情報ばかりなので、セキュリティに十分配慮したうえで保管する必要がありますが、情報を整理しておくのは大切なこと。

「パパでもママでも、倒れたり亡くなったりしたときには『これを見てね』っていうノートやボックスを作っておくといいと思っています。普段は共有しないけれど、万が一のときには共有したいことを伝えるためのもの――。ステップファミリーの方はとくに遺言書を書いておいてほしいと思います。

うちの夫の場合、普段からスマホの暗証番号を共有してくれていたので助かったのですが、まずスマホのロックが開かなかったら本当に困っちゃう。だれに連絡すればいいのかもわからないんです。

だから自分が倒れたら、会社のこの人とこの人には絶対連絡してほしいよとか、銀行の暗証番号はこれだよとか、ハンコはここにあるよとか。生命保険や損害保険の有無とか、実は借金があるよとか、実は株があるよとか、暗号資産があるよとか。
夫婦間でも意外と知らないことがあって、亡くなってから発覚することもあるし、残せるはずの資産が放置されることもあるでしょう。これは、高齢でなくても、万が一のときのために伝えることをまとめておくべきだと感じるようになりました」(菜緒さん)

菜緒さん自身、小さなころからやりたいと思ったことには積極的にチャレンジし、子役としても活躍しました。20代で体調を崩したときに助けられたカイロプラクティックに感銘を受けると、自ら勉強をして資格を取り、タレント活動と並行して、カイロプラクターとしての仕事をスタート。そんなバイタリティあふれる菜緒さんは、息子さんとこれからどう過ごし、どう育ってほしいと思っているのでしょうか。

「息子には、とにかく好きなことやってほしいと思っています。私自身、習い事もいろいろ経験させてもらい、親にはいろいろな選択肢を与えてもらいました。その中から自分で好きだったお芝居を選び、お仕事にして…と、好きなことを楽しくやらせてもらって、今の自分があると感じています。

もちろん最低限の勉強はしてほしいと思いますけど、息子にも、やりたいと思ったら、何でもどんどんチャレンジしてもらいたいですね。そして、私はできる限り選択肢をいっぱい用意してあげたい。これからもいろいろな場所に連れて行って、いろいろな体験をさせてあげて、その中から興味を持てるものを見つけてくれたらと思っています。
パパみたいに馬に乗りたいと思ったらその道に進んでもいいですし、私の知らないことを何か見つけて来てくれてもいい。そしたら、私もちょっと一緒にやってみたいです(笑)。だって、息子が興味を持ったものは私も体験してみたいし、お互いに興味があるものを共有していけるといいですね。

息子はきっと、私の感性とは違うものを選ぶだろうし、そういう新しい世界を息子に見せてもらって、親子で一緒に進化して行けたらなって。私、新しいことが大好きなんで、私が知らないこと、新しいことを、息子にどんどん共有してほしい。それが将来の楽しみだなって思います」(菜緒さん)

お話・写真提供/山内菜緒さん 取材・文/酒井有美、たまひよONLINE編集部

夫が亡くなり悲しみであふれそうになったときでも、しっかりと前を向き、常に自分らしい道を進んでいる菜緒さん。その明るさと強さの秘密は、もともとの気質もあるでしょうが、やはり息子さんの存在が大きいのだと、お話を聞いて改めて感じました。パパに代わってママを支えたい息子さんと、息子さんにたくさんの世界を見せてあげたいママ。素敵な親子の未来が幸せで満ちていますようにと願わずにはいられません。

山内菜緒さん(やまうちなお)

PROFILE
美容カイロプラクター、ファスティング講師。子役としてデビュー後、俳優やMCなどのタレント活動を開始。出産後は、4才の息子はっくんと親子モデルとしても活動している。2024年6月、元JRA騎手で調教助手の夫、小林徹弥さんが急逝。強く明るく前向きに生きる姿が印象的な1児のママ。

山内菜緒さんのInstagram

山内菜緒さんのX(旧Twitter)

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2024年12月現在のものです。

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