妊娠を妨げるトラブル&病気 part1
生理のトラブル
生理不順・不正出血などのトラブルは病気の早期発見の第一歩になるので、少しでもいつもと異なる違和感があれば受診をして!
生理不順
ホルモンバランスの乱れや排卵がない場合も
生理周期が25日未満だったり、逆に39日以上の場合を生理不順といいます。適切な期間で生理が来ない場合は、ホルモンバランスが乱れ、排卵が起こっていない可能性も。生理不順は不妊の原因の始まりでもあります。不順かな?と思ったら、婦人科で相談しましょう。
不正出血
卵巣や子宮トラブルの可能性が! 一度受診を
生理中以外の期間の出血は、子宮内膜症や子宮筋腫など卵巣や子宮にトラブルがある場合がほとんどです。痛みがない、少量の出血などの場合でも一度、婦人科を受診することをおすすめします。おりものが茶色っぽかったり、いつもと違うようであっても同様です。
生理痛
寝込むほどひどい場合は病気が原因のことも
下腹部の重みや痛みなどは、ある程度はだれにでもあります。ただ、立っていられず寝込んだり、貧血を起こすほどの場合は、子宮内膜症や子宮筋腫が原因である可能性も。以前と比べて生理痛がひどくなってきたという人も、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
PMS
月経前の不調がひどい人は相談を
イライラしたり、肌荒れやむくみなど、症状には個人差がありますが、生理前の黄体期に起こる心や体の不調をPMS(月経前症候群)といいます。生理が来ると治まりますが、生理後も症状が続くようであれば、別の病気の可能性も。医師に相談するようにして!
無月経症
3カ月以上生理が来ない場合は相談を
18才を過ぎても生理が来ない先天的なものと、今まで生理が来ていたのに3カ月以上来なくなった後発的なものがあります。後者は、女性ホルモンや卵巣、子宮のトラブルが原因になったり、ストレスやダイエットも原因となるので、早めに婦人科医に相談するようにしましょう。
卵巣のトラブル
卵巣は卵子を保存し、育てる大切な器官。以前は40代以降に多かったさまざまな病気も、最近では若い人にも増え始めているので気をつけましょう。
卵巣嚢腫
症状がひどい場合は卵巣ごと摘出も
卵巣内部に分泌液や粘液、脂肪などがたまってできる良性の腫瘍ですが、まれに悪性の場合も。初期は自覚症状がありませんが、大きくなると下腹部がふくらんだり、しこりを感じたり、痛みを伴うことも。症状がひどい場合は手術で卵巣ごと摘出します。
卵巣機能不全
卵巣の機能が低下し、排卵障害なども
年齢とともに卵巣の機能も低下し、ホルモンバランスが乱れ、排卵障害や生理不順などを引き起こします。最近では、若い人でもストレスや子宮内膜症、冷えや過度なダイエットなどが原因となって、卵巣機能不全を起こす人、さらに卵子がもともとない人もいます。
卵巣がん
40代から増える早期発見が難しい病気
良性の卵巣嚢腫に対し、悪性のものが卵巣がんです。進行すると腹部に膨満感や痛みなどの症状が。40代から増え始め、卵巣の腫瘍のうち1割が悪性とも。家族に経験者がいたり、妊娠・出産経験がないと発症リスクが上がります。早期発見が難しい病気です。
【監修】医療法人浅田レディースクリニック理事長 浅田レディースクリニック名古屋駅前クリニック院長 浅田レディース勝川クリニック院長
浅田義正先生
名古屋大学医学部卒。医学博士。米国で顕微授精の研究に携わり、1995年、名古屋大学医学部付属病院分院にて、精巣精子を用いたICSI(卵細胞質内精子注入法)による日本初の妊娠例を報告。日本生殖医学学会認定生殖医療専門医。
【監修】出産ジャーナリスト
河合蘭さん
1986年より出産に関する執筆活動を開始。東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院等の非常勤講師も務める。著書『未妊—「産む」と決められない』(生活人新書)、『卵子老化の真実』(文春新書)など多数。2016年『出生前診断─出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(朝日新書)で科学ジャーナリスト賞受賞。