赤ちゃんが”さかご”…出産予定日近くになっても直らなかったらどうなる?
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出産予定日近くになってもさかごが直らず帝王切開になる場合、どんな流れになるのでしょうか。今回はさかごが直らなかった場合の出産までの流れと、さかごについての素朴なギモンについて産婦人科医の小川隆吉先生に答えていただきました。
妊娠32週ごろから帝王切開を検討
さかごが直らない場合のお産は、経腟(けいちつ)分娩を行ったときに発生しやすい難産やへその緒の圧迫といったトラブルのリスクを未然に防ぐため、帝王切開になることが多くなります。帝王切開の検討をし始めるのは妊娠32週ごろから。実際に手術を行うのは妊娠37〜38週になります。ただし、手術直前まで、さかごが直っていないか確認します。
帝王切開が決まるまで
さかごが原因で帝王切開になる場合の流れを説明します。
妊娠32~36週:赤ちゃんの様子を見ながら帝王切開を検討
まだ直る見込みはありますが、直らない可能性も考え、帝王切開を検討する時期。34~35週には、手術予定日を決める産院もあります。
妊娠37~38週:直らない場合は予定帝王切開で出産
この時期まで直らなかったら、予定帝王切開の準備に入ります。手術は、一般に37~38週に行われるケースがほとんど。事前に直れば手術は中止します。
手術入院:手術直前まで赤ちゃんの様子をチェック
医師は、帝王切開の手術直前まで赤ちゃんの状態をチェックします。ごくまれに直前に直っている例もあり、その場合はもちろん手術は中止となります。
さかごのママは破水に注意。赤ちゃんの命にかかわることが!
破水すると、大量の羊水(ようすい)が流出し、体より先にへその緒が出る「臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)」などのトラブルの心配も。へその緒が圧迫され、赤ちゃんが低酸素状態になる危険性があります。破水と思ったら、即産院に連絡し、指示を仰いでください。
さかごのギモン★Q&A
さかごについて、よくある疑問・気がかりに小川先生が答えます。
Q さかごを予防することはできる?
A さかごになるのを確実に予防することは困難です。しかし、赤ちゃんが動きやすい環境を整えることは可能。おなかの張りを防ぐために、疲労や冷えを避けるように心がけてください。
Q さかごのまま経腟分娩はできないの?
A 赤ちゃんの姿勢や産院の方針など、条件がそろえば経腟分娩が可能なケースはあります。ただし、さかごの経腟分娩を扱う産院は年々減少傾向にあり、ほとんどの場合は帝王切開になるでしょう。
Q さかごだと赤ちゃんの性別がわかりにくいって本当?
A 超音波検査で赤ちゃんの性別を確認するには、股間(こかん)が見えやすい角度であることが条件。さかごの場合、股間がママの骨盤に隠れて見えにくいことがあります。
Q さかごになると赤ちゃんは苦しくないの?
A とくに病的な原因でない場合は、苦しいことはありません。赤ちゃんがいちばん心地よかった姿勢が、たまたまさかごだったと考えてもいいでしょう。
さかごの帝王切開による手術は、妊娠37~38週ごろに行われます。出産直前までさかごであるかは確認され、直っている場合、手術は中止されます。健診でさかごといわれている場合、破水すると赤ちゃんの命にかかわることもあるので、そのときはすぐに産院に連絡をしましょう。(文・たまごクラブ編集部)
■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)
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