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産婦人科医のリレートーク「命の生まれる現場から」 谷垣伸治先生(国立成育医療研究センター)【たまごクラブ】


産婦人科医のリレートーク「命の生まれる現場から」 谷垣伸治先生(国立成育医療研究センター)【たまごクラブ】

「助けられた命なんだから、人のためになることを」と母は言った

 僕は幼いころとても体が弱く、何度も死にかけ、救急に運ばれたそうです。幼稚園ではあんまり細いから、もやしっ子なんて呼ばれて...。心配した母から、丈夫に育つようにとどこかで得た知識で持ってきた漢方薬を毎朝飲まされたり、たわしで乾布摩擦(かんぷまさつ)をされたりも(笑)。母はまた、「あなたの命は助けられた命。人のためになることをしなさい」とよく言っていて、小学校を卒業するころには、将来の夢は"医師"に。医学部に進み、最初は"女性のためのスポーツ医学"をめざして産婦人科に入局しました。スポーツをする女性がコンディションの整った状態でしっかり実力を発揮できるように医学的にサポートしたいと考えたんです。

トレーニング時代を経て"周産期医療"をめざす 

 当時、慶應義塾大学病院では入局2~3年目は、大学外の病院でトレーニングを積む習わしでした。最初は、年間1000件の出産を扱う地域の大病院。初めて1人で病棟番をしていたときにそれは起こりました。妊娠中期の双胎(そうたい)妊娠の方が緊急搬送。搬送元の申し送りによると少し血圧が高めで風邪気味とのこと。ところがそれどころではなく妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん・当時は妊娠中毒症と呼ばれていました)による肺水腫(はいすいしゅ)を起こしており、間もなく心肺停止状態に。呆然とする僕をおいて、先輩医師が母体の命を守るため、おなかの赤ちゃんを取り出して血流を改善する死戦時(しせんじ)帝王切開の処置。術後、お母さんはICU(集中治療室)へ。双子の赤ちゃんたちは残念ながら1週間後に亡くなりましたが、お母さんは退院し、その後再び妊娠をして、無事出産されました。ほかにも、出血が止まらなくなった産婦さんの処置のため、県中の血液を使いきってしまい、「おまえがいてもしょうがないから、血を集めてこい!」と先輩医師に言われて病院の外に出て拡声器で献血を呼びかけたこともありました。トレーニング1年目の僕は正直、なんの役にも立たなかったと思います。でも、僕の中では大きな変化があった。お母さんと胎児、新生児の命を守ることのすごさを目の当たりにし、産婦人科医として何をやっていくか、自分のめざす方向は"周産期医療(しゅうさんきいりょう)"だと決意しました。

病気を克服した人にも妊娠・出産の機会を

 周産期とは、妊娠中から生後満7日未満までの期間。その期間のお母さんと胎児、新生児の命を守るのが僕の役目です。とくに専門としているのが、膠原病(こうげんびょう)や腎臓病などの持病を持った方の妊娠・出産のサポート。病気を克服し、これまでだったら妊娠・出産なんてとんでもないといわれてきた人も、命の誕生までの困難を乗り越え、いちばんうれしい瞬間に向かって、命をつなげられるようにしたい。自分も助けられた命だからこそ、強く思うのかもしれません。
 また、近年は、妊娠・出産の高年化に伴い、合併症妊娠(がっぺいしょうにんしん)が増加しています。その相談窓口として、周産期・母性診療センターに「妊娠前管理外来(にんしんまえかんりがいらい)」を開設。年齢や持病によっては妊娠・出産にリスクもありますが、それを十分理解し、覚悟をもって臨むこと。科を超えたサポートをめざしています。

周産期を支える人材の育成も、進行中!

 周産期を支えるすそ野を広げることも僕の仕事。命の誕生の困難さとともにすばらしさを伝えることで、一人でも多くの医師・看護師に周産期医療をめざしてほしい。僕は胎児という小さくて弱い存在を守るのが産婦人科医なんだと若手医師によく言っています。ただ、お母さんと同じように24時間おなかの赤ちゃんを見守ることはできません。お母さん自身でも、リスク管理をすることが大事です。それでも起こる事態は、僕たち産婦人科医がサポートするので、肩の力を抜いて安心して妊娠生活を送ってほしいと思います。

今月の先生/国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター
産科医長・教育研修部(併任)谷垣伸治先生

1994年慶應義塾大学医学部卒業。済生会宇都宮病院、さいたま市立病院、杏林大学医学部付属病院産科病棟医長などを経て、現在に至る。専門は、周産期医学とくに産科救急、合併症妊娠。杏林大学医学部付属病院では、研修医によるマイ・ベスト指導医に3 年連続選ばれるなど、未来の産婦人科医を育てることにも尽力。プライベートでは、11才の女の子のパパです。

イラスト/にしださとこ

【お知らせ】
「命の生まれる現場から」は、たまごクラブにて好評連載中!
たまごクラブ最新号(5月号)では、GW直前緊急特集「妊娠中の旅行は"自己責任です"の意味」を掲載中。

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※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。

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