ママ・パパ必見!赤ちゃんの食物アレルギーと肌荒れの深い関係
\肌の赤みや湿疹は放置厳禁! “治療”が必要!/
繰り返す肌の赤みや湿疹(=乳児湿疹)は、一時的なトラブルではなく、将来の食物アレルギーの発症リスクにもかかわるといわれています。予防のカギは早めの治療。専門医の山本貴和子先生にお話を聞きました。
■お話・監修
乳児湿疹の適切な治療は 食物アレルギーの予防につながる
生後しばらくすると、赤ちゃんの肌に赤みやぶつぶつが出て、繰り返すことが。いわゆる「乳児湿疹(にゅうじしっしん)」です。よく見られる症状ですが、実は食物(しょくもつ)アレルギーの発症と深くかかわっています。
――乳児湿疹と食物アレルギーはどう関係しているのでしょうか?
山本先生(以下敬称略) 湿疹があると肌を守るバリア機能が弱まり、本来は口から入るはずの食べ物(卵や乳など)の成分が、身のまわりから肌に入り込みやすくなります。体はそれを「敵」と勘違いし、アレルギーの原因となる「IgE(アイジーイー)抗体」をつくり始めます。この抗体が増えると、実際にその食べ物を食べたときに、アレルギー症状を起こしやすくなるのです。
――食物アレルギー発症予防のためにできることはありますか?
山本 しっかりと湿疹のケアをすることが大切です。日本では、赤ちゃんの時期は卵アレルギーが多いですが、湿疹のある赤ちゃんが早くからきちんと治療して肌の状態を整えることで、卵アレルギーの発症を抑えられるということが研究で示されています。
―― すでに肌の保湿ケアを頑張っているご家庭も多いと思います。
山本 保湿は大切ですが、湿疹を繰り返す場合は、保湿だけでは不十分です。肌の炎症を抑える薬を適切に使う必要があります。
湿疹はよくあることと放置せず 薬を使って積極的に治療を
保湿ケアを続けていても、湿疹を繰り返す場合は、医師の指示のもと、早めに治療を受けましょう。
――「乳児湿疹は自然に治る」といわれることもあるようです。
山本 炎症を長引かせると、食物アレルギーのリスクを高めます。まずはかかりつけ医に相談してください。2カ月ごろの予防接種のデビューのころに相談するのもおすすめです。医師の方針に不安が残る場合は「かゆみや湿疹をしっかり治したい」と伝えましょう。それでも十分な対応が得られない場合は、別の医療機関の受診も検討してみてください。
―― 肌の炎症を抑えるためにステロイド薬がよく使用されますが、赤ちゃんに塗るのに抵抗がある方もいます。
山本 心配や不安は自然なことだと思います。ですが、肌に塗る外用のステロイド薬は新生児期から使えると承認された薬で、医師の指示に従って適切に使えば安全に治療できます。大切なのは「必要なときに、必要な量を、正しく使う」こと。しっかり湿疹を治し、かゆみのない健康な状態に保つことが、赤ちゃんにとっていちばんの安心につながります。
乳も卵も適切な時期から始め、 定期的に取り入れるのがいい
食物アレルギーが心配な食材であっても、離乳食の開始はむやみに遅らせないことが大切です。適切な時期に与えることが発症予防につながります。かかりつけ医師と相談してすすめてください。
―― 乳や卵など食物アレルギーが心配な食材は、いつから赤ちゃんに与えればよいのでしょうか?
山本 1カ月ごろから母乳に加えて、少し育児用普通ミルクをたす方法で、牛乳アレルギーの発症を抑制する効果があるとされています。ただし、赤ちゃんに湿疹がある場合は、すでにミルクアレルギーが始まっている可能性も。それまでミルクをほとんど飲ませていなければ、小児科で相談してください。
卵は、5〜6カ月ごろからが目安です。加熱卵白を含む全卵を少量ずつ食べさせると、発症リスクを下げられることがわかっています。市販の加熱卵パウダーは安全に始めやすく、家庭での負担も軽減できます。ただし、まだ湿疹がある場合やアトピー性皮膚炎(ひふえん)と診断されている場合は、自己判断で与えると、アレルギー症状が出ることがあります。必ず医師に確認してから進めましょう。
ほかの食材も、適切な時期に少量から始めてください。湿疹がある場合は、しっかり治療しながら、家族が日常的に食べている食材を少しずつ、定期的に取り入れることが大切。食物アレルギー予防のためにも、赤ちゃんの状態に合わせて、必ず医師と相談しながら進めていきましょう。
アレルギー研究に 協力してくれる 親子を募集!
ワクチンデビューの時期に手足まで広がる湿疹はありませんか?
乳児期の肌トラブルは、のちに食物アレルギー発症の発端となる可能性があることから、早期に治療を開始することが必要です。国立成育医療研究センターでは、生後42~90日以内の赤ちゃんで、アトピー性皮膚炎である子を対象とし、早くから治療することで食物アレルギー予防対策をできるかを調査するための臨床研究を行っています。食物アレルギー検査や専門医による離乳食指導も行います。ぜひご協力ください。
山本先生からMessage
国立成育医療研究センターアレルギーセンターに受診すると、研究の他に、アレルギー専門医による赤ちゃんの湿疹治療やアレルギー検査、離乳食のアドバイスが受けられます。1~ 2カ月ごろの赤ちゃんで、手足まで広がる湿疹がある場合は、ぜひご参加ください。
取材・文/江原めぐみ 写真提供/ピクスタ
協力/国立成育医療研究センター アレルギーセンター


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