板野友美さん考藤達哉先生スペシャル対談 今、妊娠中、育児中のママに知ってほしい、肝炎ウイルス検査はなぜ大切なの?
「ウイルス性肝炎」が国内最大級の感染症と知っていますか? また、妊婦健診で肝炎の検査が行われていることは知っていますか? 耳にしたことはあっても、意外と知らない肝炎のことを学ぶ特集「プレママ・ママ、パパやパートナーのためのとても大切な肝炎のお話」。2回目は、たまひよ新創刊アンバサダーを務める板野友美さんがたまひよユーザーを代表して、肝炎の専門医である考藤(かんとう)達哉先生に検査の重要性や母子感染のリスクについてお話を聞きました。
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◆特集1回目「妊婦健診にある肝炎検査ってなんですか?」肝炎のスペシャリスト考藤先生教えて!もチェックする
妊娠中の血液検査で肝炎ウイルス検査もしているんです ―考藤先生―
考藤先生(以下敬称略)「板野さんは妊娠中、いろいろな検査をしたと思いますが、何をしたか覚えていますか?」
板野さん(以下敬称略)「わりと早い時期に血液検査をした覚えがあります」
考藤「そうですね。妊婦さんは妊娠初期の血液検査で、胎内や産道で赤ちゃんに感染する可能性のある感染症がないかを調べています。そのなかに、実は肝炎ウイルス検査も入っているんです。板野さん、B型肝炎、C型肝炎がどんな病気か聞いたことはありますか?」
板野「実は、祖父を肝臓がんで亡くしていて、母からC型肝炎だったからと聞いたことがあります。だから、肝臓がんになる前の病気なのかな、ってくらいしかわからなくて…」
考藤「そうだったんですね。実は肝臓がんの原因のおよそ7割以上をB型肝炎、C型肝炎が占めています。このB型肝炎、C型肝炎に感染すると、ある一定の割合の方はウイルスが残り、慢性的な感染状態いわゆる“キャリア”になります。そして、そのキャリアのなかから、肝硬変(かんこうへん)や肝臓がんなど、肝臓の病気になる方がいるんですね。将来的に肝臓が悪くなるリスクがあるんです」
板野「肝臓がんの7割が肝炎からと聞くと、ちょっと怖いですね」
考藤「しかも、感染していても自覚症状がないので、検査をしないとわかりません。すでに治療をしている人も含めてですが、B型肝炎、C型肝炎合わせて約200万人のキャリアがいるといわれています」
板野「そんなにいるんですか!」
考藤「多くの人が肝炎検査を受けてはいるんですけれども、早期発見、早期治療してもらおうということから、妊婦健診にも入っているんですね」
妊婦健診でキャリアであることがわかったら、妊娠経過や出産はどうなるのですか? ―板野さん―
板野「早期発見、早期治療のためということですけど、妊婦さんが検査するのは理由があるんですか?」
考藤「B型、C型肝炎は、両方とも血液を介してウイルスが体に入って、一定の割合で感染が成立します。かつては予防接種の注射を複数人に打っていた時代があって、それをきっかけに感染した方が残念ながらいらっしゃいます。また対策が十分でなかった時代に、輸血針からの感染もありました。しかし今は、それらは全て徹底されていますから、もちろんありません。
現在、どういう機会で感染が起こるかというと、C型肝炎ははっきりとわかっていませんが、B型肝炎に関してはママから子どもに感染する、母子感染が多いんです」
板野「母子感染が多いから検査するんですね。妊婦健診でキャリアであることがわかったら、妊娠経過や出産はどうなるんですか?」
考藤「妊婦初期に行われる血液検査の項目のなかに、HBs抗原、HCV抗体という記載があります。HBs抗原がB型肝炎、HCV抗体がC型肝炎の感染を示すものです。-(マイナス)であれば陰性、+(プラス)であれば陽性、キャリアであることを意味します。
仮にママがB型肝炎のキャリアとわかると、生後すぐ、赤ちゃんにはワクチンとB型肝炎の抗体が含まれているガンマグロブリンという薬で、赤ちゃんにウイルスが根づかないようにします。この対策が始まってから、B型肝炎の母子感染はほとんどなくなりました。また、赤ちゃんはお住まいの市区町村で、B型肝炎の予防接種を無料で受けることができます。C型肝炎も母子感染は非常に少ないのでほぼ大丈夫です」
板野「そう聞くと安心です!」
考藤「ただママがキャリアであれば、産後、必ず肝臓専門医のいる病院での精密検査をおすすめします。妊婦健診で肝炎ウイルス検査陽性が判明した場合、手続きをすれば初回1回は無料です」
板野「検査で陽性です、って言われても妊娠、出産のことで頭がいっぱいで、どういうことか理解するのが難しいそうです…」
考藤「症状がないと、なかなか自分の問題として感じられにくいかもしれませんが、両方とも飲み薬の治療で、ウイルスを排除したり、増殖を抑えることができます。ママが健康でいることは赤ちゃんのためでもありますから、必ず精密検査を受けてほしいですね」
夫や家族が検査するにはどうしたらいいですか?もし身近な家族がキャリアとわかったとき、子育てで気をつけたいことってありますか? ―板野さん―
板野「私は妊婦健診で肝炎ウイルス検査をしていますけど、たとえば夫や家族が検査するにはどうしたらいいんですか?」
考藤「肝炎ウイルスがあるかは1回の血液検査で結果がわかります。40才以上であれば自治体の検診や、職場によりますが会社の検診などで肝炎ウイルス検査を受ける機会があると思います。もし受けていないご家族がいたらすすめてみましょう」
板野「もし、その検査で身近な家族がキャリアとわかったとき、子育てをしていく上で気をつけたいことってありますか?」
考藤「感染するリスクがある行為と、全くリスクのない行為とがあるんですね。まずはリスクがある行為を避けることが大切です。どういう行為かというと、キャリアの方の血液に触れるような行為です。
たとえばカミソリやひげそり、電動シェーバー、つめきりなど、皮膚を深く切ってしまい、血液がついた状態で他の人が使う可能性があるものの共有は避けましょう。また、ほとんどないと思いますが、歯ブラシの共有や鼻血などが出た際に血を拭いたティッシュを、子どもに触らせるのはやめましょう。それ以外の日常生活では、一緒に食事をしたり、食器を共有したり、おふろに入ったり、トイレを共有したりすることは全く問題ありません」
板野「それほど難しいことではないんですね」
考藤「治療をしていただければ、ウイルスを排除したり、抑えることができますから、安心して赤ちゃんを抱きしめたり、接して大丈夫です」
赤ちゃんを育てるとき、周囲の大人が健康であることも非常に大切です ―考藤先生―
考藤「自分は元気だと思っていても、調べてみると実はキャリアだったという方は少なくありません。早期に治療すれば、重い病気は避けられます。血液検査の機会があれば、必ずそれを受けていただきたいと思いますし、パートナーや家族に肝炎ウイルス検査を受けていない方がいたら、ぜひすすめていただきたいと思います。赤ちゃんを育てるとき、周囲の大人が健康であることも非常に大切ですよね」
板野「本当にそう思います。肝炎検査の大切さや、自分や家族の健康についても考えるきっかけになりました。ありがとうございました!」
各界のスペシャルサポーターが参加している「知って、肝炎プロジェクト」って?
肝炎に関する知識や肝炎ウイルス検査の必要性を分かりやすく伝え、国民が肝炎への正しい知識を持ち、早期発見・早期治療に向けた行動を促すため、情報発信や肝炎対策を展開しています。芸能界、スポーツ界からも大使やスペシャルサポーターとして多くの方が肝炎ウイルス検査の普及啓発活動を行っています。
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協力/知って、肝炎プロジェクト
スタイリスト/橘内 茜 ヘア&メイク/北原 果(KIKI inc)