「塾活」は今や妊娠中から!? おどろきの小学校受験
「まさか自分がお受験するとは・・・」。今回取材したのはある人材派遣会社で総合職として働くママ。都心ならではの小学校受験の様子を教えてもらいました。
【塾活日記①】~妊娠中に幼児教室を見に行くの巻
目黒区在住のIさん37歳が、数年前の真夏の暑い日に夫とともに足を運んだのは某所の閑静な住宅街。そこは知る人ぞ知る幼児教室。Iさんは妊娠中ですが…なんと、年中からの塾の予約に訪れたのです。
「働くママに中学校受験は本当にしんどいと会社に同僚に言われて」とIさん。
Iさんの勤務先は大手人材派遣会社。総合職としてばりばり働くIさんは、2年間の不妊治療の末、ようやく妊娠。喜びもつかの間、同僚の先輩ママから「保活」と「塾活」をするようにすすめられたのだそう。
Iさんの夫は中高一貫校の高入生(高校からの入学生)。
「夫いわく、充実した学校生活だったけど、一貫校の場合、本当の恩恵を受けられるのは中学からの入学者。自分みたいに途中から入った人間は同窓会にも足が遠のく、と。だったら子どもには中学受験をさせようと夫婦の間では合意していました」とIさん。
そんなIさん夫婦の認識が大きく変わったのが、Iさんの同僚からの猛烈な小学校受験のすすめでした。同僚の子どもは男の子。春に大学付属の中高一貫校に合格したばかりでした。同僚が進めた小学受験(小受)のススメとは……。
【塾活日記②】~いつ受験させたらいいの?~働くママの深い悩み
同僚いわく……
① 小学校受験はたとえ年少から塾通いしたとしても本気期間は約1年。中学受験に費やすのは約3年間。長かった…。
② うちのような幼い子には中学受験は親のかかわりが重要。長時間働く自分はサポートが限られてしまい、もっと息子はやれたはずという後悔にさいなまれている。
③ しっかりした女の子にくらべて、息子はわんぱく小僧。地元公立中学に進学した場合、内申点が重要な都立高校受験では、明らかに不利になりそうだった。そこで軽い気持ちで中学受験をしたが、塾代、試験代で合計300万円以上かかった。付属小学校もそれなりの学費がかかるが、中学受験にかかるストレスを差し引いたら小学校から付属に入れればよかった。
あくまでその同僚の個人的な感想だが、「やり直せるなら小学校受験するわ」と強くすすめる同僚に、Iさん夫婦は気が進まないながらもリサーチを開始。Iさんの夫が会社で周囲に聞き込みをすると驚くべきコメントが…!
「お、Iのところも小受検討中か? それなら○○先生を紹介してやる」
「いえ、うちのはまだ妊娠中で」
「知らないのか?○○先生は妊娠中から予約を受け付けているんだぞ」
都内出身の夫と違い、四国出身のIさんにとっては驚愕の事実でした。さっそく塾に申し込みにいこうと息巻く夫を横目に、まだその気になれずにいたIさんでしたが、お腹の子が男の子と聞き同僚の言葉が胸にせまってきます。
「まさか、お受験なんて世界に足を踏み入れるなんて」「うちみたいな庶民が」と気になりつつも躊躇するIさんに対し、夫は「噂は信じない。自分の目で見てくる」と私立小受験フェアに参加。さらには公立小の公開行事も見学に。
妊娠中にそこまでしている知り合いはおらず、自分の兄妹はじめ友人にも相談できずにいたIさん。とはいえ、紹介された塾はキャンセルも可能ということでとりあえず、申し込みをしてみることに。
【塾活日記③】「妊娠中から普通に受付できた」ことへの驚き!
指定されたのは夏の暑い土曜日。瀟洒な一軒家の門をくぐると、中から紺色の服をきた小さい子とその保護者らしきママたちがわらわらと出てきた。看板もないが、ここが幼児教室であることは一目瞭然でした。
そのママたちの姿を見たIさんは「紺」を着てきて正解と胸をなでおろした。ママたちの服装は見事なまでに紺色だったのだそう。
「××さんのご紹介で…」予め電話で告げた内容を一通り伝えると、先生は慣れた手つきで入塾申込書を用意してくれた。「今日のお母さま方はみなさん働いていらっしゃるんですよ」という先生の言葉を聞き、「そこではじめて妊娠中から予約しなくちゃいけない理由がわかったんです」とIさん。他の曜日は年少からの申し込みで何とかなるそうですが、土曜日の席数はわずか8席。数少ない枠の争奪戦だったのです。
先生の話では小学校受験する働くママの割合いは年々増え、ここ近年は私立小学校もアフタースクールを完備するなど、共働き家庭のさまざまな要望に応えているそう。先生の塾もかつては平日のみだったそうだが、要望に応える形で土曜日も開講。「他塾には土日中心をうたうところも出てきましたが、私は高齢なので1クラスで皆様に許していただいております」とのこと。
Iさんの未知なる世界への一歩が始まった…。(文・たまひよONLINE編集部)
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。