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チャラン・ポ・ランタン小春、脳性まひの長男への思いを曲に

更新

第2子妊娠を発表した小春さんと、深音くん。

姉妹音楽ユニット「チャラン・ポ・ランタン」の小春さんは、2025年9月に、長男・深音(みと)くんに脳性まひがあり、重症心身障害児であることを公表しました。現在第2子を妊娠中の小春さんに、深音くんの子育てのことや新しい家族を迎える思いについて聞きました。全2回のインタビューの後編です。

▼<関連記事>前編を読む

長男に障害があることを公表

深音くん、ママとパパと一緒に初めての新幹線?!

――2025年9月、長男・深音くんが脳性まひで重症心身障害児であると公表した理由を教えてください。

小春さん(以下敬称略) 私は産後6日くらいのとき、SNSで「結婚・離婚・再婚・妊娠・出産」を発表しました。その後仕事復帰してから、いろいろな方から「お子さんは今首がすわったころかな?」「保育園に行っているのかな?」と聞かれるようになりました。そういった質問に対して、自分の息子が健常な子の成長と違うことに傷ついてしまったり、聞かれても答えられないことが申し訳ない気持ちもありました。それで息子のことを公表することにしたんです。

もう1つ、障害のある子を育てるお母さんたちの話をどうしても聞きたかったという理由もありました。公表する少し前からSNSのアカウントを作って、障害のあるお子さんを育てるお母さんをフォローし始めました。お母さんたちは鍵付きのアカウントが多く、プライベートの情報を共有しているいる方が多かったため、同じような境遇のお母さんとつながりたくてアカウントを作成しました。

――公表後、反響はありましたか?

小春 深音の脳性まひを公表してからいろいろな人からコメントやDMをいただきました。昔からの知り合いが「実は障害がある子を育てている」とメッセージをくれたり、「知り合いに同じ状況の人がいる」と教えてくれたりもしました。

仕事の現場で「僕の子どもも障害があります」と話してくれる人もいます。先に公表している私には言いやすいのかもしれません。たくさんの人がいろいろな事情を抱えて子育てしていることを知ることができて、公表してよかったと思っています。

――2025年9月にリリースした新曲「Mito」の最後の歌詞で「息をしていればまた明日も会える」という部分がとても印象的でした。

小春 ちょうどその曲を作っていたころ、息子はNICUに入院中で、呼吸器をはずしつつ自発呼吸ができるようになっていた時期でしたが、泣くと呼吸が止まってしまうことがあったんです。泣いて呼吸が止まると顔や唇が真っ青になり、「このままじゃ死んじゃうんじゃないか」と思うことが何度もありました。

毎日「今日は息をしている。明日も息をしていれば会える」という気持ちでNICUに面会に通っていて、その状況を歌詞に残しておこうと思いました。比喩的な表現ではなく、本当に「どうか息をしていて」という気持ちでした。今では泣いたあとも自発呼吸ができるようになったので、あのときの状態を歌詞として残せてよかったと思います。

聞こえないと言われていた耳が、聞こえた

生後11カ月を過ぎ、うつぶせ練習中の深音くん。

――深音くんはいつごろ退院しましたか?

小春 2025年10月末、生後9カ月で退院しました。退院時には、突然呼吸が止まったときのための酸素や機材を持ち帰りましたが、普段ははずしています。病院では鼻から胃に通したチューブでミルクを飲んでいましたが、家では吸啜(きゅうてつ)の感覚を維持できるように、時間をかけてできるだけ口から哺乳びんで飲ませています。

――YouTubeチャンネル「Charan Po Rantan official」でも、ももさんが深音くんにミルクを飲ませている様子が配信されていますね。

小春 まわりのみんなが息子をすごくかわいがってくれています。いろいろな人から刺激を与えてもらったほうが深音の脳にもいいと思うので、現場に連れて行って音を聞かせたり、さまざまな体験をさせています。

――現場で音を聞かせてあげているんですね。

小春 生後3カ月のときに検査をしたら脳波が平坦だったことは前回話しましたが、生後4カ月で聴力検査をしたら「ほとんど耳が聞こえていません」という診断結果でした。音楽を仕事にしている私ができることは音楽しかないのに・・・すごくショックでした。生後半年くらいまではアコーディオンを弾いて聞かせても反応がなかったから「やっぱり聞こえてないんだな」って。

だけど、その数カ月後に再検査をしたところ難聴のような状態が改善されて、聞こえるようになっているとわかったんです。数値で初めて「よくなった」とわかったときは夫婦で泣きました。

――現在、深音くんとの生活でどんなサポートを受けていますか?

小春 訪問看護やリハビリの方が来てくれますし、母や妹も手伝いに来てくれます。あとは、私たちの事務所スタッフの「やることリスト」には「深音にミルクをあげる」というものもあるんです。毎日、だれかしら深音を抱っこしたり育児をサポートしに来てくれます。

2人目の妊娠は未来への希望

第2子妊娠発表時の小春さん。写真左は、チャラン・ポ・ランタンボーカルで妹のももさん。

――現在、第2子を妊娠中の小春さん。体調はどうですか?

小春 今妊娠後期で、長男とは年子になります。つわりは今回も軽かったんですが、1人目のときより体力がかなり落ちている感じがします。産後の体力が回復する間もない時期の妊娠だったからでしょうか。歩いているだけでもすごく疲れるので、いろいろな人に荷物を持ってもらったりして助けてもらっています。

――もともと子どもは2人欲しいと思っていたんですか?

小春 そうですね。もともと「できたらいいな」と思っていました。ただ、深音が生まれて、思っていたのとは違う子育てが始まり、このまま深音と1対1で向き合い続けて自分の心が保てるのかなと思いました。ネットで同じ診断を受けている子をたくさん調べて、中には突然別れが来てしまうことがあるということも知りました。

深音の命も終わってしまうことがあるかもしれません。そうなったとき私はやっていけるんだろうか、と。未来に希望を持ちたくて、「新しい命ができるかも」と可能性を感じたくて、自分の気持ちを保つために妊活を始めたところはあります。

「そんな理由で子どもをつくるものじゃない」とか、「健康な子が欲しくて産んだんだろう」とか、周囲にどう思われるかもすごく考えました。きょうだい児という言葉があるくらい、きょうだいに障害のある子がいることで苦しむ人がいることも認識しています。障害のある子を育てる親は、きょうだいをもつことについてきっと同じように悩むと思います。

――いろいろなことを考えての妊活だったんですね。

小春 「1人目に障害があるとわかっているのに産む」ということは親のエゴだと思われるだろうなという気がかりも少なからずありました。でも新しい命が生まれて、その子にも楽しい人生を歩んでほしいという思いは普通の親と同じです。

一方で、障害があることをそんなに悲しいことだととらえなくてもいいじゃないか、と考えるようにもなりました。充実した人生を送ることに価値をもたせなくても、たとえば、猫みたいに生きたっていいんじゃないか、と。いろんな意見を言う人はいるかもしれないけど、その人たちだって100年後にはだれもいなくなる。それなのに人の言葉をそんなに気にする必要があるのかな、とも考えるようになりました。

もちろん、障害があったら人にお世話になることも多いですし、きょうだいに負担をかける可能性も、無くしたいと思っていますが、無いとは言いきれません。でも結局、家族がどう生きるか、どう幸せを感じるかは、家族それぞれだと思うんです。

子どもを信じて育てていきたい

山梨のイベントに深音くんを同行して。

――2026年2月下旬に初のエッセイが発売予定だとか。制作のきっかけを教えてください。

小春 これまで私自身の人生に起こったできごとを歌にしてきたので、それを本にまとめてみたいという気持ちは以前からあったんです。そんなことをYouTubeでも話していたら「本を作りませんか?」という連絡をいただきました。

お話をいただいたときは深音を妊娠中で、赤ちゃんが生まれたところで終えるつもりで書き始めていました。でも執筆中に深音が生まれて、最初に考えていた内容とは違う方向のものになりました。エッセイには深音のこともいろいろ書いています。私のことを知らない人でも「こんな人がいるんだな」と感じてもらえる内容になっていると思います。

――もうすぐ4人家族になりますね。どんな家族にしていきたいですか?

小春 10月に深音が退院して子育てが始まったばかりで、さらに2人目がもうすぐ生まれるところだから、まだ想像がつきません。どんな家族になるんだろう? だけど、子どもに対して「こうなってほしい」と思ったことは全部はずれるんだなと感じます。自分1人の人生ならどうにかなったことも、家族になると予想外の出来事が起こるものですよね。

――最後に、同じような境遇で子育てする人にメッセージをお願いします。

小春 私は表に立つ仕事をしているので「小春ちゃん強いですね」と言われたりすることが多いんですが、深音に障害があることについてはまだ全然受け止めてきれていませんし、今でも悲しいです。同じ境遇のお母さんお父さんはきっと「私たちが頑張らなきゃ」と思っていると思うので、「そんなの無理だよね」と伝えたいですね。

皆さん、お子さんのことを一番に考えて生活していると思いますが、お母さんお父さんは自分が壊れないようにいろんな人の力を借りて、1人で抱え込まないでほしいと思います。
まわりの意見に傷つくこともあると思うけれど、まわりがどうであれ、自分たちが信じること、好きなことをやればいいと思います。意見する人が、実際に息子を育てる私になる日は来ません。だから、自分と家族の好きなように生きたらいいと思います。

お話・写真提供/小春さん(チャラン・ポ・ランタン) 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

深音くんは1月下旬に1歳の誕生日を迎えました。オンライン取材中はお昼寝中でしたが、小春さんが抱っこして深音くんのかわいい寝顔を見せてくれました。多方面を気づかい言葉を選びながら、ときに涙しつつも率直な思いを語ってくれた小春さん。子ども、家族、仕事などどれに対しても真摯に愛情深く向き合う姿勢を感じました。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

小春さん(こはる)

PROFILE
2009年小春(アコーディオン)ともも(唄)による姉妹ユニット「チャラン・ポ・ランタン」を結成、2014年メジャーデビュー。2016年に発売の配信シングル「進め、たまに逃げても」がTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のオープニングテーマに起用される。あらゆるジャンルの音楽を取り入れた無国籍のサウンドや独特の世界観で海外にも活動範囲を広げている。2021年に独立。2025年12月に昭和歌謡カバーアルバム『唱和百年』をリリース。

チャラン・ポ・ランタンの公式サイト

チャラン・ポ・ランタン 小春さんのInstagram

チャラン・ポ・ランタンのYouTube

深音くんのInstagram

アコーディオン弾きと小さい死神

姉妹ユニット「チャラン・ポ・ランタン」の姉・小春が、30年のアコーディオン人生と、大道芸や音楽活動、独立、結婚・離婚・再婚・妊娠、出産時の事故で重症心身障害児と診断された愛息への思い、そして今を赤裸々に綴るエッセイ。チャラン・ポ・ランタン 小春著/2310円(オレンジページ)

●記事の内容は2026年1月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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