[妊娠28週〜臨月]直りにくいさかご・直りやすいさかご…いつごろまでに直る?
ZLuketina/gettyimages
さかごになっても、一部の直りにくいケースを除き、ほとんどが出産までに戻ります。とくに妊娠32週より前に「今、さかごですね」と言われても、それは一時的なことと考えても大丈夫。医師が”さかご”と診断し始めるのは妊娠28週以降ですが、正式には本当に直りにくい時期に入る32週以降に診断されることが多くなります。妊娠後期になると気になってくる、さかごについて産婦人科医の小川隆吉先生に教えていただきました。
さかごとは?
「通常、赤ちゃんはおなかの中で頭を下にした「頭位(とうい)」の状態でいます。ところが、なんらかの理由で頭を上にしている場合があり、これを「さかご(骨盤位<こつばんい>」と呼んでいます」(小川先生・以下同)
さかごになる原因は?
「原因は不明ですが、考えられる要因としては、
・胎盤が低い位置にある
・赤ちゃんが小さめ
・羊水(ようすい)量が多め
なども。一方、赤ちゃんが元気に動いている証拠ともいえるでしょう」
いつごろ診断される?
「一般に、さかごと診断される時期は、妊娠28週以降です。それ以前は赤ちゃんがまだ小さく、一時的にさかごになっても、自由に動き回って頭位に戻ることが珍しくありません」
さかごで注意することは?
「破水予防のため、おなかの張りに注意を。頭位での破水なら、頭が子宮口の栓の役割をしますが、さかごの場合、羊水が一気に流出し、へその緒が先に出て圧迫されるなどの恐れがあります」
さかごだと、お産はどうなる?
「さかごのまま経腟(けいちつ)分娩を行うと、いちばん大きい頭が最後に出ることで、難産になったり、へその緒が圧迫されたりするなど、トラブルの恐れがあります。そのため、安全を考えて帝王切開のお産を選択する産院が大多数です」
ほとんどの場合、32週ごろまでに頭を下にします
「最終的に、さかごのままお産になるのは、全体の約3%と低い割合です。ほとんどは32週ごろまでに、自然に直ります。一般に、おなかの張りがない状態だと赤ちゃんは圧迫されずに済むため、直りやすい傾向があります。明らかな原因が見当たらないのに臨月まで直らない場合は、赤ちゃんはその姿勢が心地よかったのかもしれません」
妊娠中期・妊娠後期・臨月でどう変わる?
さかごと診断される妊娠28週以降、赤ちゃんの状態がどう変わるのか、知っておきましょう。
●妊娠中期:この時期、さかごと言われても心配いりません
「ほぼ半数の赤ちゃんは、さかごになっている時期です。赤ちゃんの大きさに比べ羊水も十分な量がありますから、くるくる自由に動き回っているため、たまたまさかごの可能性もあります」
●妊娠後期:32週くらいから、赤ちゃんが回りにくくなります
「赤ちゃんが大きく成長し、子宮内が少し窮屈になってくるころです。手足を動かすことは可能ですが、全身をグルリと回転させる動きは困難になり、さかごが直りにくい状態になります」
●臨月:赤ちゃんは固定されてきますが、まれに直ることも
「通常は、子宮の中は容易に身動きがとれないほど窮屈になり、赤ちゃんの姿勢は固定されてきます。しかし、個人差も。まれに、帝王切開の手術直前に直ったケースもあります」
直りにくいさかごと直りやすいさかごってあるの?
「さかごには、直りにくいケースと直りやすいケースがあります」
★直りにくいケース
●前置胎盤
●子宮筋腫がある
●羊水が多め・少なめ
●おなかが張っている
●へその緒が巻きついている
●骨盤が狭い
●双角子宮(そうかくしきゅう)・多胎
★直りやすいケース
●妊娠32週未満で赤ちゃんがまだ小さい
●回転の妨げになるものが少ない
●おなかの張りがなく、子宮がやわらかい
●経産婦
妊娠28週ごろにさかごと言われても、自然に戻ることが多いので、心配し過ぎることはありません。出産直前までさかごの場合は、多くは帝王切開になるため、予約して出産日を決めます(予定帝王切開)。さかごだからと言って、赤ちゃんが苦しいわけではないので、臨月までさかごの場合は赤ちゃんがいちばん居心地のいい姿勢なんだと考えましょう。(文・たまごクラブ編集部)
■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)